44 / 47
44.積み重ねられたもの
しおりを挟む
アニエスはいつだって私の前に立ちはだかった。
赤よりも青を。
黄色より紫を。
学院よりも優秀な魔術師を。
次期伯爵よりも高貴な相手を。
いつだって立ちはだかり、別の道に私を引っ張った。
こちらのほうがふさわしい。素晴らしい姉に見合う素晴らしいものを。
そう言い張って。
そして、姉を賞賛し褒め称える一方で自分自身については語らない姿を見た人たちは、自らの才能も美貌も鼻にかけない、なんて慎ましい淑女なのだとアニエスを評価した。
「優秀だって聞いてたからお姉様を預けたのに、いつまでも表舞台に出さないで塔にこもらせてばっかり」
これまで溜めこんでいたのだろう。吐き捨てるように言うアニエスに視線を落とす。
アニエスはいつだって、素晴らしい姉にふさわしい完璧な妹を装っていた。だから王家主催の夜会でも、完璧な妹を崩すことはないと思っていた。
だけど、完璧な妹であることよりも、姉が評価されていないことのほうが、彼女には大切だったようだ。
「挙句の果てに、こんなどこの誰とも知れない魔術師と恋人になるなんて……せっかくクロードみたいな外れくじを手放させたのに! これじゃあだいなしじゃない!」
「えっ」
肩で息をしながらやって来たクロードが素っ頓狂な声を出す。
アニエスと一緒にいてようやく追いついたのだろう。疲労の浮かぶ顔に、困惑が混じる。到着早々外れくじ扱いされたのだから、気持ちはわかる。
「お姉様には王家や王家に連なる人――いえ、むしろもっと上位の……神に等しい人でないと釣り合わないのに!」
王妃の器ではないといくら言っても聞かず、むしろ謙遜する慎ましいお姉様も素敵と解釈する始末。
魔術師の弟子だって、ジルが経緯を面白がらなければ歯牙にもかけられなかっただろう。
それほどの人間ではないと、そんな高みを目指せるほどではないと、何度言ってもアニエスは聞かなかった。しかも肥大し続けて、神に等しい存在にまで進化した。
「だから絶対絶対、あなたなんて認めないんだから!」
翡翠色の瞳がこれでもかとノエルを睨みつける。ノエルはちらりと私を見下ろしてから改めてアニエスを見て、首を傾げた。
「あなたに認めらても認められなくても、どちらでもいいですしどうでもいいです」
何を言われているのかよくわからない。そんな仕草と言動に、アニエスの顔が引きつる。
ここまであけすけに物を言うのは珍しい。夜会でもある程度は取り繕っていた。
ここがよく知った領地で、周りに私たちしかいないのが原因なのか、それとも――
「あ、あ、あなたなんて……! 表情も変わらないで、気持ち悪いし薄気味悪いし、それに元々はただの孤児だったくせに――」
振り上げた手が陶器のような肌を打つ。
響く乾いた音と衝撃に、アニエスがぱちくりと目を瞬かせた。
「いい加減にしなさい」
「お、お姉様?」
本当に本当に本当に、いい加減にしてほしい。
我が師ジル。あなたは積み上げられた価値を取り払うのは侮辱だと言っていたけど、この価値だけは――私ではない私のために積まれたこれは、受け入れられない。
「あなたが、あなたの思う姉を慕うのは勝手にすればいいわ。だけど、私の選んだ人を侮辱するのは許さないわ」
少しだけ赤くなった頬に彼女の白い手が添えられる。
そこでようやく私に叩かれたことを理解したのだろう。翡翠色の瞳にじんわりと涙が浮かんだ。
「な、なんで? だって、私、お姉様のために、絶対にこんな人よりも、もっともっとふさわしい人がいるのに」
理解できないと言うように、アニエスが視線をさまよわせ、うわ言のように呟く。
私だって、理解できない。昔はもっと普通の仲のよい姉妹だったのに、どうしてこんなことになってしまったのか。
いつからか私に似合うからと選ぶようになって、宥めても懇願しても聞かなかった。
それでも、ドレスや髪飾りぐらいなら、可愛いものだと甘んじた。
学院の件も、思いのほか魔術師の弟子が楽しかったので受け入れた。
