12 / 58
12話〜初任給
しおりを挟む
「あら、お帰りなさい。 早かったですねー」
バーンダーバとフェイが冒険者ギルドに入ってきたのを見て受付嬢のジュリーが声をかけた。
「随分と大荷物ですね」
ジュリーがバーンダーバの背負う荷物を見た、フェイが即席で作った背負子である。
木の棒を組んでベルランの蔦で固定した物だ。
そこには狼人間の毛皮が積まれている、ベルランの詰まった麻袋と大空の騎士の羽根の詰まった麻袋はフェイが抱えていた。
「あぁ、この毛皮はここで引き取って貰えるのか?」
背中の毛皮をバーンダーバが指し示す。
「それはなんの毛皮ですかー?」
「ライカンスロープだそうだ、6体分ある」
「ライカンスロープを6体もっ!」
「それで頼みがあるんだが、コレを解体する時に灰色剣という冒険者パーティに助けて貰ったんだ。 諸事情で礼をする前に別れてしまってな。 3枚分の毛皮の代金を彼等に渡して欲しいんだが、頼めないか?」
「グレイソードですか、分かりました」
「ありがとう、あと、コッチは採集依頼のベルランと大空の騎士の羽根だ」
フェイがカウンターに麻袋を置いた。
「ナイトイーグルですか、そちらも中々の高級素材ですねー。 あっ、すみません、素材やアイテムの買取は奥のカウンターでお願いします」
ジュリーが思い出したように中央奥の扉を手で示した。
「あぁ、そうだったのか、すまない」
「いえいえー、私の方こそボケっとしてました、すみません。 お疲れ様でした」
奥の扉を開けて入るとカウンターがあり、カウンターの奥にはそこら中に木箱が置いてあってその中に鉱石や毛皮。
羽根や骨、恐ろしくデカい甲殻類の甲羅などが所狭しに木箱に詰められて置いてあった。
「すごいな」
呆気にとられた顔でバーンダーバが部屋を眺める。
「おや、初めまして。 素材の買取かな?」
眼鏡をかけた細身の男がコチラに気づいた。
「あぁ、コレの買取をお願いしたい」
バーンダーバが背負子を下ろしてカウンターに載せた、フェイも麻袋を3つカウンターに載せる。
ベルランの麻袋が2つにナイトイーグルの羽根が1袋。
「おぉ、コレはライカンスロープですね。 素晴らしい、殆ど傷がありませんね。 剥ぎ方が少し気になりますが、切り口は実に綺麗だ」
まじまじと置かれた品を定めていく。
「コッチはなにかな?」
男は麻袋を開いた。
「ベルランか、丁寧に摘み取っているなぁ。 愛を感じるよ、毟るように取るヤツが多くてね。 乾燥させて砕くから品質に違いはないと思われがちなんだけど、摘んだ時に傷が無い方が香りが良くなるんだ。 君達はいい冒険者になるよ」
ニコニコしながら検分していく、その男に言葉にバーンダーバも嬉しそうな顔をした。
「そんな風に褒められると嬉しいな、毛皮の取り方が良くないのか? それなら後で教えてもらえないか?」
「おぉ勿論、大歓迎だよ。 私はワイナーだ、よろしくね。 おー、素晴らしい。 この羽根は・・・ ナイトイーグルかな?」
ワイナーは羽根をつぶさに見て言い当てた。
「凄いな、羽根を見ただけで分かるのか!」
「ありがとう、褒めてもらえて嬉しいよ。 どれも良い品だ、買取金額は色を付けさせて貰うよ」
「本当か、ライカンスロープの毛皮の代金はさっき受付のジュリーにも頼んだんだが、グレイソードという冒険者パーティに半分渡して欲しいんだ。 解体を殆ど手伝って貰った」
「グレイソード、ポールのところか。 彼等にライカンスロープの毛皮3枚分とは、気前がいいね」
「ポールを知っているのか?」
「あぁ、彼等はここを拠点にしている冒険者だからね。 顔はよく見るよ」
「そうか、ではよろしく頼む」
「ライカンスロープの毛皮は普段は金貨8枚で取引しているが、今回は金貨10枚で引き取るよ。 それからベルランの花は麻袋1つで金貨1枚だが、これには10イマ銀貨を3枚付ける。 ナイトイーグルの羽根は金貨7枚かな、それで良いかい?」
