夫の弟は昔から私のことが好きだったようで、私への溺愛が止まりません。

海瀬

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ノアの同僚

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「シャル起きろ。早く準備しろ。」



「ん……の、あ?」



「あぁ。」



寝ぼけた私にノアはキスをする。それはだんだん深くなっていき、



「ふっ、んっ……ノア!? あれ、どうしてここに?」



「シャルが昨日途中で寝たんだろ。シャルの侍女を呼んでくるから着替えてくれ。準備が出来たら出発する。」



そうだわ、今日はノアの職場に行くんだった。別に家にいてもいいのに、と思うが昨日のことがあったのでノアは許してくれなかった。正直嬉しいと思っているのだが。



「シャーロット様、あの……」



なにかしら、と思いサランの視線の先を見るとそこには……ノアがつけた大量のキスマークが。



「きゃっ! ち、違うのよ!」



真っ赤になったサランは私を微笑ましそうに見る。忘れてたわ、ノアは私に印をたくさんつけたがることを。いつも致した後は体は真っ赤になる。



「っ、今日は軽装でお願い。出来れば首が隠れるように……。」



「かしこまりました!」



サラン、ニヤニヤしすぎよ! 隠してるようだけどきちんと見えてるのよ?


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

「シャル、今日もかわいいな。」



「えっ、」



「行くぞ」



ノアは私に手を差し出してくれた。こういう当たり前なことが私にはとても幸せだと感じる。イアンなんて私に振り返ったことないんじゃないかしら。他の女性に夢中だったから。



「眠たいなら寝ていい。着いたら起こす。」



ノアの言葉に甘えて寝かせてもらおうかしら。実は疲れが取れていなくて辛いのだ。ノアはなぜか私の隣に座った。どうして隣に……?



その意図に気づいたのは数十分後。



「シャル起きろ。……起きないなら犯すぞ」



「いやっ! あれ、もう着いたの?」



どうやら、私はノアにもたれかかってしまったようだ。だから、私の隣に……。



「ひゃぁ!?」


私が馬車から降りようとすると私を横抱きにした。この格好すごく恥ずかしいのよ!? 



周りの人にもすごく見られて……ってここ王宮じゃない!! ここにいた方がゼインに会う確率が高くなるのではなくて……?



「ゼインの部屋から遠い場所だから安心しろ。シャルのことは絶対に守る。」



ドキッとしてしまった。笑顔がとても素敵だったのよ。みんなに見せてあげたいくらい。でもダメね、見せたくないって思ってしまっているのよ、私。



「宰相殿、そちらの方は?」



私はノアに静かに下ろされる。って、宰相殿……?



「俺の妻だ。今日から一緒に来る。」



「はぁ。仕事をきちんとしてくれるなら我々は何も言いませんが……。」



ノアって噂の宰相様だったの!? そんな話ひとつも聞いたことがなかったわ。



「あっ、ノア様ー! 私、ノア様に会いたいと思ってたんですよ? 会えて嬉しいです!」



誰かしらこの子。ノアとの距離が近い気がするわ……。だめね、私ノアの事が好きすぎて他の女性を許せそうにないわ。私はこっそりノアの裾を掴むとノアは気づいたようで。



「今日は妻と来ている。きっとこれからもだ。迷惑かけるかもしれんが頼む。」



「はーい。大変ですね、ノア様も。」



この方は私に挑発しているのかしら。でも、大変なことをさせているのは事実よね。



「あ、私、マリアって言います。貴族じゃなくて平民です。」



平民……? もしかして、またイアンのようにノアも取られてしまうんじゃ……。



「シャル、行くぞ。失礼する。」



ノアが切り上げてくれて助かった。これ以上いたら私は……。



「嫉妬か?」



「はい?」



私……やっぱり嫉妬していたのね。距離の近いマリアさんに。



「私、ノアのことが好きなの。だから……」



思わず泣きそうになる。俯いた私にノアは可愛いと呟く。そんな言葉に一喜一憂する私は本当に馬鹿だ。



「俺が好きなのはシャルだけだ。それだけは信じてくれ。」



「えぇ。」



「シャルは本当に俺を虜にするな。俺はずっとシャルのことが好きだったんだ。絶世の美女が現れたとしてもそいつなんか視界に入らない。俺にしたらシャルが絶世の美女だがな。」



「それは言い過ぎよ……。」



顔が赤くなった私の頬にちゅっとキスを落とすノア。私は本当にノアに大切にされていると感じる。この幸せがどうか続きますように。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

マリアというライバル(?)
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