夏の青さに

詩葉

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第8話 子供旅

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 一時間かけて電車の旅を楽しんだ五人は、目的地の最寄り駅である大名川町の隣町へ着いた。木造で出来た無人駅を出ると、すぐ前に大きな山々が見え、青い空に日がじりじりと照っていた。
 周りは草むらと車が通れるほどの砂利道しかなく、渉達以外に人はいない。
「暑っついなぁ……」
「熱中症対策しとかないとね」
 夏真っ只中。まだお昼前の空でも太陽はぎらぎらと輝いて気温をどんどんと上げていく。
「ここからバス停までどれくらいかかるんだっけ? 青」
「大体一時間ぐらい……かな。結構歩くよ」
「まーじかぁ……」
 見た感じ、民家が点々としているぐらいでコンビニといったお店が見当たらないほどの田舎町。唯一あるのは、野菜の無人販売所ぐらいだろうか。
「飲み物が無くなっても途中で自販機とかがあれば良いんだけど」
「そうね。もしこんな所で倒れたらきっと助けは来ないわよね……」
「怖いこと言うなよ!?」
 しかし実際問題、この炎天下の中、五人全員が倒れたりでもしたら命の保証はないだろう。
「みんな、こまめに水分補給を摂ること。体調が悪くなった人は逐一言ってね」
 颯人は班長としてみんなに注意すると、班員は大きな声で返事をした。
 四十分ほど歩いたあたり、空にある太陽はほぼ真上に来ていた。最初はお喋りをしたりはしゃいでいた五人は、疲れてきた様子で歩く速さも遅くなっていた。
「……みんな、大丈夫?」
「だいじょーぶ……」
「はぁ……本当暑いし遠いわね……」
 笑顔が消えて、楽しい話題も尽きて、夏の暑さと蝉の煩い鳴き声ばかりが耳に届く。
 五人は気が滅入り始めていた。そんな時……。
「あ!」
 ぽつんと雨粒が渉の頭に当たって、それからなだれ込んでくるように次々に雨が降り始めた。先ほどまで雲一つない青空だったのが嘘みたいに、曇天が頭上を覆いつくしている。
「最悪! 雨が降るなんて聞いてない!」
「今日の天気予報では一日、晴れだったのに……!」
 道の真ん中、傘も持っていない五人は雨ざらしになり、慌てて何処か雨宿りできる場所はないかと走り出した。
 肩から下げたカバンを頭に乗せて、少しでも濡れないようにするも、雨の勢いが強すぎてほぼ意味をなしていない。周りには建物らしいものはなく、田んぼと若干、木が生えているばかりである。
「あそこに逃げよう!」
 渉は前方に見えた他の木より幾分か大きな木を指差した。
 大きな幾数枚の葉が屋根のように覆ってくれるその木は近くで見ると更に大きい印象を受けた。五人はがらがら駆け込んで、息を整える。
「……げほっ……ごほっ」
「大丈夫? 青くん?」
「うん平気……! 少し水が口に入ったみたい」
「にしても本当最悪ね」
 雨の脅威を免れたが、五人はこの場所から一歩も出れないといった状態になってしまった。未だ、勢いを留めることを知らずに空は多くの雨粒を流している。
「暑いとは言ったけど雨に当たりたいとは言ってねぇよ! ばーか!」
 木の幹で不機嫌そうに座っていた渉がいきなり大声で叫んだ。
「急に大声出さないでよ! 耳が壊れるでしょう!?」
「はぁ!? 瀬奈も人の事言えねぇだろうが!」
 狭い木の下で言い合いを始める渉と瀬奈に、他の三人はなだめる気力もないのか疲れた様子で見ている。
「……雨、いつやむのかな」
「分からない。……傘を持ってくればよかった……はぁ、僕としたことが……」
「しょうがないよ……テレビでも言ってなかったんだから」
 後ろで言い争いをする二人の声は激しく降る雨の音で少しずつかき消されていく。
 いつの間にか渉と瀬奈も怒る気力すらなくなったのか、三人と同じように静かにただ降りゆく雨を眺めていた。
「……日向」
 何分かそうして黙っていた瀬奈はふと何かを見つけて、日向の名前を呼んだ。
「どうしたの? 瀬奈ちゃん」
「あの花、ユリって言う花よね?」
 瀬奈の視線の先には、ちょうど木陰に入るか入らないかという場所に白い花が一輪、雨に濡れて咲いていた。その隣には別の紫色をした花がこれまた一輪咲いている。