「勿論だ、ありがとう」
「それじゃあ、全部で金貨39枚と10イマ銀貨が6枚。 確かめてくれ」
トレーに置かれた金貨と銀貨を見てバーンダーバは嬉しそうに笑った。
「ありがとう、今度、依頼に行く前に毛皮の取り方を聞きに来る。 それから、ポール達が来たらよろしく言っておいてくれ」
「あぁ、任せてくれ。 金貨30枚間違いなく渡しておく、待ってるよ」
礼を言って部屋を出た。
「フェイ、私はよく分からないから金の管理を頼めないだろうか」
バーンダーバはそう言って金貨の入った袋をフェイに渡す。
「えぇ、私が、こんな大金持つの怖いな」
「そうか、コレは多いのか?」
「それだけあれば2ヶ月は働かないで暮らせますよ」
「ほう、凄い、のか?」
「あはは、まぁ、慣れるしかないですね。 それよりも服を買いに行きましょう、今ならまだお店も開いていますし」
「おぉ、そうだったな」
バーンダーバの手を引いてフェイが冒険者ギルドから外へ出る、その仲睦ましい様子を微笑みながら受付のジュリーは眺めていた。
バーンダーバとフェイが冒険者ギルドに入ってきたのを見て受付嬢のジュリーが声をかけた。
「随分と大荷物ですね」
ジュリーがバーンダーバの背負う荷物を見た、フェイが即席で作った背負子である。
木の棒を組んでベルランの蔦で固定した物だ。
そこには狼人間の毛皮が積まれている、ベルランの詰まった麻袋と大空の騎士の羽根の詰まった麻袋はフェイが抱えていた。
「あぁ、この毛皮はここで引き取って貰えるのか?」
背中の毛皮をバーンダーバが指し示す。
「それはなんの毛皮ですかー?」
「ライカンスロープだそうだ、6体分ある」
「ライカンスロープを6体もっ!」
「それで頼みがあるんだが、コレを解体する時に灰色剣という冒険者パーティに助けて貰ったんだ。 諸事情で礼をする前に別れてしまってな。 3枚分の毛皮の代金を彼等に渡して欲しいんだが、頼めないか?」
「グレイソードですか、分かりました」
「ありがとう、あと、コッチは採集依頼のベルランと大空の騎士の羽根だ」
フェイがカウンターに麻袋を置いた。
「ナイトイーグルですか、そちらも中々の高級素材ですねー。 あっ、すみません、素材やアイテムの買取は奥のカウンターでお願いします」
ジュリーが思い出したように中央奥の扉を手で示した。
「あぁ、そうだったのか、すまない」
「いえいえー、私の方こそボケっとしてました、すみません。 お疲れ様でした」
奥の扉を開けて入るとカウンターがあり、カウンターの奥にはそこら中に木箱が置いてあってその中に鉱石や毛皮。
羽根や骨、恐ろしくデカい甲殻類の甲羅などが所狭しに木箱に詰められて置いてあった。
「すごいな」
呆気にとられた顔でバーンダーバが部屋を眺める。
「おや、初めまして。 素材の買取かな?」
眼鏡をかけた細身の男がコチラに気づいた。
「あぁ、コレの買取をお願いしたい」
バーンダーバが背負子を下ろしてカウンターに載せた、フェイも麻袋を3つカウンターに載せる。
ベルランの麻袋が2つにナイトイーグルの羽根が1袋。
「おぉ、コレはライカンスロープですね。 素晴らしい、殆ど傷がありませんね。 剥ぎ方が少し気になりますが、切り口は実に綺麗だ」
まじまじと置かれた品を定めていく。
「コッチはなにかな?」
男は麻袋を開いた。
「ベルランか、丁寧に摘み取っているなぁ。 愛を感じるよ、毟るように取るヤツが多くてね。 乾燥させて砕くから品質に違いはないと思われがちなんだけど、摘んだ時に傷が無い方が香りが良くなるんだ。 君達はいい冒険者になるよ」
ニコニコしながら検分していく、その男に言葉にバーンダーバも嬉しそうな顔をした。
「そんな風に褒められると嬉しいな、毛皮の取り方が良くないのか? それなら後で教えてもらえないか?」
