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俺のNTR対策/幼なじみ+バイト先輩×おつむよわよわ大学生/総受け

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ーー悠との1件の後、俺は家に帰ってから暁斗先輩に『悠と無事に仲直り出来たので偽の御付き合いはもう大丈夫です。ご迷惑おかけしました』とメッセージを送った。

のだが………


『な、なんでなんでなんで!?なに?何があったの!?』
「お、落ち着いてください先輩……」

メッセージが既読になった瞬間、暁斗先輩からの突然の電話。
思わず取ってしまったのだが、開口一番の怒涛の『なんで?』攻めに困惑してしまう。

『こ、これが落ち着けるわけないでしょ!だってあの幼なじみ君でしょ?……ハッ!も、もしかして…雅人、脅されてる?無理矢理えっちなことされて、写真撮られたりとか……』
「そっ…それはないですから!」

……えっちなことは、されたけど。

だがそれは敢えて封印し、俺は深呼吸をしてから先輩に事情を説明する。
だって先輩には色々迷惑かけたからちゃんと説明しておかないと申し訳ないし。

「実はですね…その、悠に告白されまして…俺のこと、あいしてる、とか…あと…せっ……せっ、くす…したい、とか…そういう意味で」
『……は?』

瞬間、先輩の声色が変わり俺はびくりと震える。

この声は…あの朝帰り事件の時と同じ、いつもより低い声色だ。

『まさか雅人、そのまま流されて付き合うとか言ってないよね?』
「そ、それは無いですよ!俺、男と付き合うってまだよく分かってないですし…」

暁斗先輩とデート(仮)はしたものの、俺が本気で同じ男を愛せるかはまだよく分からない。

…俺としては、変わらず『可愛いお嫁さんとの新婚生活』が生涯の夢だし。

「だから、悠への返事も保留にしてもらってます。…でもとりあえず偽の御付き合いはもう不要になったので、先輩には御説明をと……」
『………………やだ』
「?先輩…?」
『やだーーーー!!!!!』

電話口から聞こえた突然の絶叫。
まるで駄々をこねる子供のように叫ぶ先輩に俺は困惑する他ない。

「え、ち、ちょ…あ、暁斗先輩?」
『そんなの、やだよ…だって幼なじみ君はこれまで何度も雅人を傷付けて来たんでしょ?それなのに『好き』って言われたから許すなんて…典型的なDV男のやり口じゃん!』
「でぃ、DVて…」

ちょっとそれは言い過ぎじゃなかろうか。
俺は思わず苦笑いしてしまうも、先輩の怒りは収まらない。

『散々雅人のこと泣かせといて虫が良すぎるよ……俺だって、雅人のこと大好きなのに』
「先輩…心配してくれるのはありがたいですけど、もう恋人のフリはいらないんですよ?」

まだ演技をしているのか、俺の事を『大好き』とのたまう先輩。
思わずため息をつきそうになりながらも俺は演技を止めるよう促したのだが……

『……演技じゃ、ないよ』
「え?」
『俺は…本気で雅人の事が好き。幻滅するかもしれないけど…偽の御付き合いも、下心あっての提案だったんだ』

え、えぇええ…!?

本日2度目の告白。
それも、どちらも男から。

俺は思わずスマホを取り落としそうになったが、なんとか踏ん張って先輩を問いただす。

「それは…じ、冗談、ですよね?だって先輩……」
『ごめん。こればっかりは本気だから。…今も雅人のその可愛い唇にキスしたいし、一昨日だって…その…雅人を抱くこと想像して、3回抜いた』
「ぬっ…!?」

気付かぬうちにオカズにされていたことにショックを受けると同時に、先輩が本気であることを理解してしまう。

「っ…先輩も悠も、悪趣味過ぎるでしょ……」
『……俺の事、嫌いになっちゃった?』
「いや、それは…よく、わかんないです。オカズにされてたのはショックでしたけど」

素直にそう言えば、先輩から『だよねー』と苦笑するような声が返ってくる。

『まぁそういう訳だからさ。雅人のこと、どうしても幼なじみ君に取られたくないんだよね』
「いやだから俺はどっちとも付き合う気は……」
『それに俺としてはやっぱり幼なじみ君と決着つけたいし、近いうちに3人で会える場をセッティングしようと思ってるんだ』
「先輩俺の話聞いてます???」

会話のキャッチボールならぬ一方的なドッジボールに俺は困惑を通り越して苛立ちすら感じてしまう。

しかし当の先輩は素知らぬ様子で語り続けている。

『って訳で決まったらまた連絡するから、雅人も準備しててね♡』
「いやいやいや!何勝手に決めてるんですか!話し合いなら2人で、いやそもそも、俺は女の子と……」
『それじゃ、俺ぼちぼちバイト行かなきゃだから。雅人、愛してるよ♡』
「だから人の話を…『ブツッ』…先輩?せんぱーい!!」