「そうだね。あれはユリだよ! 覚えててくれたんだ」
「……うん。この前教えてくれたからね」
 瀬奈は花の所までいくと白いユリではなく、その隣の紫の花の前でしゃがんだ。
「その紫の花はねキキョウっていう花なの」
 日向も瀬奈と同じように花のそばまで寄って花を眺める。
「キキョウ……綺麗」
「綺麗だねぇ……でもこの木の近くじゃ十分な栄養を貰えずに枯れちゃうかも……」
 日向がそう言うと瀬奈は表情を一変させた。
「ほら、この子たちの周りに咲いている枯れた花たち多分ユリとキキョウだよ」
 見るとそこにはユリやキキョウの形をとった枯れた花が横たわっている。
「……このままここにいたら枯れちゃう……」
「瀬奈ちゃん?」
「そんなの可哀想よ……!」
 瀬奈は手でキキョウの根元を掴むとそのまま引っこ抜いた。
「あっ! 瀬奈ちゃんそれは――……!」
 日向は咄嗟に瀬奈のやったことは花の命をむしり取ることだと伝えようとした。しかし、瀬奈の行動は決して、悪意のあったものではなくただただその場所で枯れてしまうのが悲しくて、してしまったことなのだ。
 それを間近で感じた日向は、その先を言うことを躊躇った。そして、自分も同じようにユリの根元を掴んで。
「一緒にもっていこう。これできっと寂しくないよね」
 丁寧に慎重にユリを引っこ抜くと微笑んで見せた。
「そうね……!」
 瀬奈も同じく微笑んだ。
 気づけば雨脚は弱まって、分厚かった雲間からは細く光が差している。小雨がぱらぱらと降り、木の葉の隙間からは暖かな光が五人を包んでいた。
「皆! あれ見て!」
 先程は雨で良く見えなかった視界の先に、佇む建物を青は発見した。民家とは少し違った様子のその建物は、よく見ると入口付近に色とりどりの何かが設置されている。
 雨が上がったことによる安堵感と新しいものを見つけた喜びで渉達は、一斉にそこへ向かって走り出した。
 雨上がりの草木の香りがして、徐々に太陽が姿を現していく。蝉が再び鳴き始め、地面を蹴る子供たちの足音が聞こえた。
「これって!」
 入口にあった色とりどりの何かは、どうやらガチャポンだったらしく何やらヒーロー物のグッズが中に入っていた。そして、その建物自体には小さく駄菓子屋と書いてある。
「駄菓子屋だ!」
「入ろう入ろう!」
 珍しく瀬奈は、目を輝かせて店に勢いよく入っていく。それに倣って渉、日向と青と颯人が順に入っていった。
 その駄菓子屋は、どうやら普通の家と合体している様子で中は思ったよりも広かった。
 こんにゃくゼリー、きびだんご、指輪飴、わたがし、ラムネ、棒アイスといったものが所狭しと並べられ、きらきらと輝いて見える。
「おや、珍しいねぇ……こんなに子供が来てくれるなんて」
 奥から出てきた駄菓子屋のおばあちゃんは、嬉しそうに顔をしわくちゃにさせて笑った。
「これとこれとこれ! 下さい!」
「青! 棒アイス分けようぜ!」
「ありがとう渉!」
「日向、それ何?」
「指輪飴とキューブ飴とペロペロキャンディだよ! 颯人くん!」
 駄菓子を選んでいる間に先程までの疲れは一気に吹き飛んだようで、わいわいと駄弁りながらお菓子を食べる五人。
「どこから来たんだい?」
 おばあちゃんは優しそうな顔で微笑みながら問いかけた。
「明日賀屋!」
「あぁ、随分遠いところから来たんだねぇ……大変だったろう」
「僕達、大名川町のお祭りに行くんです」
 気前のいい駄菓子屋のおばあちゃんは、渉達が大名川町に行こうとしていることを知ると、あと少し行ったらバス停があると教えてくれた。
 お菓子をまだ買い足りない様子の瀬奈と日向が店内にまだいる中、残った三人の男子はお店前のベンチに座りながらアイスを食べている。
「お! そういやこのガチャポン、ヒーローのやつだったよな!」
 そう言って渉はガチャポンの前へ行くと、百円玉を入れて錆び付いたレバーを倒した。
「渉は本当にヒーロー好きだねぇ……」
「だって、かっけぇじゃん! ほら見ろよ!」
 当たった戦隊モノのミニチュアは赤いヒーローだった。
「ほんと! かっこいいね!」
 晴天の空を背景にガチャポンのグッズを持ち、満面の笑みを浮かべる渉に向かって、青はそう言った。
 
