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突然のプロポーズ
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「それって私の……」
間違いない。あのブレスレットは私のものだ。絶対に。きっと裏に『S』という文字が彫ってある。
「裏を見せていただけないかしら? 取ったりはしないから。約束するわ。」
「はぁ? まぁ、いいけど。すぐ返してよね!」
やっぱり……私のものだ。この方の名前は存じ上げないけどこれはきっと私のものだ。1度落としてしまい少しだけ傷がついてしまったのだ。イアンに何度も謝ったが、気にしなくていいよ、と笑顔で言われたためそのままにしていた。それなのに最近このブレスレットを見かけなかったのだ。まさかこの人にあげていたとは思わなかったが。
「イアンってば優しいのよ。私の名前がソフィアだから、『S』って彫ってくれたの。」
イアン、渡すなら私のものじゃなくても良かったじゃない。それまで取られたら私、イアンに貰ったものが何も無いの。
「……返すわ、ありがとう。でも、借金は別よ。逆にあなたが私に慰謝料を払う立場だと思うけれど。イアンが死んだのはあなたの元へ行ったのが原因なのだから。」
イアンがソフィアさんの元へ行かなければかからなかった病気だ。高い熱と嘔吐、さらには幻覚が見え、最終的には死に至る恐ろしい病気。平民の間で流行っており、薬はもう開発済みだ。しかし、その薬の値段は平民が手を出せるものでは無い。しかも、一日で急激に悪化するのだ。イアンが私の部屋に来てくれていたら生きていたのだろうか……。
「無理に決まってるでしょ!? 平民の私にそんなお金あるわけないじゃない!」
「逃げたとしてもきっと見つけられると思うわ。イアンにしたように身体を売ればいいんじゃない?」
「イアンはかっこいいし優しいからいいのよ! 汚いおじさんとやるなんて考えられないわ!」
ソフィアさんはイアンに抱いてもらっていたのか。私は抱いてくれなかったのに……。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「シャーロット嬢」
お葬式が終わり、人が少しずつ減ってきた頃、私はある人に話しかけられた。
「え、王太子殿下? あっ、ご挨拶が遅くなり申し訳ございません。」
「名前で呼んでって言ったのに……。それは別にいいんだよ。ノアに頼んでこっそり来たんだから。実はシャーロット嬢にお願いがあって。」
王太子殿下、ゼイン・キャベンディッシュ様はイアンと同い年で、現在23歳だ。婚約者がいてもいい年頃なのにまだいないのは好きな人がいるからだという噂がある。
(私はもう20歳だし、学園にも通ってないから『嬢』はおかしいのに)
そう思いながらもそのまま話を聞きづつける。
「お願いとは?」
「……私と結婚して欲しい。」
「は?」
予想外の言葉に思いもよらず素が出てしまった。すぐに謝ると悪いのは私だから気にしないで、と言われた。結婚って男女のそれしかないわよね? 私はまだ夫を亡くしたばかりなのに私だけじゃなく殿下も非難されるだろう。
「ゼイン、本気か?」
「ノアに関係ないよね? まぁ、本気だよ。ずっと好きだったから。」
そんなの初耳だ。私と殿下に深い関わりは今まで無かったはずだ。会ったのだって学園で数回だけしか……。
「関係ある。それにシャルはイアンを亡くしたばかりだ。そんなことしたらシャルが何を言われるか分からないお前ではないだろ。」
(ノア、殿下にそんな口の利き方をしたら不敬罪で訴えられるわ!)
でも、関係ある。って言ってくれて少し嬉しかった。ノアは私に欲しいものを与えてくれる存在だ。
「グルーバー伯爵には連絡してある。いい返事を待ってるよ。じゃあね。」
お父様に……? それなら、私の意思なんて関係ない。
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とりあえずR15だけ保険に。もしかしたらR18になる可能性も。
近況ボードの書き方分からなくて困っているので誰か教えて欲しいです……。
間違いない。あのブレスレットは私のものだ。絶対に。きっと裏に『S』という文字が彫ってある。
「裏を見せていただけないかしら? 取ったりはしないから。約束するわ。」
「はぁ? まぁ、いいけど。すぐ返してよね!」
やっぱり……私のものだ。この方の名前は存じ上げないけどこれはきっと私のものだ。1度落としてしまい少しだけ傷がついてしまったのだ。イアンに何度も謝ったが、気にしなくていいよ、と笑顔で言われたためそのままにしていた。それなのに最近このブレスレットを見かけなかったのだ。まさかこの人にあげていたとは思わなかったが。
「イアンってば優しいのよ。私の名前がソフィアだから、『S』って彫ってくれたの。」
イアン、渡すなら私のものじゃなくても良かったじゃない。それまで取られたら私、イアンに貰ったものが何も無いの。
「……返すわ、ありがとう。でも、借金は別よ。逆にあなたが私に慰謝料を払う立場だと思うけれど。イアンが死んだのはあなたの元へ行ったのが原因なのだから。」
イアンがソフィアさんの元へ行かなければかからなかった病気だ。高い熱と嘔吐、さらには幻覚が見え、最終的には死に至る恐ろしい病気。平民の間で流行っており、薬はもう開発済みだ。しかし、その薬の値段は平民が手を出せるものでは無い。しかも、一日で急激に悪化するのだ。イアンが私の部屋に来てくれていたら生きていたのだろうか……。
「無理に決まってるでしょ!? 平民の私にそんなお金あるわけないじゃない!」
「逃げたとしてもきっと見つけられると思うわ。イアンにしたように身体を売ればいいんじゃない?」
「イアンはかっこいいし優しいからいいのよ! 汚いおじさんとやるなんて考えられないわ!」
ソフィアさんはイアンに抱いてもらっていたのか。私は抱いてくれなかったのに……。
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「シャーロット嬢」
お葬式が終わり、人が少しずつ減ってきた頃、私はある人に話しかけられた。
「え、王太子殿下? あっ、ご挨拶が遅くなり申し訳ございません。」
「名前で呼んでって言ったのに……。それは別にいいんだよ。ノアに頼んでこっそり来たんだから。実はシャーロット嬢にお願いがあって。」
王太子殿下、ゼイン・キャベンディッシュ様はイアンと同い年で、現在23歳だ。婚約者がいてもいい年頃なのにまだいないのは好きな人がいるからだという噂がある。
(私はもう20歳だし、学園にも通ってないから『嬢』はおかしいのに)
そう思いながらもそのまま話を聞きづつける。
「お願いとは?」
「……私と結婚して欲しい。」
「は?」
予想外の言葉に思いもよらず素が出てしまった。すぐに謝ると悪いのは私だから気にしないで、と言われた。結婚って男女のそれしかないわよね? 私はまだ夫を亡くしたばかりなのに私だけじゃなく殿下も非難されるだろう。
「ゼイン、本気か?」
「ノアに関係ないよね? まぁ、本気だよ。ずっと好きだったから。」
そんなの初耳だ。私と殿下に深い関わりは今まで無かったはずだ。会ったのだって学園で数回だけしか……。
「関係ある。それにシャルはイアンを亡くしたばかりだ。そんなことしたらシャルが何を言われるか分からないお前ではないだろ。」
(ノア、殿下にそんな口の利き方をしたら不敬罪で訴えられるわ!)
でも、関係ある。って言ってくれて少し嬉しかった。ノアは私に欲しいものを与えてくれる存在だ。
「グルーバー伯爵には連絡してある。いい返事を待ってるよ。じゃあね。」
お父様に……? それなら、私の意思なんて関係ない。
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