夫の弟は昔から私のことが好きだったようで、私への溺愛が止まりません。

海瀬

文字の大きさ
上 下
19 / 27

突然の転移

しおりを挟む
ノアは今気がついたようにはっ、と目を見開いた。



「マリア、もう俺にあまり近づかないようにしてくれ。名前の呼び方も変えた方がいいのか。……マリア嬢。」



ノアがマリアさんの名前を呼んでいるのを私が気にしていると言うことに気づいてくれたようだ。ということは私がヴィルさんのこと名前で呼ぶのが嫌ってことかしら……? マリアさんは平民らしいから家名がないのは仕方がない。でも、嬢をつけてくれるだけで私はすごく嬉しく思った。



「ヴィル様、家名を教えて頂いても?」



「あ、申し遅れました、ヴィル・キャベンディッシュと申します。」



キャベンディッシュ……?



「ゼインの弟だ。腹違いの。」



「継承権は放棄してますけどね。私の存在を知る人はあまりいないと思いますよ。私の親は娼婦でしたから。」



ゼインに弟がいたなんて知らなかった。まず元々ゼインとはあまり話したことがなかったが。ゼインに会ったのも夜会で挨拶を数回した程度。その時にヴィル様はいらっしゃらなかった。この時から冷遇されてたと言うこと……?



「ゼインはヴィルの存在を知らない。ヴィルがそうしたがったからな。」



「そうですね。今更王位継承権なんぞに巻き込まれてもくそくらえです。皇帝陛下が亡くなった今は。」



ヴィル様、口悪くないかしら……?



「まぁ、そんなことよりお昼を食べましょう。お腹が空いているでしょう? ここのパスタは絶品ですよ。」



言われた通りパスタを頼んでみたがとても美味しかった。今日はノアの仕事が早めに終わったためすぐ帰ることになった。帰ろうと馬車に乗る時マリアさんに睨まれた気もするが私は気の所為ということにした。あんな殺気初めて感じたものだったから。


 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

「マリア嬢を違う所に移動させるか……。」



「の、ノア! 私そんなに気にしないからいいのよ。私のわがままのせいでそんな簡単に環境を変えなくても……。」



「何言ってるんだ。シャルはワガママなんて言わないだろ。だから、シャルの望みは全部叶えたい。」



ノアは私が欲しい言葉をくれる。だけど……



「本当に大丈夫よ。確かに嫉妬してしまったわ。だけど……私はノアを信じているから。」



私がこう伝えた瞬間ノアの腕の中にいた。



「んっ、ノア……?」



「シャルが可愛いことを言うからだ。俺もシャルを信じたい。でも、できるだけ他の男とは話さないでくれ。自分に自信がないんだ。」



ノアの気持ちは初めて聞いた。そんなことを思っていたなんて……。



「ノア、愛してるわ。この世界の誰よりも。ノアが不安にならないように気をつけるわ。」



ノアは驚いた顔をしたと思えば私の唇を塞いだ。ノアに口内を犯される。



(ここまだ玄関よ!?)



執事やサランたちは恥ずかしそうにこちらを見ている。途中で察したのか、姿を消したが。



「ひゃっ」



ノアに横抱きされ連れていかれたのはノアの寝室。そのベッドへ優しく降ろされた。



「シャル、いいか?」



いいか、とは行為をしていいかということだろうか。



「えぇ。きて……?」



ノアは私の服を破り、胸に触れようとしたその時



私は知らない場所にいた。



「へ?」



「僕と続きしよ? 一人でやっても収まらなくてさ? だから、シャーロットに手伝って貰おうと思って。準備出来てるでしょ?」



ほら、濡れてる……と耳元で囁くレオナ様。



「ひぅっ、れ、レオナ様!?」



「ここね、今結界はってるし防音にしてるからノアは入って来れないよ。あいつね、魔法は得意じゃないから。」



そんな……。私どうやって逃げれば……?



「そんな怖がらないでよ。気持ちいいことするだけなんだし。いいでしょ? あ、スライムもあるよ。って言ってもすぐ魔法で出せるだけなんだけど。」



さっき、ノアに服を破られたせいで私は何も身にまとっていない。これは絶体絶命……?
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

それぞれのその後

京佳
恋愛
婚約者の裏切りから始まるそれぞれのその後のお話し。 ざまぁ ゆるゆる設定

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

記憶がないなら私は……

しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。  *全4話

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす

まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。  彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。  しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。  彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。  他掌編七作品収録。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します 「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」  某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。 【収録作品】 ①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」 ②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」 ③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」 ④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」 ⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」 ⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」 ⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」 ⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

私の知らぬ間に

豆狸
恋愛
私は激しい勢いで学園の壁に叩きつけられた。 背中が痛い。 私は死ぬのかしら。死んだら彼に会えるのかしら。

処理中です...