「おぉ勿論、大歓迎だよ。 私はワイナーだ、よろしくね。 おー、素晴らしい。 この羽根は・・・ ナイトイーグルかな?」
ワイナーは羽根をつぶさに見て言い当てた。
「凄いな、羽根を見ただけで分かるのか!」
「ありがとう、褒めてもらえて嬉しいよ。 どれも良い品だ、買取金額は色を付けさせて貰うよ」
「本当か、ライカンスロープの毛皮の代金はさっき受付のジュリーにも頼んだんだが、グレイソードという冒険者パーティに半分渡して欲しいんだ。 解体を殆ど手伝って貰った」
「グレイソード、ポールのところか。 彼等にライカンスロープの毛皮3枚分とは、気前がいいね」
「ポールを知っているのか?」
「あぁ、彼等はここを拠点にしている冒険者だからね。 顔はよく見るよ」
「そうか、ではよろしく頼む」
「ライカンスロープの毛皮は普段は金貨8枚で取引しているが、今回は金貨10枚で引き取るよ。 それからベルランの花は麻袋1つで金貨1枚だが、これには10イマ銀貨を3枚付ける。 ナイトイーグルの羽根は金貨7枚かな、それで良いかい?」
「勿論だ、ありがとう」
「それじゃあ、全部で金貨39枚と10イマ銀貨が6枚。 確かめてくれ」
トレーに置かれた金貨と銀貨を見てバーンダーバは嬉しそうに笑った。
「ありがとう、今度、依頼に行く前に毛皮の取り方を聞きに来る。 それから、ポール達が来たらよろしく言っておいてくれ」
「あぁ、任せてくれ。 金貨30枚間違いなく渡しておく、待ってるよ」
礼を言って部屋を出た。
「フェイ、私はよく分からないから金の管理を頼めないだろうか」
バーンダーバはそう言って金貨の入った袋をフェイに渡す。
「えぇ、私が、こんな大金持つの怖いな」
「そうか、コレは多いのか?」
「それだけあれば2ヶ月は働かないで暮らせますよ」
「ほう、凄い、のか?」
「あはは、まぁ、慣れるしかないですね。 それよりも服を買いに行きましょう、今ならまだお店も開いていますし」
「おぉ、そうだったな」
バーンダーバの手を引いてフェイが冒険者ギルドから外へ出る、その仲睦ましい様子を微笑みながら受付のジュリーは眺めていた。
0
お気に入りに追加
119
あなたにおすすめの小説
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
ブラック宮廷から解放されたので、のんびりスローライフを始めます! ~最強ゴーレム使いの気ままな森暮らし~
ヒツキノドカ
ファンタジー
「クレイ・ウェスタ―! 貴様を宮廷から追放する!」
ブラック宮廷に勤めるゴーレム使いのクレイ・ウェスターはある日突然クビを宣告される。
理由は『不当に高い素材を買いあさったこと』とされたが……それはクレイに嫉妬する、宮廷魔術師団長の策略だった。
追放されたクレイは、自由なスローライフを求めて辺境の森へと向かう。
そこで主人公は得意のゴーレム魔術を生かしてあっという間に快適な生活を手に入れる。
一方宮廷では、クレイがいなくなったことで様々なトラブルが発生。
宮廷魔術師団長は知らなかった。
クレイがどれほど宮廷にとって重要な人物だったのか。
そして、自分では穴埋めできないほどにクレイと実力が離れていたことも。
「こんなはずでは……」と嘆きながら宮廷魔術師団長はクレイの元に向かい、戻ってくるように懇願するが、すでに理想の生活を手に入れたクレイにあっさり断られてしまう。
これはブラック宮廷から解放された天才ゴーレム使いの青年が、念願の自由なスローライフを満喫する話。
ーーーーーー
ーーー
※4/29HOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
※推敲はしていますが、誤字脱字があるかもしれません。
見つけた際はご報告いただけますと幸いです……
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる