珈琲は月の下で

――あなたと飲むのは、これがいい。

月と地球との間を往復する連絡船。一週間近くの長旅を支えるクルーのひとりとして船内バーで働く花岡小恋《はなおか・ここ》は、学生時代からの付き合いでひとつ年下の後輩である朝倉陽咲《あさくら・ひなた》に想いを寄せていた。
好きだと口にしたことは幾度もあるが、同時に恥ずかしさが押し寄せてきて、結局いつも彼女のことをからかうような態度を取ってしまう。

ようやくあと数時間で月へと到着するというところで非番となったふたりは、この旅程最後の食事へと向かった。
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