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ライバル?
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「先輩とは・・・私が告白して返答待ちです」
私がそう嘘をつくと、目の前の女の子の表情が変わった。
この人が風谷葵・・・ゆっくんが今好きな人・・・・
昔の私と容姿が似ていて、絵が上手なだけでゆっくんが勘違いした人・・・
全っ然似てないじゃない!!
えぇ!?長髪で黒髪なところ以外何か似てる所ある?
「水野君、本当?」
「ち、違うって!コイツとはもう終わってるから!」
「終わってるってなに?付き合ってたの?」
「今のは言葉のあやで・・・・」
私が考えている間にもゆっくんは私の偽物に詰められていた。
そんな力強く否定しなくてもいいじゃない・・・
まぁ実際にゆっくんは私の事嫌いみたいだけど・・・
でも、この反応を見るに、風谷先輩もゆっくんの事を特別に思っていそうだ・・・
「お前も黙って見てないで弁解しろよ!」
女の感を信じ、ゆっくんの方を確認した時、ゆっくんは私に助け船を求めて来た。
まぁでもこれはこれで・・・・
「えぇ、ヒドイです先輩・・・・先輩もノリノリだったじゃないですかぁ」
「はぁ!?何言ってんの!?」
私はゆっくんの左腕に抱き着き、いつものギャルキャラでそう言った。
は、恥ずかしい!!
こんな人前で、ゆっくんと・・・・でも我慢、我慢よ私!
ここでゆっくんがこの女と険悪になれば、ライバルは消える!
腹黒いけど今はいい子ぶってる場合じゃない!
最大の強敵が今目の前にいるんだ!
「ちょ、ちょっと日高さんだっけ?水野君と距離近くない?」
「そうですか?これがいつも通りなんですけど・・・・ねっ先輩」
「そそそそ、そんな記憶ねぇよ!」
頬が引きつっている風谷先輩を無視するようにゆっくんに片目で目配せをしたが、当の本人はパニックでそれどころではなさそうだ。
「いい加減離れろよ!」
「もう・・・・」
私はゆっくんの腕から引きはがされ、元の位置に戻った。
あざといキャラで学んだ頬を膨らませるポーズと共に。
「ち、違うんだよ風谷さん・・・ほらコイツがいつも言ってる後輩の子で・・・」
「あっ、この子がそうなのね」
何か二人の間で私の共通認識があるようだ。
まぁ大方私の悪口を言って、それを聞いていたんだろう・・・
どんな悪口がその口から出てくるのかと身構えていたが、実際に風谷先輩から出て来た言葉は意外なものだった。
「聞いてるよ。日高さん、凄く絵が上手なんだって?」
「え?」
私はその言葉に目を開いたまま立ち尽くしていた。
「いつも水野君が『部活に顔を出す後輩の絵が上手くて、そいつみたいになりたい!』って言ってたんだよ?」
「ちょっ!風谷さん・・・それ秘密・・・」
「あっ!ごめん!」
「へ、へぇ・・・先輩もツンデレですねぇ・・・」
「やかましい!」
私がそう先輩に肘打ちをしてニヤ付いていると、風谷先輩は胸に手を当て深呼吸をし出した。
「はぁ安心した、てっきり私は水野君の・・・・彼女かなって・・・」
「彼女!?勘弁してくれよ、こんなビッチと」
「ビッチ言うな!!」
「いったぁ!!」
私はその言葉と共にゆっくんのスネにローキックを食らわせた後、この今にも緩み上がりきってしまいそうな口角と、自分でもわかる程に赤くなった頬を見られないために、その場から立ち去る様に走って自宅に向かった。
ゆっくん・・・・私の事褒めてくれてたんだ・・・
今日はいい事が二つもあったな・・・・
明日もまた距離を深められるかな?
そして、いつかは私の事を思い出して・・・
そう思い二人から離れた道の角を曲がった時、聞き捨てならない会話が聞こえた。
「なぁ・・・風谷さんって昔俺と会ってない?」
「え?」
私はその場が見える角まで戻り、会話を覗き見ていた。
◇
「・・・・」
「・・・・」
何言ってんだ俺!!
なんだか勢いで聞いてしまった!
ど、どうすんだ俺・・・こんな意味わかんない漫画見たいな話し、信じてくれるわけない。
くそっ・・・・日高が変な事言うから・・・
あー嫌だ、風谷に変な奴だと思われる・・・
俺がそう考えていると目の前のクラスメイトから予想していなかった言葉が返ってきた。
「覚えてるの・・・・?」
目を見開いた風谷は、驚いた表情でそう言った。
「え・・・?」
俺もその言葉に、目を開いたまま立ち尽くしていた・・・
私がそう嘘をつくと、目の前の女の子の表情が変わった。
この人が風谷葵・・・ゆっくんが今好きな人・・・・
昔の私と容姿が似ていて、絵が上手なだけでゆっくんが勘違いした人・・・
全っ然似てないじゃない!!
