6 / 13
本編
よんわ
しおりを挟むアーサー様は、うるさ…と言いながら店長さんの魔法を解き、私に見た目を変える魔法をかけ直しました。それにしても私、有名人みたいです。
「第3王子がクソだって噂が広まってるみたいだけど事実なんですか?」
「否定はしない。」
同感です。でも、あんなに夢中になれる相手がいるというのは少し羨ましく感じます。私は幼い頃に婚約者が決まってから殿下以外の男性とお話する機会は多くありませんでした。
「アーサー様チャンスじゃないですか! 応援してますよ~」
なんの話しでしょうか? アーサー様は珍しくお顔を真っ赤にしています。暑く…はないですけど。
「あ、採寸でしたね。リリア様、こちらへ。」
私は店長さんについて行くととても綺麗な部屋に案内されました。すごく上品なお部屋です。
「アーサー様ってば、女性の採寸を覗く趣味でも?」
アーサー様は店長さんにそう言われると店長さんをギロっと睨みつけました。
「んなわけねぇだろ。ドレス選ぶからカタログ見るぞ。」
そう言ってアーサー様は部屋から出て行かれました。良かったです。流石に異性に見られながらの採寸は恥ずかしすぎますから。
「リリア様胸大きいですね~。肩こるでしょう?」
「ひゃっ! こ、こるかもしれません…?」
服を脱ぐと急に胸を触られたものだから変な声が出てしまいました。他人に体を触られるのはいつまで経っても慣れないです。それにしても最近肩が重いと思っていました。後でもんでくれるそんなので楽しみです。肩が楽になるといいのですが。
「よし、終わったよ。一人で着られる?」
「はい、大丈夫です。」
測ってもらっている間、店長さんと色々な話をしました。お名前はユウコさんだそうです。話し方も楽にして欲しいと頼みました。ユウコさんは今28歳で絶賛彼氏募集中だそうです。ユウコさんは綺麗で話していて楽しい方ですのに男性は見る目がないんでしょうね。5分ほどですがユウコさんに肩をもんでもらいました。肩が楽になって良かったです。侍女にも教え…私に侍女はいないんでした。家から着いてきてくれた侍女たちは電化が送り返してしまいました。私の従者はセシルだけです。着替えは1人でできないものは目隠しをして手伝ってもらっています。
「アーサーさ」
「しーっ! 寝てるみたいだからそっとしとくね。ひざ掛けかけてあげて~」
私はユウコさんからひざ掛けを受け取るとそっとアーサー様にかけてあげます。アーサー様は黙っていれば王子様な見た目をしています。あ、猫を被っている時もですね。
「お前、俺のことを襲う気か?」
「違います! というか、疲れていたなら今日でなくても…」
「ユウコ、これとこれと…あとこれな。この黄色は来月の夜会用だ。金はいくらかかってもいい。このカタログ以上に仕上げろ。」
アーサー様は私の話を無視しユウコさんに話しかけました。黄色って私の婚約者である殿下の色ではないですよね…? アーサー様は金髪なので間違えられてしまいますよ?
「私、こんなにたくさん…」
いりません、と伝えようとしましたが失敗してしまいました。なぜなら急にテレポートしてしまったからです。ユウコさんにお礼を言えていないのに…。
「強制テレポート、ですよ。兄上は寝ててください。」
テレポートしたのはルイス様の元でした。ライはいないようですね。
「ク……っソ」
アーサー様が急に倒れたかと思うとルイス様が上手く支えました。そしてアーサー様は私の目の前から姿を消しました。
「えっ…」
「兄上の部屋に送り届けただけですよ。疲れていたみたいですし。…カフェに行きませんか?」
「カフェ…ですか? 行ったことがないので行ってみたいです。」
また、テレポートです。何度もテレポートすると酔ってしまいそうです。既に少し気持ち悪いです…。
「あ、あちらです。兄上が寝て魔法切れてるのでかけ直しますね。」
私たちの髪の瞳は茶色になりました。これで、平民の方たちに紛れ込めますね。私、カフェははじめてなのでとても楽しみです。ルイス様にエスコートされ、入店するとぶわっと甘い匂いがしました。ルイス様、甘い物が好きだったんですね。初耳です。
「貴族がお忍びで通うほど素晴らしい店だそうですよ。甘い物、好きでしたよね?」
「はい! 覚えていてくれたんですね。」
「当たり前です。_____ですから。」
「え?」
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。
ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。
ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も……
※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。
また、一応転生者も出ます。
失礼な人のことはさすがに許せません
四季
恋愛
「パッとしないなぁ、ははは」
それが、初めて会った時に婚約者が発した言葉。
ただ、婚約者アルタイルの失礼な発言はそれだけでは終わらず、まだまだ続いていって……。
ホストな彼と別れようとしたお話
下菊みこと
恋愛
ヤンデレ男子に捕まるお話です。
あるいは最終的にお互いに溺れていくお話です。
御都合主義のハッピーエンドのSSです。
小説家になろう様でも投稿しています。
攻略対象の王子様は放置されました
白生荼汰
恋愛
……前回と違う。
お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。
今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。
小説家になろうにも投稿してます。
悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる