24 / 27
結婚式
しおりを挟む朝から慌ただしく周りが働いているというのに私はずっと椅子に座ったまま。
「シャーロット様、とてもお綺麗です……。」
サランが私を見ながらそう言ってくれる。今日だけは誰よりも綺麗でありたいわ。今日は結婚式だもの。
「もうみんな来ているのかしら?」
「はい。皆様お揃いです。」
私が呼んだのはカレンとアオイとユートだけ。私には心の許せる友達が少ない。ノアもあまり招待していないようだった。ノアの両親と職場の方たち。マリアさんは来るのかしら?
「シャル、とっても綺麗ですわね。」
「カレン! カレンにそう言って貰えてとても嬉しいわ。次はあなたの番ね。」
私がそう言うとカレンは顔を真っ赤にした。ユートにに好きだと伝えられているようだがカレンから好きだと伝えたことは1度もないようだ。誰が見ても相思相愛だと言うのに。だから、まだ2人は結婚していないのだ。ユートとアオイは2人で暮らしていて、ユートはよくカレンに会いにいくためいつも二人でいるから周りにはもう結婚していると勘違いされているようだ。ちなみにアオイはユート付き添いでカレンの元へ訪れているのだそうだ。
「でも、シャルが幸せになって良かったわ。あんなクズは自業自得なのよ。だから、気に負わなくていいのよ。」
カレンは私の事何でもお見通しみたい。イアンのことを気にしていないと言ったら嘘になる。確かに愛してはいたのだ。恋愛感情ではなくとも。家族だとは思っていた。まぁ、裏切られてしまったのだが。
「シャル……」
「あら、ノア? どうかしら、私綺麗に」
「綺麗だ。すごく。シャル、愛してる。」
「っ、わ、私もよ。」
私たちの唇が重なろうとしたその時。
「私まだいるのだけど? はぁ、やだわ、バカップルだなんて。早く出てきなさいよ。みんな待っているのだからね。」
私とノアは目を合わせてクスっと笑いあった。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「誓いのキスを。」
入場の時はノアのお父様がエスコートして下さった。花嫁の父親がエスコートするのはユートたちの住んでいたところでは当たり前らしい。今までだったらキスして終わりだったのだけどケーキを切るという共同作業をするのも新郎新婦の役割らしい。ノアの両親は自分の事のように泣いてくださった。私の実の両親よりも大切にしてくださったのだ。私ももらい泣きしそうになったが化粧のことを思い出して必死に涙をとどめた。
新郎は新婦のベールをあげキスをするらしい。ベールを結婚式の時に使うなんてすごく素敵だと思い採用した。ユートとノアは今までずっと連絡を取り合っていたらしい。まさか、元から私と結婚する気で……? それは考えすぎよね、えぇ。
「……」
「アオイ? どうかした?」
「なんでもない。ユートはずるいよ、好きな人と両思いで。」
「……いや、カレンは他に好きな人がいるかもしれない。」
「何言ってんの、どう考えても……」
「どう考えても?」
「いーや、なんでもなーい!」
アオイってばユートに意地悪しているわ。相思相愛だと気づいているのは本人たち以外みたいね。
「シャル、考え事か? 俺が目の前にいると言うのに。」
「ノア……。私と結婚してくれてありがとう。愛しているわ。」
ノアは返事をするより先に私に口付けた。触れるだけではなくて舌を入れて。
(み、みんな見てると言うのに! ノアは何を考えてっ!)
「……時を止めた。」
「そんなことできるなんて初めて聞いたわ。」
「俺が作った魔法陣だからな。」
そう答えると先程の行為を再開しようとした。私はノアの胸板を叩き辞めさせた。
「今は結婚式中よ。この続きはいつでも……」
私は途中ですごくはしたないことを言っていることに気が付き口を噤んだ。顔が真っ赤になるのは隠せなかったが。
「そうだな、続きはいつでも。」
私、余計なことを……。結婚式は無事に終えることが出来たが心配なのは初夜だ。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
皆様お久しぶりです。受験がまだ終わってないというのに投稿している阿呆です((殴
まだ読んでくださっている方いるでしょうか……?
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説

命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。
さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。
忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。
「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」
気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、
「信じられない!離縁よ!離縁!」
深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。
結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる