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23話〜ポーター・セルカ
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「迷宮に挑むならただ腕っ節が強いだけじゃダメだ、数あるトラップにも精通しとかんとイカン。 それに迷宮は広大だ、1番浅いと言われる5階層の迷宮でも最下層まで4日以上は掛かる。 その間の食料もかなりの量になるからな、優秀な荷物持ちを紹介してやろう」
というギルドマスターの言葉を受けて3人の前には今、一人の男が立っている。
歳は10代の後半程か、まだ幼さが残る中性的な顔。
短い金髪にバンダナを巻いている。
「よろしく、俺はセルカだ」
神経質そうにバーンダーバ達3人をチラチラと見ている。
「少し面倒臭い奴かもしれんがコイツのついて行ったパーティの生存率は他より高い、ま、こき使ってやってくれ」
「それじゃあ、行くのは北の荒野にある迷宮だな。 迷宮に潜るのは初めてなんだよな」
「あぁ、よろしく頼む」
バーンダーバが笑顔で手を差し出した。
セルカは少し驚いた顔でその手を見つめ、間を置いてから手を握り返した。
「あー、今日は準備に当てるから出発は明日だ。 まず、迷宮への片道が2日、移動は合わせて4日。 それから迷宮での探索は初めてなんだったらとりあえず3日だな。 合わせて1週間分の食料品と、そちらさんの回復術士の力量は?」
3人が顔を見合わせて黙る。
「なに、まさか回復術士がいないのか?」
『我が出来る、小僧、力量というのは基準が分からん。 どの程度の技量が欲しいか言え』
「んなっ! 剣がしゃべっ、どういう事だ!?」
セルカが腰を抜かして尻もちをついて叫んだ。
『カハハ、小僧、中々にいい反応だな』
フェムノが気を良くしたようだ。
「驚かせてすみません、一応、聖剣で、魔力を込めれば回復魔法を使う事が出来るんです」
フェイが座り込むセルカに手を差し出す。
『一応とはなんだフェイよ、正真正銘の聖剣であろう』
「聖剣って、なんでこんな所に聖剣が?」
セルカがフェイの背中のフェムノを見て目をぱちくりさせている。
「話せば長いんですけど、とりあえず、フェムノの回復魔法はかなり深い傷の回復も可能です。 以前に1度見た時は内蔵にまで達する程の傷を一瞬で治してました」
フェイがアニーの傷を治した時の事を話した、未だにセルカに向かって手を伸ばしているがセルカは中々その手を取ろうとしない。
「そ、そうか。 えーっと、1日にどれくらい使える?」
ようやっとフェイの手を取って立ち上がりながら質問した。
『フェイの魔力量がロゼの加護のお陰でかなり増えたからな、100とは言わんが、それくらいは大丈夫だ』
「それは、内蔵に達する程の傷を100回近く癒せるって意味か?」
『そうだ』
セルカは小声で「マジかよ」と呟いた。
「それなら、ポーションはたいしていらないな。 解毒なんかは?」
『容易い事だ』
「分かった、あー、それじゃあ。 準備に金貨が3枚もあれば大丈夫だ」
「準備までして貰えるのか?」
「あぁ、それも仕事の内だ。 素人は多すぎたり少なすぎたりするからな、任せてくれ」
「それなら私も興味がある、一緒に同行しても構わんか?」
セルカが若干嫌そうな顔をした。
「信用出来ないのか?」
「そうではない、お主はギルドマスターが推す男だ。 私のただの興味なのだが、感に触ったのなら謝ろう。 すまない」
バーンダーバが頭を下げるとセルカは困惑したような顔になる。
「・・・ 口出ししないんならついてきても構わない」
「ありがとう、邪魔にならないようにしよう」
バーンダーバが嬉しそうに笑う。
「これ、お金です」
フェイが金貨を差し出した、セルカが受け取る。
「アタイは眠いから寝るよ」
ロゼがあくびをしている。
「それじゃあ、私達はギルドの宿で待っています。 ロゼさん、旅の埃を一緒に流しませんか?」
「水浴びかい? いいね」
ロゼが立ち上がる。
「それでは、セルカさん、バンはかなり世間知らずだったりしますのでよろしくお願いしますね」
フェイはにっこり笑ってセルカに言ったあとロゼと一緒に部屋を出た。
「へ?」
セルカが疑問を一言で表すように声を出す、隣に立っているバーンダーバを見ると照れくさそうに頬をポリポリとかいていた。
「うむ、世間知らずというのは、まぁ、確かにそうかもしれん。 邪魔にならないように気をつけよう」
