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本編
よんわ
しおりを挟むアーサー様は、うるさ…と言いながら店長さんの魔法を解き、私に見た目を変える魔法をかけ直しました。それにしても私、有名人みたいです。
「第3王子がクソだって噂が広まってるみたいだけど事実なんですか?」
「否定はしない。」
同感です。でも、あんなに夢中になれる相手がいるというのは少し羨ましく感じます。私は幼い頃に婚約者が決まってから殿下以外の男性とお話する機会は多くありませんでした。
「アーサー様チャンスじゃないですか! 応援してますよ~」
なんの話しでしょうか? アーサー様は珍しくお顔を真っ赤にしています。暑く…はないですけど。
「あ、採寸でしたね。リリア様、こちらへ。」
私は店長さんについて行くととても綺麗な部屋に案内されました。すごく上品なお部屋です。
「アーサー様ってば、女性の採寸を覗く趣味でも?」
アーサー様は店長さんにそう言われると店長さんをギロっと睨みつけました。
「んなわけねぇだろ。ドレス選ぶからカタログ見るぞ。」
そう言ってアーサー様は部屋から出て行かれました。良かったです。流石に異性に見られながらの採寸は恥ずかしすぎますから。
「リリア様胸大きいですね~。肩こるでしょう?」
「ひゃっ! こ、こるかもしれません…?」
服を脱ぐと急に胸を触られたものだから変な声が出てしまいました。他人に体を触られるのはいつまで経っても慣れないです。それにしても最近肩が重いと思っていました。後でもんでくれるそんなので楽しみです。肩が楽になるといいのですが。
「よし、終わったよ。一人で着られる?」
「はい、大丈夫です。」
測ってもらっている間、店長さんと色々な話をしました。お名前はユウコさんだそうです。話し方も楽にして欲しいと頼みました。ユウコさんは今28歳で絶賛彼氏募集中だそうです。ユウコさんは綺麗で話していて楽しい方ですのに男性は見る目がないんでしょうね。5分ほどですがユウコさんに肩をもんでもらいました。肩が楽になって良かったです。侍女にも教え…私に侍女はいないんでした。家から着いてきてくれた侍女たちは電化が送り返してしまいました。私の従者はセシルだけです。着替えは1人でできないものは目隠しをして手伝ってもらっています。
「アーサーさ」
「しーっ! 寝てるみたいだからそっとしとくね。ひざ掛けかけてあげて~」
私はユウコさんからひざ掛けを受け取るとそっとアーサー様にかけてあげます。アーサー様は黙っていれば王子様な見た目をしています。あ、猫を被っている時もですね。
「お前、俺のことを襲う気か?」
「違います! というか、疲れていたなら今日でなくても…」
「ユウコ、これとこれと…あとこれな。この黄色は来月の夜会用だ。金はいくらかかってもいい。このカタログ以上に仕上げろ。」
アーサー様は私の話を無視しユウコさんに話しかけました。黄色って私の婚約者である殿下の色ではないですよね…? アーサー様は金髪なので間違えられてしまいますよ?
「私、こんなにたくさん…」
いりません、と伝えようとしましたが失敗してしまいました。なぜなら急にテレポートしてしまったからです。ユウコさんにお礼を言えていないのに…。
「強制テレポート、ですよ。兄上は寝ててください。」
テレポートしたのはルイス様の元でした。ライはいないようですね。
「ク……っソ」
アーサー様が急に倒れたかと思うとルイス様が上手く支えました。そしてアーサー様は私の目の前から姿を消しました。
「えっ…」
「兄上の部屋に送り届けただけですよ。疲れていたみたいですし。…カフェに行きませんか?」
「カフェ…ですか? 行ったことがないので行ってみたいです。」
また、テレポートです。何度もテレポートすると酔ってしまいそうです。既に少し気持ち悪いです…。
「あ、あちらです。兄上が寝て魔法切れてるのでかけ直しますね。」
私たちの髪の瞳は茶色になりました。これで、平民の方たちに紛れ込めますね。私、カフェははじめてなのでとても楽しみです。ルイス様にエスコートされ、入店するとぶわっと甘い匂いがしました。ルイス様、甘い物が好きだったんですね。初耳です。
「貴族がお忍びで通うほど素晴らしい店だそうですよ。甘い物、好きでしたよね?」
「はい! 覚えていてくれたんですね。」
「当たり前です。_____ですから。」
「え?」
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