だけど、将来の相手――私とアニエス二人の人生を捧げようとするのだけは許せなくて、これ以上は無理だと悟った。
「私のためだと言うのなら、私の選択を受け入れなさい」
「違う、違う、違うわ。お姉様は今はちょっと自棄になっているだけよ」
宥めても懇願しても叩いても諭しても、届かない。
実際の私ではなく、彼女の中にある姉像だけを信じている姿にため息が落ちる。
やはり、アニエスから離れようと決断して正解だった。これ以上は付き合えない。
彼女の目指す高みは、私では手が届かない。
「だって、そうじゃないとこんな、あんな魔術師の弟子なんて――」
これ以上は話しても無駄だと諦めて、どう話を打ち切ろうか考えていた私の耳が、ぴん、と張り詰めた糸のような音を拾う。
どこから、と思って周囲をうかがうけど、糸なんてどこにもない。
「それ以上喋れば侮辱とみなすと言ったはずです」
聞こえてきた声に冷たい瞳の向く先を追うと、言い募っていたアニエスの口が、まるで見えない糸に縫われたかのように固く閉ざされていた。
「あなたの口上に付き合う義理はありません。これ以上は聞き苦しいので黙っていてください」
アニエスが呻き声を漏らしながらノエルを睨む。だけどそんなことはどこ吹く風とばかりに、ノエルはアニエスから視線を外し、お父様のほうに顔を向けた。
「それで、魔物はどちらに?」
「え、あ、はい。え、ええと、受けて、くださるのですか?」
「申請された書類は受理されています。一度引き受けた依頼を放棄したりはしません」
淡々と言うノエルに、お父様がほっとしたように安堵の息を漏らす。そして呆然としていたクロードもお父様に促されて、「あちらに」と動きはじめた。
「あの、ノエル……」
いつもと変わらない顔を見上げる。淡々としていて事務的で、彼の顔からはどんな感情もうかがえない。
だけどそれでも、感情がないわけではない。喜びもするし怒ることもあるのだと、彼自身が言っていた。
だから今も、傷つくか怒ったかしているはずだ。もっと上手にできなかったのか、ノエルを傷つけることなく話せなかったのかと、自らの不甲斐なさが心苦しくて、申し訳なくなる。
「話は後にしましょう」
だけど、謝ることすら封じられる。
ノエルの言う通り、今は話しこむような状況じゃない。魔術師の弟子に徹するのだと決めていたはずなのに、アニエスによって乱された。業務に私情を持ち込むなと、フロラン様も言っていたのに。
「それよりも、あなたの見る目は確かなのだと……あなたの妹に見せつけてあげるほうが大切です」
ノエルが一歩踏み出すと同時に、その足元から糸が張り巡らされた。
赤よりも青を。
黄色より紫を。
学院よりも優秀な魔術師を。
次期伯爵よりも高貴な相手を。
いつだって立ちはだかり、別の道に私を引っ張った。
こちらのほうがふさわしい。素晴らしい姉に見合う素晴らしいものを。
そう言い張って。
そして、姉を賞賛し褒め称える一方で自分自身については語らない姿を見た人たちは、自らの才能も美貌も鼻にかけない、なんて慎ましい淑女なのだとアニエスを評価した。
「優秀だって聞いてたからお姉様を預けたのに、いつまでも表舞台に出さないで塔にこもらせてばっかり」
これまで溜めこんでいたのだろう。吐き捨てるように言うアニエスに視線を落とす。
アニエスはいつだって、素晴らしい姉にふさわしい完璧な妹を装っていた。だから王家主催の夜会でも、完璧な妹を崩すことはないと思っていた。
だけど、完璧な妹であることよりも、姉が評価されていないことのほうが、彼女には大切だったようだ。
「挙句の果てに、こんなどこの誰とも知れない魔術師と恋人になるなんて……せっかくクロードみたいな外れくじを手放させたのに! これじゃあだいなしじゃない!」
「えっ」
肩で息をしながらやって来たクロードが素っ頓狂な声を出す。
アニエスと一緒にいてようやく追いついたのだろう。疲労の浮かぶ顔に、困惑が混じる。到着早々外れくじ扱いされたのだから、気持ちはわかる。
