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私とノア
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「え? 婚約解消?」
朝、サランから言われた言葉は衝撃的な事だった。あんなに私に執着? していたようだったのに解消なんて、皇帝陛下に何かあったのかしら。
「ノア様が関係しているみたいですよ。愛ですね~。」
サランは私がノアのことを好きだと気づいていたのだと思う。でも、冷やかすのは違うわ!
「そういえば昨日『任せろ』なんて言っていたわね……。」
それにしても腰が痛いのだけどこれは昨日のノアとの……。ポッと顔が赤くなった私を見て不思議そうな顔をしたサランだったが、思い出したかのように言った。
「メイド仲間が言っていたんですが、皇帝陛下になにかプレゼントしたみたいですよ。」
プレゼント? 皇帝陛下は貢がれたら『お願い』は基本何も断らない。自分の地位が脅かされない限りは。皇帝陛下の代わりに仕事をしている宰相はしっかりしていて、頼りになると噂でよく聞くが顔は見たことがない。とても謎めいた人だ。噂では独身を貫くと宣言しているのだとか。
また、ノアに色々話を聞く必要があるわ。それに、ノアの気持ちも……。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「金だ。」
「はい?」
ノアは3時頃に私の元へ訪れた。そこでの第一声がこれなのだが、私には理解が出来なかった。
「皇帝陛下のことだろう? 金を渡したらすぐ婚約解消させてくれた。あんな父親は死んでも嫌だな。」
それは同感だわ。まぁ、私の両親も似たようなものだけど。子供は親を選べないというしね。出来るなら……貧乏でも私のことを愛してくれる人の元で生まれたかった。
「それより、体は大丈夫か?」
「だ、大丈夫じゃないわ! もう身体中が痛いもの。」
「激しくしすぎたな。」
ニヤリと笑うノアは凄く妖艶でかっこよかった。でも、言ってることは破廉恥だわ……。そう思ってるのに、気持ちいいと思ってしまった私も破廉恥なのかしら。だって、イアンの時は痛いだけだったから。
「恥ずかしいことは言わないで。」
ノアはすまん、と言いながら私を抱きしめた。ノアは絶対反省してないわ。ノアが私の部屋に入ったのは夜の7時頃。ノアが私を離してくれたのは朝の3時だったもの。おかげて昼まで寝てしまった。ノアはなぜこんなに元気なのか不思議でならない。
「俺はシャルが居れば生きていける。」
この人はいつからそんな恥ずかしいことを平然と言えるようになったんだ。
「ノアは……私のことが好きなの?」
好きって思ってくれているのかもしれない、という言葉をノアはくれるが直接的には言われていない。これで私の勘違いだったら恥ずかしいことこの上ないわ。もしかしたら、同情心から結婚しようとしてくれているのかもしれない。
「好き、か?」
違ったのだろう。先に気づけて良かったのかもしれない。期待してた私がバカみたいだ。
「泣くな。俺はシャルのことを愛してる。でないと昨日のようなことはしない。」
「ほんと……に?」
「あぁ。まぁ、ゼインが何をしてくるか分からないからできる限りそばに居る。俺から離れるな。」
そばにいるだなんて言われたことがなかった。離れるな、とも。みんないつか私から離れていく。ありもない噂のせいで。でも、ノアは私に冷たくしても悪口を言ったり、や暴力はふるったりしなかった。いつも私本人を見てくれる。だから、心惹かれていったのかもしれない。
「えぇ。頼りにしているわ。ノア、私もその……愛してるわ。」
最後の方は声が小さくて聞こえなかったかもしれない。でも、ノアの耳が真っ赤になっていたから……。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1章終わりです。2章からはノアとのイチャイチャを書きたいなあと。それに、ゼインや他の登場人物などの話も書いていこうと思ってます。
朝、サランから言われた言葉は衝撃的な事だった。あんなに私に執着? していたようだったのに解消なんて、皇帝陛下に何かあったのかしら。
「ノア様が関係しているみたいですよ。愛ですね~。」
サランは私がノアのことを好きだと気づいていたのだと思う。でも、冷やかすのは違うわ!
「そういえば昨日『任せろ』なんて言っていたわね……。」
それにしても腰が痛いのだけどこれは昨日のノアとの……。ポッと顔が赤くなった私を見て不思議そうな顔をしたサランだったが、思い出したかのように言った。
「メイド仲間が言っていたんですが、皇帝陛下になにかプレゼントしたみたいですよ。」
プレゼント? 皇帝陛下は貢がれたら『お願い』は基本何も断らない。自分の地位が脅かされない限りは。皇帝陛下の代わりに仕事をしている宰相はしっかりしていて、頼りになると噂でよく聞くが顔は見たことがない。とても謎めいた人だ。噂では独身を貫くと宣言しているのだとか。
また、ノアに色々話を聞く必要があるわ。それに、ノアの気持ちも……。
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「金だ。」
「はい?」
ノアは3時頃に私の元へ訪れた。そこでの第一声がこれなのだが、私には理解が出来なかった。
「皇帝陛下のことだろう? 金を渡したらすぐ婚約解消させてくれた。あんな父親は死んでも嫌だな。」
それは同感だわ。まぁ、私の両親も似たようなものだけど。子供は親を選べないというしね。出来るなら……貧乏でも私のことを愛してくれる人の元で生まれたかった。
「それより、体は大丈夫か?」
「だ、大丈夫じゃないわ! もう身体中が痛いもの。」
「激しくしすぎたな。」
ニヤリと笑うノアは凄く妖艶でかっこよかった。でも、言ってることは破廉恥だわ……。そう思ってるのに、気持ちいいと思ってしまった私も破廉恥なのかしら。だって、イアンの時は痛いだけだったから。
「恥ずかしいことは言わないで。」
ノアはすまん、と言いながら私を抱きしめた。ノアは絶対反省してないわ。ノアが私の部屋に入ったのは夜の7時頃。ノアが私を離してくれたのは朝の3時だったもの。おかげて昼まで寝てしまった。ノアはなぜこんなに元気なのか不思議でならない。
「俺はシャルが居れば生きていける。」
この人はいつからそんな恥ずかしいことを平然と言えるようになったんだ。
「ノアは……私のことが好きなの?」
好きって思ってくれているのかもしれない、という言葉をノアはくれるが直接的には言われていない。これで私の勘違いだったら恥ずかしいことこの上ないわ。もしかしたら、同情心から結婚しようとしてくれているのかもしれない。
「好き、か?」
違ったのだろう。先に気づけて良かったのかもしれない。期待してた私がバカみたいだ。
「泣くな。俺はシャルのことを愛してる。でないと昨日のようなことはしない。」
「ほんと……に?」
「あぁ。まぁ、ゼインが何をしてくるか分からないからできる限りそばに居る。俺から離れるな。」
そばにいるだなんて言われたことがなかった。離れるな、とも。みんないつか私から離れていく。ありもない噂のせいで。でも、ノアは私に冷たくしても悪口を言ったり、や暴力はふるったりしなかった。いつも私本人を見てくれる。だから、心惹かれていったのかもしれない。
「えぇ。頼りにしているわ。ノア、私もその……愛してるわ。」
最後の方は声が小さくて聞こえなかったかもしれない。でも、ノアの耳が真っ赤になっていたから……。
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1章終わりです。2章からはノアとのイチャイチャを書きたいなあと。それに、ゼインや他の登場人物などの話も書いていこうと思ってます。
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