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俺も死ぬから
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「詩には他の男と話すなって言ってるのに矛盾してた。俺も話さないようにするから泣かないで?」
私はこの言葉を信じていいのだろうか。でも、信じたいと思っている。たとえ、これが嘘の約束だったとしても。
「詩、ここにキスマつけて。」
「えっ? ど、どうやってつけたら……?」
「じゃあ噛んでもいいよ。詩がつけてくれるならなんでもいい」
噛むのは痛いよ……と伝えてもむしろいいんだよ。と言われて聞いてくれない。私は意を決して少しだけ歯を立てた。
「詩、何も付いてないよ。」
蒼くんはクスクスと笑う。本気で付けるなんてできないよ……。
「あっ! ちょっと待ってて!」
床に置いてあった私のスマホを取ると『キスマの付け方』と検索した。蒼くんはまだ心配だったみたいで私のスマホを覗き込んでいたが、内容がわかると少しだけ離れた。
「そ、蒼くん! 私頑張る!」
「うん、頑張って? あとで俺も付けるね。」
え、こんなにもうついてるのに? さっき調べてわかったのだが、胸につけるキスマは『所有』という意味らしいのだ。独占欲が強い人は胸につけたがると書いていたが本当なのだろうか。
「蒼くん、胸につけてもいい? 蒼くんは私のもの……?」
蒼くんは驚いたように目を見開いたが、喜んでくれているのかすごい笑顔でいいよ、と言ってくれた。
「んっ、あっ! ついたよ蒼くん!」
「上手にできたね。じゃあ……」
「ひゃっ! そ、蒼くんそれちく……び。」
「美味しそうに主張してたから。嫌なの?」
「蒼くんだったらいやじゃないよ。」
「あいつらも?」
あいつら? 新くんと蓮くんのこと? 私、嫌だったのかな。でも、むしろ……
「いたっ」
蒼くんはいきなり私の突起に歯を立てた。い、痛い……。
「意地悪してごめんね。詩、俺のことだけ考えて。他の男の子のなんて考えないで。詩が違うところに行ったと思うだけで俺死にそう。」
蒼くんはいつも大げさな気がする。確かに私も蒼くんがいないと生きていけないかもしれない。でも、痛いのはいやだから死ぬ、とかは考えられないなあ。
「そうなったら詩を殺して俺も死ぬから。」
思わずぞくっとしてしまった。蒼くんの目が本気だったから。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「詩ちゃーん! おはよ! 昨日大丈夫だった?」
「お前、その手……」
二人はたまに学校に遅れたり、途中で帰ったりすることがあるが基本は学校に来ているようだった。
「えっ、と……」
喋ったらだめって言われたけど私、無視なんてできないし……。
「如月に何か言われたのか?」
「そうだよ。だから、詩に話しかけないでね。傷つくのは君たちじゃなくて詩だから。」
「蒼くん!? どうしてここに?」
「詩がちゃんと約束守ってるかなー? って思って。」
私、蒼くんに信用されてなかったんだ。確かに蒼くんが来なかったら話してたかもしれない。私ってほんとだめだよね。蒼くんに言われたことも守れないなんて。
「蓮、行くぞ。」
「うん。」
この会話を最後に二人は学校へ来なくなってしまった。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
もう早いことに今日から夏休みである。結局二人は学校に来なかった。単位とか大丈夫なのかな。
「あれ、LINEきてる。誰だろう。」
Aって誰なんだろうか。あ、Rもいる。もしかして新くんと蓮くん? でも、蒼くんがブロックしたって言ってたよね……?
「えっ、電話かかってきた!?」
「も、もしもし」
「詩か? 明日会えるか?」
「あ、らたくん?」
「俺もいるよ~」
「蓮くん? 学校どうして来てなかったの?」
それより、どうして2人から連絡が……? 電話番号は交換してなかったよね?
「色々あってね~。明日会える? 駅集合ね!」
「どうして私の連絡先知ってたの? 蒼くんがブロックしたのに……。」
「神河さくらってやつに聞いた。」
さくらちゃん!? さくらちゃんというのは最近仲が良くなった子だ。蒼くんも女の子の友達なら、と許してくれたのだ。すごく美人でかっこいい子。私の事可愛いって言ってくれるけどさくらちゃんの方がよっぽど可愛いよ。
「とりあえず明日な。」
そう言うと通話が切れた。あっ、ちゃんと履歴消しておかないとだめだよね? 蒼くんにバレたらまた怒られちゃう。蒼くんに隠し事だなんて本当はしたくないけど蒼くんも傷ついちゃうから消しておこう。非表示でいいのかな?
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「どこ行くの?」
集合だと言われたが何時に集合かわからなかったため10時に家を出ることにした。いなかったら本屋さんにでも行こうかな。
そう思っていたのだが。
「そ、蒼くんこそどうしたの?」
「家から出てきたの見えたから。どこ行くのかなって。駅行くなら俺も行っていい?」
「あっ、いや、えっと……さくらちゃんと遊ぶの! 来週じゃだめかな……?」
「そうなの? なら仕方ないね。じゃあ、来週出かけようか。いってらっしゃい。」
なんとか誤魔化せたようだ。後でさくらちゃんに連絡しておこう。蒼くんも笑顔で手を振ってくれたし大丈夫だよね……?