スマホからはツーツー、という無慈悲な切断音。
俺はぽとりとスマホを取り落とすと、ある絶望感に苛まれながらその場に崩れ落ちる。


「人生初のモテ期がこれかよ……!」


絶妙に嬉しくないモテ期に俺はただただ男泣きするしかなかった。


……………………


…………………………


…なんやかんやで10日後。

遅めの朝飯を食べていた俺の元に届いた一件のメッセージ。

「ん?悠から?」
『今日暇か?』
「相変わらず素っ気ないな…『バイトも無いし、今日は暇だけど』、と」

メッセージを返した瞬間即付いた既読。
それを見ながら『あいつも暇してんのかな』なんて平和なことを考えていたのだが……

ーーガチャッ

「ちわーす。カチコミでーす♡」
「お、いたいた、雅人。ほら、早く着替えろよ」
「………えっ?」

突然玄関が開いたかと思えば、そこには仲良さげに並び立つ悠と暁斗先輩。
しかもやたら爽やかな笑顔に俺は本能的に後ずさったが、狭い我が家に逃げ場はなくあえなく両腕を掴まれる形で捕まってしまう。

そして……


「雅人の寝巻き、うさちゃんだ~♡可愛い~♡」
「いや、ちょ、ふ、不法侵入…!」
「服は…相変わらず地味なのしか持ってないな。とりあえずこれとこれを着せて…」
「ひぇ!せ、先輩!着替えは自分で…ゆ、悠お前もっ………ら、らめぇえええ!!」


……強制的に着替えさせられた俺は、大事な何かを失った喪失感に苛まれながら2人の手で何処かへと連れ去られる。

それはさながら捕獲された宇宙人のようで、時折通行人の方々に2度見3度見されてしまっていた。

「うっうっ…なんで俺がこんな…」
「ごめんねー。でも、これもつけるためだから」
「え、それって……」
「お。ついたついた」

決着という言葉に思い当たる節があり顔を上げた瞬間、俺の目の前に立ちはだかったのはどピンクに煌めくラブホのネオン。

やばい、逃げないと。

「たすけっ…っ、ぐぇえ」
「こらこら、主役が逃げちゃだめだろ?」
「や、やだー!絶対スケベなことされるパターンじゃん!エロ同人みたいに!エロ同人みたいに!」
「雅人、それ言いたかっただけでしょ」

いや割と本気だから!
だが俺の必死の訴えも聞き入れられず、あれよあれよという間に連れ込まれたのはラブホの中の超広い部屋。

俺知ってる。これかなりお高い部屋だ。

「はい到着~。主役の雅人はベッドに…と」
ぽすっ
「おふっ」

俺の身柄をベッドの中央に降ろすや、2人は俺の左右からじりじりと這い寄ってくる。
逃げ出そうと体を起こしたが、ほぼ同時に左右の肩を掴まれるとそのままベッドに引き戻された。

「ま、ままま待てって!け、決着つけるなら…2人だけで話せばいいだろ?」
「それで決着がつくならそうしたかったがな」
「どうやっても殴り合いに発展しそうだったからね……」

一人の男を巡る男同士の殴り合い。
なにそれこわい。

「…ってわけで、やっぱここは体の相性で決着つけるしかないって意見で一致したんだ」
「ライバルと意見が合うのは癪だったが…まぁ、雅人もするなら気持ちいい方がいいだろ?」
「だから俺は可愛いお嫁さんと…っ、ひ…!」

懸命に拒否していると不意にシャツの裾から暁斗先輩の手が体をまさぐり、更には悠の手がズボンのベルトを外し始める。

「や、やだぁ…ぁ♡」
「大丈夫大丈夫。この間は俺とキスしながらイケたんだから、今日もいっぱい気持ちよくなれるって」
「むっ、その話聞いてないんだけど」

悠の言葉に暁斗先輩は眉間に皺を寄せて悠を睨みつけるが、俺の体をまさぐる手は一向に止まることがない。

「あっ♡や、ぁ♡ふ、ふたりとも…やめ…」
「だぁめ♡…俺と彼、どっちが好きか決めてもらわないと」
「ホテルは宿泊コースで抑えてるから時間もたっぷりある。だから………」



「「思う存分、吟味しろよ?(してね?)」」




………………………………………………………………


うさちゃん寝巻き
誕生日プレゼントに貰ったもの。高級品
雅人の趣味では無かったが、サイズピッタリ&着心地抜群なので捨てることも出来ず仕方なく使ってる。
悠「計画通り」
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