「お姉様には王家や王家に連なる人――いえ、むしろもっと上位の……神に等しい人でないと釣り合わないのに!」
王妃の器ではないといくら言っても聞かず、むしろ謙遜する慎ましいお姉様も素敵と解釈する始末。
魔術師の弟子だって、ジルが経緯を面白がらなければ歯牙にもかけられなかっただろう。
それほどの人間ではないと、そんな高みを目指せるほどではないと、何度言ってもアニエスは聞かなかった。しかも肥大し続けて、神に等しい存在にまで進化した。
「だから絶対絶対、あなたなんて認めないんだから!」
翡翠色の瞳がこれでもかとノエルを睨みつける。ノエルはちらりと私を見下ろしてから改めてアニエスを見て、首を傾げた。
「あなたに認めらても認められなくても、どちらでもいいですしどうでもいいです」
何を言われているのかよくわからない。そんな仕草と言動に、アニエスの顔が引きつる。
ここまであけすけに物を言うのは珍しい。夜会でもある程度は取り繕っていた。
ここがよく知った領地で、周りに私たちしかいないのが原因なのか、それとも――
「あ、あ、あなたなんて……! 表情も変わらないで、気持ち悪いし薄気味悪いし、それに元々はただの孤児だったくせに――」
振り上げた手が陶器のような肌を打つ。
響く乾いた音と衝撃に、アニエスがぱちくりと目を瞬かせた。
「いい加減にしなさい」
「お、お姉様?」
本当に本当に本当に、いい加減にしてほしい。
我が師ジル。あなたは積み上げられた価値を取り払うのは侮辱だと言っていたけど、この価値だけは――私ではない私のために積まれたこれは、受け入れられない。
「あなたが、あなたの思う姉を慕うのは勝手にすればいいわ。だけど、私の選んだ人を侮辱するのは許さないわ」
少しだけ赤くなった頬に彼女の白い手が添えられる。
そこでようやく私に叩かれたことを理解したのだろう。翡翠色の瞳にじんわりと涙が浮かんだ。
「な、なんで? だって、私、お姉様のために、絶対にこんな人よりも、もっともっとふさわしい人がいるのに」
理解できないと言うように、アニエスが視線をさまよわせ、うわ言のように呟く。
私だって、理解できない。昔はもっと普通の仲のよい姉妹だったのに、どうしてこんなことになってしまったのか。
いつからか私に似合うからと選ぶようになって、宥めても懇願しても聞かなかった。
それでも、ドレスや髪飾りぐらいなら、可愛いものだと甘んじた。
学院の件も、思いのほか魔術師の弟子が楽しかったので受け入れた。
だけど、将来の相手――私とアニエス二人の人生を捧げようとするのだけは許せなくて、これ以上は無理だと悟った。
「私のためだと言うのなら、私の選択を受け入れなさい」
「違う、違う、違うわ。お姉様は今はちょっと自棄になっているだけよ」
宥めても懇願しても叩いても諭しても、届かない。
実際の私ではなく、彼女の中にある姉像だけを信じている姿にため息が落ちる。
やはり、アニエスから離れようと決断して正解だった。これ以上は付き合えない。
彼女の目指す高みは、私では手が届かない。
「だって、そうじゃないとこんな、あんな魔術師の弟子なんて――」
これ以上は話しても無駄だと諦めて、どう話を打ち切ろうか考えていた私の耳が、ぴん、と張り詰めた糸のような音を拾う。
どこから、と思って周囲をうかがうけど、糸なんてどこにもない。
「それ以上喋れば侮辱とみなすと言ったはずです」
聞こえてきた声に冷たい瞳の向く先を追うと、言い募っていたアニエスの口が、まるで見えない糸に縫われたかのように固く閉ざされていた。
「あなたの口上に付き合う義理はありません。これ以上は聞き苦しいので黙っていてください」
アニエスが呻き声を漏らしながらノエルを睨む。だけどそんなことはどこ吹く風とばかりに、ノエルはアニエスから視線を外し、お父様のほうに顔を向けた。
「それで、魔物はどちらに?」
「え、あ、はい。え、ええと、受けて、くださるのですか?」
「申請された書類は受理されています。一度引き受けた依頼を放棄したりはしません」