私はこの言葉を信じていいのだろうか。でも、信じたいと思っている。たとえ、これが嘘の約束だったとしても。
「詩、ここにキスマつけて。」
「えっ? ど、どうやってつけたら……?」
「じゃあ噛んでもいいよ。詩がつけてくれるならなんでもいい」
噛むのは痛いよ……と伝えてもむしろいいんだよ。と言われて聞いてくれない。私は意を決して少しだけ歯を立てた。
「詩、何も付いてないよ。」
蒼くんはクスクスと笑う。本気で付けるなんてできないよ……。
「あっ! ちょっと待ってて!」
床に置いてあった私のスマホを取ると『キスマの付け方』と検索した。蒼くんはまだ心配だったみたいで私のスマホを覗き込んでいたが、内容がわかると少しだけ離れた。
「そ、蒼くん! 私頑張る!」
「うん、頑張って? あとで俺も付けるね。」
え、こんなにもうついてるのに? さっき調べてわかったのだが、胸につけるキスマは『所有』という意味らしいのだ。独占欲が強い人は胸につけたがると書いていたが本当なのだろうか。
「蒼くん、胸につけてもいい? 蒼くんは私のもの……?」
蒼くんは驚いたように目を見開いたが、喜んでくれているのかすごい笑顔でいいよ、と言ってくれた。
「んっ、あっ! ついたよ蒼くん!」
「上手にできたね。じゃあ……」
「ひゃっ! そ、蒼くんそれちく……び。」
「美味しそうに主張してたから。嫌なの?」
「蒼くんだったらいやじゃないよ。」
「あいつらも?」
あいつら? 新くんと蓮くんのこと? 私、嫌だったのかな。でも、むしろ……
「いたっ」
蒼くんはいきなり私の突起に歯を立てた。い、痛い……。
「意地悪してごめんね。詩、俺のことだけ考えて。他の男の子のなんて考えないで。詩が違うところに行ったと思うだけで俺死にそう。」
蒼くんはいつも大げさな気がする。確かに私も蒼くんがいないと生きていけないかもしれない。でも、痛いのはいやだから死ぬ、とかは考えられないなあ。
「そうなったら詩を殺して俺も死ぬから。」
思わずぞくっとしてしまった。蒼くんの目が本気だったから。
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「詩ちゃーん! おはよ! 昨日大丈夫だった?」
「お前、その手……」
二人はたまに学校に遅れたり、途中で帰ったりすることがあるが基本は学校に来ているようだった。
「えっ、と……」
喋ったらだめって言われたけど私、無視なんてできないし……。
「如月に何か言われたのか?」
「そうだよ。だから、詩に話しかけないでね。傷つくのは君たちじゃなくて詩だから。」
「蒼くん!? どうしてここに?」
「詩がちゃんと約束守ってるかなー? って思って。」
私、蒼くんに信用されてなかったんだ。確かに蒼くんが来なかったら話してたかもしれない。私ってほんとだめだよね。蒼くんに言われたことも守れないなんて。
「蓮、行くぞ。」
「うん。」
この会話を最後に二人は学校へ来なくなってしまった。
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もう早いことに今日から夏休みである。結局二人は学校に来なかった。単位とか大丈夫なのかな。
「あれ、LINEきてる。誰だろう。」
Aって誰なんだろうか。あ、Rもいる。もしかして新くんと蓮くん? でも、蒼くんがブロックしたって言ってたよね……?
「えっ、電話かかってきた!?」
「も、もしもし」
「詩か? 明日会えるか?」
「あ、らたくん?」
「俺もいるよ~」
「蓮くん? 学校どうして来てなかったの?」
それより、どうして2人から連絡が……? 電話番号は交換してなかったよね?
「色々あってね~。明日会える? 駅集合ね!」
「どうして私の連絡先知ってたの? 蒼くんがブロックしたのに……。」
「神河さくらってやつに聞いた。」
さくらちゃん!? さくらちゃんというのは最近仲が良くなった子だ。蒼くんも女の子の友達なら、と許してくれたのだ。すごく美人でかっこいい子。私の事可愛いって言ってくれるけどさくらちゃんの方がよっぽど可愛いよ。
「とりあえず明日な。」
そう言うと通話が切れた。あっ、ちゃんと履歴消しておかないとだめだよね? 蒼くんにバレたらまた怒られちゃう。蒼くんに隠し事だなんて本当はしたくないけど蒼くんも傷ついちゃうから消しておこう。非表示でいいのかな?
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「どこ行くの?」
集合だと言われたが何時に集合かわからなかったため10時に家を出ることにした。いなかったら本屋さんにでも行こうかな。
そう思っていたのだが。
「そ、蒼くんこそどうしたの?」
「家から出てきたの見えたから。どこ行くのかなって。駅行くなら俺も行っていい?」
「あっ、いや、えっと……さくらちゃんと遊ぶの! 来週じゃだめかな……?」
「そうなの? なら仕方ないね。じゃあ、来週出かけようか。いってらっしゃい。」
なんとか誤魔化せたようだ。後でさくらちゃんに連絡しておこう。蒼くんも笑顔で手を振ってくれたし大丈夫だよね……?
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