婚約破棄を申し込みます。

本編

プロローグ

「婚約破棄を申し込みます。」



私、リリア・ハートは目の前の元平民女性の腰に手を回している婚約者にそう言い放った。浮気をしても婚約破棄されるはずがないとたかを括っていたのでしょうか。婚約者は私の言葉で怒りからか、顔を真っ赤にし、ワナワナ震えています。



「お前ごときが勝手にできるわけないだろ！！！」



まぁ、その通りですね。ですから、この日まですごく大変でした。でも、それも今日で終わるのですね。



「陛下にもうお許しはいただいております。」



婚約者であったレオン・マルティネス様はこのマルティネス王国の第3王子です。第1王子は武道に、第2王子は学芸に優れておられます。第4王子は、まだ成人されておりませんが、持ち前の明るさとあざとさで国民たちに大人気な方です。

それに比べてレオン様は何も努力なさらず、いつも遊び呆けている為国民からの好感度は下がる一方です。



「レオン様ぁ～！」



「大丈夫だ、マリア。マリアは俺が守る。」



あなたにそんなこと出来ませんよ。これからはそんな暇が無くなるくらい忙しくなるのですから。それも自業自得なのですけれど……。