淡々と言うノエルに、お父様がほっとしたように安堵の息を漏らす。そして呆然としていたクロードもお父様に促されて、「あちらに」と動きはじめた。
「あの、ノエル……」
いつもと変わらない顔を見上げる。淡々としていて事務的で、彼の顔からはどんな感情もうかがえない。
だけどそれでも、感情がないわけではない。喜びもするし怒ることもあるのだと、彼自身が言っていた。
だから今も、傷つくか怒ったかしているはずだ。もっと上手にできなかったのか、ノエルを傷つけることなく話せなかったのかと、自らの不甲斐なさが心苦しくて、申し訳なくなる。
「話は後にしましょう」
だけど、謝ることすら封じられる。
ノエルの言う通り、今は話しこむような状況じゃない。魔術師の弟子に徹するのだと決めていたはずなのに、アニエスによって乱された。業務に私情を持ち込むなと、フロラン様も言っていたのに。
「それよりも、あなたの見る目は確かなのだと……あなたの妹に見せつけてあげるほうが大切です」
ノエルが一歩踏み出すと同時に、その足元から糸が張り巡らされた。
26
お気に入りに追加
2,242
あなたにおすすめの小説

婚約破棄された私の結婚相手は殿下限定!?
satomi
恋愛
私は公爵家の末っ子です。お兄様にもお姉さまにも可愛がられて育ちました。我儘っこじゃありません!
ある日、いきなり「真実の愛を見つけた」と婚約破棄されました。
憤慨したのが、お兄様とお姉さまです。
お兄様は今にも突撃しそうだったし、お姉さまは家門を潰そうと画策しているようです。
しかし、2人の議論は私の結婚相手に!お兄様はイケメンなので、イケメンを見て育った私は、かなりのメンクイです。
お姉さまはすごく賢くそのように賢い人でないと私は魅力を感じません。
婚約破棄されても痛くもかゆくもなかったのです。イケメンでもなければ、かしこくもなかったから。
そんなお兄様とお姉さまが導き出した私の結婚相手が殿下。
いきなりビックネーム過ぎませんか?

婚約者を義妹に奪われましたが貧しい方々への奉仕活動を怠らなかったおかげで、世界一大きな国の王子様と結婚できました
青空あかな
恋愛
アトリス王国の有名貴族ガーデニー家長女の私、ロミリアは亡きお母様の教えを守り、回復魔法で貧しい人を治療する日々を送っている。
しかしある日突然、この国の王子で婚約者のルドウェン様に婚約破棄された。
「ロミリア、君との婚約を破棄することにした。本当に申し訳ないと思っている」
そう言う(元)婚約者が新しく選んだ相手は、私の<義妹>ダーリー。さらには失意のどん底にいた私に、実家からの追放という仕打ちが襲い掛かる。
実家に別れを告げ、国境目指してトボトボ歩いていた私は、崖から足を踏み外してしまう。
落ちそうな私を助けてくれたのは、以前ケガを治した旅人で、彼はなんと世界一の超大国ハイデルベルク王国の王子だった。そのままの勢いで求婚され、私は彼と結婚することに。
一方、私がいなくなったガーデニー家やルドウェン様の評判はガタ落ちになる。そして、召使いがいなくなったガーデニー家に怪しい影が……。
※『小説家になろう』様と『カクヨム』様でも掲載しております

私の頑張りは、とんだ無駄骨だったようです
風見ゆうみ
恋愛
私、リディア・トゥーラル男爵令嬢にはジッシー・アンダーソンという婚約者がいた。ある日、学園の中庭で彼が女子生徒に告白され、その生徒と抱き合っているシーンを大勢の生徒と一緒に見てしまった上に、その場で婚約破棄を要求されてしまう。
婚約破棄を要求されてすぐに、ミラン・ミーグス公爵令息から求婚され、ひそかに彼に思いを寄せていた私は、彼の申し出を受けるか迷ったけれど、彼の両親から身を引く様にお願いされ、ミランを諦める事に決める。
そんな私は、学園を辞めて遠くの街に引っ越し、平民として新しい生活を始めてみたんだけど、ん? 誰かからストーカーされてる? それだけじゃなく、ミランが私を見つけ出してしまい…!?