それを見ていたギルドマスターがニヤニヤと笑っている。
そんなギルドマスターの顔をチラッと見つつ、一抹の不安が胸に過ぎったがセルカは「それじゃ、行こうか」と言ってバーンダーバを連れてギルドマスターの部屋を後にした。
というギルドマスターの言葉を受けて3人の前には今、一人の男が立っている。
歳は10代の後半程か、まだ幼さが残る中性的な顔。
短い金髪にバンダナを巻いている。
「よろしく、俺はセルカだ」
神経質そうにバーンダーバ達3人をチラチラと見ている。
「少し面倒臭い奴かもしれんがコイツのついて行ったパーティの生存率は他より高い、ま、こき使ってやってくれ」
「それじゃあ、行くのは北の荒野にある迷宮だな。 迷宮に潜るのは初めてなんだよな」
「あぁ、よろしく頼む」
バーンダーバが笑顔で手を差し出した。
セルカは少し驚いた顔でその手を見つめ、間を置いてから手を握り返した。
「あー、今日は準備に当てるから出発は明日だ。 まず、迷宮への片道が2日、移動は合わせて4日。 それから迷宮での探索は初めてなんだったらとりあえず3日だな。 合わせて1週間分の食料品と、そちらさんの回復術士の力量は?」
3人が顔を見合わせて黙る。
「なに、まさか回復術士がいないのか?」
『我が出来る、小僧、力量というのは基準が分からん。 どの程度の技量が欲しいか言え』
「んなっ! 剣がしゃべっ、どういう事だ!?」
セルカが腰を抜かして尻もちをついて叫んだ。
『カハハ、小僧、中々にいい反応だな』
フェムノが気を良くしたようだ。
「驚かせてすみません、一応、聖剣で、魔力を込めれば回復魔法を使う事が出来るんです」
フェイが座り込むセルカに手を差し出す。
『一応とはなんだフェイよ、正真正銘の聖剣であろう』
「聖剣って、なんでこんな所に聖剣が?」
セルカがフェイの背中のフェムノを見て目をぱちくりさせている。
「話せば長いんですけど、とりあえず、フェムノの回復魔法はかなり深い傷の回復も可能です。 以前に1度見た時は内蔵にまで達する程の傷を一瞬で治してました」
フェイがアニーの傷を治した時の事を話した、未だにセルカに向かって手を伸ばしているがセルカは中々その手を取ろうとしない。
「そ、そうか。 えーっと、1日にどれくらい使える?」
ようやっとフェイの手を取って立ち上がりながら質問した。
『フェイの魔力量がロゼの加護のお陰でかなり増えたからな、100とは言わんが、それくらいは大丈夫だ』
「それは、内蔵に達する程の傷を100回近く癒せるって意味か?」
『そうだ』
セルカは小声で「マジかよ」と呟いた。
「それなら、ポーションはたいしていらないな。 解毒なんかは?」
『容易い事だ』
「分かった、あー、それじゃあ。 準備に金貨が3枚もあれば大丈夫だ」
「準備までして貰えるのか?」
「あぁ、それも仕事の内だ。 素人は多すぎたり少なすぎたりするからな、任せてくれ」
「それなら私も興味がある、一緒に同行しても構わんか?」
セルカが若干嫌そうな顔をした。
「信用出来ないのか?」
「そうではない、お主はギルドマスターが推す男だ。 私のただの興味なのだが、感に触ったのなら謝ろう。 すまない」
バーンダーバが頭を下げるとセルカは困惑したような顔になる。
「・・・ 口出ししないんならついてきても構わない」
「ありがとう、邪魔にならないようにしよう」
バーンダーバが嬉しそうに笑う。
「これ、お金です」
フェイが金貨を差し出した、セルカが受け取る。
「アタイは眠いから寝るよ」
ロゼがあくびをしている。
「それじゃあ、私達はギルドの宿で待っています。 ロゼさん、旅の埃を一緒に流しませんか?」
「水浴びかい? いいね」
ロゼが立ち上がる。
「それでは、セルカさん、バンはかなり世間知らずだったりしますのでよろしくお願いしますね」
フェイはにっこり笑ってセルカに言ったあとロゼと一緒に部屋を出た。
「へ?」
セルカが疑問を一言で表すように声を出す、隣に立っているバーンダーバを見ると照れくさそうに頬をポリポリとかいていた。
「うむ、世間知らずというのは、まぁ、確かにそうかもしれん。 邪魔にならないように気をつけよう」
それを見ていたギルドマスターがニヤニヤと笑っている。
そんなギルドマスターの顔をチラッと見つつ、一抹の不安が胸に過ぎったがセルカは「それじゃ、行こうか」と言ってバーンダーバを連れてギルドマスターの部屋を後にした。
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