「じゃあ気をつけて行くんだよ~」
 駄菓子屋のおばあちゃんに見送られ、渉達はバス停まで歩き出した。おばあちゃんの言っていた通り、本当に歩いてすぐバス停と思わしき場所がだだっ広い平原にぽつんとある。
「もうすぐで大名川町に着くな!」
「うん! バスの時間もあともう少しで来るみたいだし、良かった!」
「何事もなく着けそうで本当に良かったよ」
 すっかり元気を取り戻した五人は、数分後にバスが来るまで他愛もない話をしていた。
「なぁなぁ、そういえばみんなは願い事は何書くか決まったか?」
「もちろん! 渉は?」
「そりゃあ、俺は夢が叶いますようにってお願いする! まぁ絶対、叶えるけどな!」
 自信満々にそう答える渉に、皆は笑った。きっと誰もが、彼なら絶対叶えるだろうと思っているのだろう。
「みんなの願い事はなんだ!?」
「教えないー」
「な、内緒かな」
「僕も言わないでおこう」
「秘密!」
 誰も一切教えようとしないのは想像していなかったらしく、渉は驚きの声を上げた。
「いやいや、ちょっと待てよ! 不公平だ!」
 どれだけ騒いで聞いても、結局バスが来るまで誰一人も自身の願い事を明かしてくれなかった。
 でもバスに乗って段々と大名川町が近づいてくるうちに、皆のテンションは少しずつ上がり、いよいよお祭りだという雰囲気に呑まれていく。
 大名川町は、先程の最寄り駅周辺と何ら変わらない景色が広がっていた。ただ違う所を挙げるとするならば、町全体が山に近く坂が多いという事だろうか。
 バス停から歩いて数分、急な登り坂を歩いて行った先に、青の祖母の家がある。
「おばあちゃん! 連れてきたよ!」
 青が家の玄関を開けてそう言うと、青の祖母はゆっくりと廊下を歩いてやってきた。
「本日は急なお願いを承諾して頂き、本当にありがとうございます!」
「「「ありがとうございます!」」」
 班長の颯人の合図で、挨拶をすると青の祖母はにっこり笑って。
「まぁまぁ、こんなにお友達をいっぱい連れて、今年の大名川祭りは賑わいそうだのう」
 とても優しそうな声でそう言った。
 
 神木の根元に埋める紙は事前に配られるらしく、前々から連絡していたということで青の祖母はしっかり五人分の紙を頼んでくれていた。
 紙を埋める時間が始まる午後三時には間に合うように、各々筆記用具を引っ張り出して、紙に願い事を書いていく。
 『夢が叶いますように』決して上手とは言えないが丁寧に、そう書かれた紙は何処か不思議な雰囲気を醸し出している感じがした。
 自分のものだと分かるように瀬奈と日向は道中で摘んだ花を紙にくっつけて、渉は紙に絵を描いた。
 各自、願い事を書き終わり、いよいよお祭りに行こうとする中その事件は起こる。
 アクセル音が遠くから聞こえて、坂の一番上にある青の祖母の家の敷地内に、鋭い悲鳴のようなブレーキ音を出しながら一台の車が入ってきた。
 パッと見、あまり見かけないもの、高級車の類だろうかと感じさせるその白い車から、一人のガタイのいい男性が降りてくる。
 それを見た瀬奈は暫く絶句した後、絞り出すように声を発した。
「お父さん…………」
 それは瀬奈の父親だった。彼は、瀬奈を見つけるや否や大きな声で怒鳴り出した。あまりに衝撃的で恐怖を感じた瀬奈は、一瞬何も聞こえ無くなってしまう。
 どうやら青の親が同伴出来なかったことを謝りに、各家庭に電話を入れたらしかった。そして、そこで初めて娘が嘘をついていた事を知った瀬奈の親は激怒し、渉達の親に今すぐ帰らせろというような内容の電話をしたらしい。
 渉達の親も続々と迎えに来る中、瀬奈はただただ泣きじゃくる事しか出来なかった。自分のせいで、全てが台無しになったことだけが悔しくて、他のみんなに申し訳が立たなくて、父親に叩かれた頬の痛みよりも、心の痛みの方が何倍も痛かった。