え、これじゃあ、私、何のために引っ越したの!?
※恋愛メインで書くつもりですが、ざまぁ必要のご意見があれば、微々たるものになりますが、ざまぁを入れるつもりです。
※ざまぁ希望をいただきましたので、タグを「ざまぁ」に変更いたしました。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。

【完結】溺愛される意味が分かりません!?
もわゆぬ
恋愛
正義感強め、口調も強め、見た目はクールな侯爵令嬢
ルルーシュア=メライーブス
王太子の婚約者でありながら、何故か何年も王太子には会えていない。
学園に通い、それが終われば王妃教育という淡々とした毎日。
趣味はといえば可愛らしい淑女を観察する事位だ。
有るきっかけと共に王太子が再び私の前に現れ、彼は私を「愛しいルルーシュア」と言う。
正直、意味が分からない。
さっぱり系令嬢と腹黒王太子は無事に結ばれる事が出来るのか?
☆カダール王国シリーズ 短編☆

破滅した令嬢は時間が戻ったので、破滅しないよう動きます
天宮有
恋愛
公爵令嬢の私リーゼは、破滅寸前だった。
伯爵令嬢のベネサの思い通り動いてしまい、婚約者のダーロス王子に婚約破棄を言い渡される。
その後――私は目を覚ますと1年前に戻っていて、今までの行動を後悔する。
ダーロス王子は今の時点でベネサのことを愛し、私を切り捨てようと考えていたようだ。
もうベネサの思い通りにはならないと、私は決意する。
破滅しないよう動くために、本来の未来とは違う生活を送ろうとしていた。

婚約破棄されたショックで前世の記憶を取り戻して料理人になったら、王太子殿下に溺愛されました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
シンクレア伯爵家の令嬢ナウシカは両親を失い、伯爵家の相続人となっていた。伯爵家は莫大な資産となる聖銀鉱山を所有していたが、それを狙ってグレイ男爵父娘が罠を仕掛けた。ナウシカの婚約者ソルトーン侯爵家令息エーミールを籠絡して婚約破棄させ、そのショックで死んだように見せかけて領地と鉱山を奪おうとしたのだ。死にかけたナウシカだが奇跡的に助かったうえに、転生前の記憶まで取り戻したのだった。

再婚約ですか? 王子殿下がいるのでお断りしますね
マルローネ
恋愛
伯爵令嬢のレミュラは、公爵閣下と婚約関係にあったが、より位の高い令嬢と婚約しレミュラとは婚約破棄をした。
その事実を知ったヤンデレ気味の姉は、悲しみの渦中にあるレミュラに、クラレンス王子殿下を紹介する。それを可能にしているのは、ヤンデレ姉が大公殿下の婚約者だったからだ。
レミュラとクラレンス……二人の仲は徐々にだが、確実に前に進んでいくのだった。
ところでレミュラに対して婚約破棄をした公爵閣下は、新たな侯爵令嬢のわがままに耐えられなくなり、再びレミュラのところに戻って来るが……。

王子に買われた妹と隣国に売られた私
京月
恋愛
スペード王国の公爵家の娘であるリリア・ジョーカーは三歳下の妹ユリ・ジョーカーと私の婚約者であり幼馴染でもあるサリウス・スペードといつも一緒に遊んでいた。
サリウスはリリアに好意があり大きくなったらリリアと結婚すると言っており、ユリもいつも姉さま大好きとリリアを慕っていた。
リリアが十八歳になったある日スペード王国で反乱がおきその首謀者として父と母が処刑されてしまう。姉妹は王様のいる玉座の間で手を後ろに縛られたまま床に頭をつけ王様からそして処刑を言い渡された。
それに異議を唱えながら玉座の間に入って来たのはサリウスだった。
サリウスは王様に向かい上奏する。
「父上、どうか"ユリ・ジョーカー"の処刑を取りやめにし俺に身柄をくださいませんか」
リリアはユリが不敵に笑っているのが見えた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる