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お父様
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物置って……まさか私の部屋が無くなっているとは予想出来なかったわ。きっとお父様の仕事はセバスがやっているはずだから少し手伝おうと思ったのだけど。
「……失礼します。」
セバスに話を聞いてから庭にでも行こうかしらね。サランとお昼を食べに行く予定だったのに遅くなりそうだわ。
「セバス、お父様の仕事ってもしかして……」
「はい、私めがやっております。」
はぁ……。仕事はできる方だと思っていたのだけど、恋愛は人を変えるみたいね。お母様もお父様の愛人に対して何も思っていなかったみたいだけど2人に何かあったのかしら。まさかお母様にも愛人がいるなんてことは……? ありえる話だけど聞く気にはなれなかった。
「少し分けて。手伝うわ。」
「いえ、シャーロットお嬢様にやらせる訳には……」
お嬢様って呼ばれるのってやっぱりすごく新鮮だわ。奥様としか呼ばれないし、名前なんてもってのほかよ。名前で呼ばれるのはもっと嬉しい。奥様っていう役職についたような気がしていたから。
「いいの。お父様もいなくて暇だから。」
「では、お言葉に甘えて。」
セバスがずっとやっていたからなのか思ったよりも量は少なかった。
(私を呼んだのだからその日くらい家にいてくだされば良かったのに。)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「終わった……。」
お客様も居ないようなので応接室で仕事をしていた。ここって地味に落ち着くのよね。私とお父様はここで話すことになるのかしら。お父様の部屋には入れて貰えないと思うし。
時計を見ると12時をさしていた。道理でお腹がすいたと思ったわ。
「シャーロットお嬢様すごく助かりました。」
「いいえ、お父様の仕事だもの。当たり前のことをしただけよ。セバスこそ、ありがとう。」
「シャーロット様、旦那様が帰られたようです。」
「やっと? 今行くわ。」
きっと、王太子殿下との婚約を前向きに考えろと言われるはずだわ。もう私は誰とも結婚する気はないのに……。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「王太子殿下に求婚されたそうだな。」
お父様、隣に女性がいらっしゃいますがその方が例の愛人ですか? お母様にバレていることを知ったのだろうか。それとも元々家に連れ帰って……。そう考えればイアンはまだマシだったのかもしれない。でも、あの人は私が気づいていないと思っていたから。
「お受けしなさい。レティはノア殿と結婚させる。異論はないな?」
レティとはスカーレットの愛称だ。私なんて名前を呼ばれたかさえ怪しい。この人は私の名前を覚えているのだろうか。この人が私を呼ぶ時は『お前』だ。両親からの愛なんて物心ついた時から諦めていた。
「はい。」
だけど、私はいつまで経っても両親に意見できない。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「シャーロット嬢! 婚約を了解してくれるなんて思ってもなかった。絶対幸せにするよ!」
私は殿下にガバッと抱きつかれた。勢いが強くて少しよろけてしまった。私も殿下の背にそーっと手を回す。
「ありがとうございます。私も殿下と婚約できて嬉しく思いますわ。」
私の言葉は嘘で塗り固められている。
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明日くらいにはノアの溺愛を出せたらなと。
「……失礼します。」
セバスに話を聞いてから庭にでも行こうかしらね。サランとお昼を食べに行く予定だったのに遅くなりそうだわ。
「セバス、お父様の仕事ってもしかして……」
「はい、私めがやっております。」
はぁ……。仕事はできる方だと思っていたのだけど、恋愛は人を変えるみたいね。お母様もお父様の愛人に対して何も思っていなかったみたいだけど2人に何かあったのかしら。まさかお母様にも愛人がいるなんてことは……? ありえる話だけど聞く気にはなれなかった。
「少し分けて。手伝うわ。」
「いえ、シャーロットお嬢様にやらせる訳には……」
お嬢様って呼ばれるのってやっぱりすごく新鮮だわ。奥様としか呼ばれないし、名前なんてもってのほかよ。名前で呼ばれるのはもっと嬉しい。奥様っていう役職についたような気がしていたから。
「いいの。お父様もいなくて暇だから。」
「では、お言葉に甘えて。」
セバスがずっとやっていたからなのか思ったよりも量は少なかった。
(私を呼んだのだからその日くらい家にいてくだされば良かったのに。)
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「終わった……。」
お客様も居ないようなので応接室で仕事をしていた。ここって地味に落ち着くのよね。私とお父様はここで話すことになるのかしら。お父様の部屋には入れて貰えないと思うし。
時計を見ると12時をさしていた。道理でお腹がすいたと思ったわ。
「シャーロットお嬢様すごく助かりました。」
「いいえ、お父様の仕事だもの。当たり前のことをしただけよ。セバスこそ、ありがとう。」
「シャーロット様、旦那様が帰られたようです。」
「やっと? 今行くわ。」
きっと、王太子殿下との婚約を前向きに考えろと言われるはずだわ。もう私は誰とも結婚する気はないのに……。
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「王太子殿下に求婚されたそうだな。」
お父様、隣に女性がいらっしゃいますがその方が例の愛人ですか? お母様にバレていることを知ったのだろうか。それとも元々家に連れ帰って……。そう考えればイアンはまだマシだったのかもしれない。でも、あの人は私が気づいていないと思っていたから。
「お受けしなさい。レティはノア殿と結婚させる。異論はないな?」
レティとはスカーレットの愛称だ。私なんて名前を呼ばれたかさえ怪しい。この人は私の名前を覚えているのだろうか。この人が私を呼ぶ時は『お前』だ。両親からの愛なんて物心ついた時から諦めていた。
「はい。」
だけど、私はいつまで経っても両親に意見できない。
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「シャーロット嬢! 婚約を了解してくれるなんて思ってもなかった。絶対幸せにするよ!」
私は殿下にガバッと抱きつかれた。勢いが強くて少しよろけてしまった。私も殿下の背にそーっと手を回す。
「ありがとうございます。私も殿下と婚約できて嬉しく思いますわ。」
私の言葉は嘘で塗り固められている。
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明日くらいにはノアの溺愛を出せたらなと。
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