えぇ!?長髪で黒髪なところ以外何か似てる所ある?
「水野君、本当?」
「ち、違うって!コイツとはもう終わってるから!」
「終わってるってなに?付き合ってたの?」
「今のは言葉のあやで・・・・」
私が考えている間にもゆっくんは私の偽物に詰められていた。
そんな力強く否定しなくてもいいじゃない・・・
まぁ実際にゆっくんは私の事嫌いみたいだけど・・・
でも、この反応を見るに、風谷先輩もゆっくんの事を特別に思っていそうだ・・・
「お前も黙って見てないで弁解しろよ!」
女の感を信じ、ゆっくんの方を確認した時、ゆっくんは私に助け船を求めて来た。
まぁでもこれはこれで・・・・
「えぇ、ヒドイです先輩・・・・先輩もノリノリだったじゃないですかぁ」
「はぁ!?何言ってんの!?」
私はゆっくんの左腕に抱き着き、いつものギャルキャラでそう言った。
は、恥ずかしい!!
こんな人前で、ゆっくんと・・・・でも我慢、我慢よ私!
ここでゆっくんがこの女と険悪になれば、ライバルは消える!
腹黒いけど今はいい子ぶってる場合じゃない!
最大の強敵が今目の前にいるんだ!
「ちょ、ちょっと日高さんだっけ?水野君と距離近くない?」
「そうですか?これがいつも通りなんですけど・・・・ねっ先輩」
「そそそそ、そんな記憶ねぇよ!」
頬が引きつっている風谷先輩を無視するようにゆっくんに片目で目配せをしたが、当の本人はパニックでそれどころではなさそうだ。
「いい加減離れろよ!」
「もう・・・・」
私はゆっくんの腕から引きはがされ、元の位置に戻った。
あざといキャラで学んだ頬を膨らませるポーズと共に。
「ち、違うんだよ風谷さん・・・ほらコイツがいつも言ってる後輩の子で・・・」
「あっ、この子がそうなのね」
何か二人の間で私の共通認識があるようだ。
まぁ大方私の悪口を言って、それを聞いていたんだろう・・・
どんな悪口がその口から出てくるのかと身構えていたが、実際に風谷先輩から出て来た言葉は意外なものだった。
「聞いてるよ。日高さん、凄く絵が上手なんだって?」
「え?」
私はその言葉に目を開いたまま立ち尽くしていた。
「いつも水野君が『部活に顔を出す後輩の絵が上手くて、そいつみたいになりたい!』って言ってたんだよ?」
「ちょっ!風谷さん・・・それ秘密・・・」
「あっ!ごめん!」
「へ、へぇ・・・先輩もツンデレですねぇ・・・」
「やかましい!」
私がそう先輩に肘打ちをしてニヤ付いていると、風谷先輩は胸に手を当て深呼吸をし出した。
「はぁ安心した、てっきり私は水野君の・・・・彼女かなって・・・」
「彼女!?勘弁してくれよ、こんなビッチと」
「ビッチ言うな!!」
「いったぁ!!」
私はその言葉と共にゆっくんのスネにローキックを食らわせた後、この今にも緩み上がりきってしまいそうな口角と、自分でもわかる程に赤くなった頬を見られないために、その場から立ち去る様に走って自宅に向かった。
ゆっくん・・・・私の事褒めてくれてたんだ・・・
今日はいい事が二つもあったな・・・・
明日もまた距離を深められるかな?
そして、いつかは私の事を思い出して・・・
そう思い二人から離れた道の角を曲がった時、聞き捨てならない会話が聞こえた。
「なぁ・・・風谷さんって昔俺と会ってない?」
「え?」
私はその場が見える角まで戻り、会話を覗き見ていた。
◇
「・・・・」
「・・・・」
何言ってんだ俺!!
なんだか勢いで聞いてしまった!
ど、どうすんだ俺・・・こんな意味わかんない漫画見たいな話し、信じてくれるわけない。
くそっ・・・・日高が変な事言うから・・・
あー嫌だ、風谷に変な奴だと思われる・・・
俺がそう考えていると目の前のクラスメイトから予想していなかった言葉が返ってきた。
「覚えてるの・・・・?」
目を見開いた風谷は、驚いた表情でそう言った。
「え・・・?」
俺もその言葉に、目を開いたまま立ち尽くしていた・・・
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