          ***

 ピピピとスマホのアラームが鳴って、瀬奈は目を覚ました。いつの間にかお風呂にも入らず眠ってしまった事に気づく。
 その直後、先程見た夢の内容がフラッシュバックしてきて、彼女の思考を覆い尽くしていった。
「思い……出した……」
 そう辿々しく言葉を紡ぐと、瀬奈は勢いよくスマホを手に取り、昨日作ったばかりのグループにメッセージを送った。
『青のこと思い出した』
 普段は絵文字やら顔文字を駆使したメッセージじゃないと送るのを躊躇うくらいなのだが、その時の瀬奈は一刻も早く伝えたくて気持ちが先走っていた。メッセージにはすぐに既読が二件つき、ほぼ同時に日向と渉から返信が来る。
『本当!?』
『夢を見たのか!?』
 瀬奈はそのメッセージを見ながら、素早くキーボードをタップしていった。
『うん、夢の内容は後で話す。二人とも今日空いてる?』
 その問いにも一瞬で既読がつき暫くして返信が来る。
『勿論! なんなら今日でもいいぜ!』
『私も今日、休みだし大丈夫だよ!』
 期待通りの返信に瀬奈は内心ほっとした。
 瀬奈は青の事を思い出したついでに、あの頃抱いていた両親への恐怖を思い出して泣き出してしまいそうだったのだ。ただ、その恐怖は渉たちとメッセージのやりとりをしていくうちに溶けていき、代わりに熱を持った怒りに変わった。
 生まれてこの方、ちゃんとした抵抗を見せていなかった彼女はここ数日の昔馴染みとの再会や幼いころの夢で、自身を奮い立たせる。
 今日のこの日、彼女は初めて親に何も言わず家を出て、会社ではなく友達の元へと向かった。
 親にバレないように直接、親と関係のない部署に有休を使うことを連絡し、急ぎ家を出る。幸い、今日は午後からの出勤だったため助かった。
『場所は明日小前ね』
 少しの緊張と初めて反抗らしい反抗をした高揚感でないまぜになった感情で、瀬奈はメッセージを送った。

 車で明日賀屋小学校前まで向かった瀬奈は、先に着いて話をしていた渉と日向に軽く挨拶を済ますと今朝見た夢の内容を二人に話した。細かい部分、特に瀬奈の親が来たあたりは省いて、願い事を書けずに終わったということを告げる。
「そうか……そんなことがあったのか……」
「結局お祭りに行けなかったんだね……」
 残念そうに肩を落とす日向を励ますように、瀬奈は口を開いた。
「でも、これで重要な手がかりが得られたわ」
「え? どっかにそんなものあったか?」
「なになに?」
 瀬奈は、夢に出てきたある場所を思い浮かべながら、その地名を口にした。
「青のおばあちゃんの家がある大名川町。そこに行けば、きっと青がいたってこと証明出来る気がするの」
 大名川町。宮城県の北側に位置し、古いしきたりと特別なお祭りの伝統が続く田舎町だ。過去に渉達はその場所へ足を運び、夏休みの思い出を作ったはずだった。
「大名川町か……確かに行ってみる価値は十分あるな!」
「うん! もしかしたら青くんのおばあちゃんに会えるかもしれないよね!」
 やっと手がかりを得られたことにホッと安堵し、渉と日向は喜びの声を上げた。
「ええ、早速だけど今日にでも――」
 ピロン。
「あぁ、悪い」
 軽快な音と共に渉のスマホが鳴った。通知をオフにするついでに渉は、通知の内容を確認して固まる。
「どうしたの?」
 スマホの画面を凝視して息を吸うことも忘れている渉に気づいた瀬奈は、質問ついでに端末を覗き見た。
 メッセージアプリのポップアップ通知。それは崎川颯人という人物から送られていた。
『もう死のうと思っている』
 そんな十一文字の言葉を瀬奈は理解出来ずに、何度も何度も繰り返し繰り返し頭の中で反芻はんすうする。
「え……?」
 ようやく意味が分かった彼女は、ただそれだけの声を出すのにも精一杯だった。
 
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