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第3章 少年期中編
第39話 限られた者の為の英雄
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占い師のもとへと向かい、行き着いた館は街の外れの随分と古ぼけた建物だった。
まるで幽霊屋敷のようである。
こんな所に人が住んでいるのだろうか?
地震が起きたら総崩れしそうな佇まいだが……。
シンとサリア、ガウェンの三人はその館の玄関の前に立ち、ノックをする。
反応は……ない。
三人は顔を見合わせ、ガウェンさんが玄関扉に手をかける。
鍵はあいており、扉がゆっくり開かれる。
「あのー、誰かいらっしゃいますかー?」
ガウェンさんが声を張り上げて問いかけるが、反応がない。
「留守でしょうか?」
そう俺が言うと、中から声が飛んできた。
「入ってきな。坊や一人だけ」
そう短く、そして小さく声がした。
三人は再度顔を見合わせ、俺が自分を指差すとサリアさんとガウェンさんが頷く。
俺は一段と大きく深呼吸して、館の中へと進む。
「こっちだよ。早く来な」
その声の方へと進む。
広間の先にある扉の中から気配があった。
扉を開き、中に入ると一人の老婆がロッキングチェアに腰掛けてゆっくりと揺れていた。
その老婆は古ぼけた布切れで身を包み、フードを深々と被っていた。
表情はフードのせいでわからないが、なんとも不気味な姿をしていた。
「……あの……リンエイさん、ですか?
人探しを、お願いした——」
「シャーウッドの樹海だよ……。
その娘がいるのはね」
俺の言葉が終える前に答えが返ってきた。
質問が終わる前に答えられた事に俺は少なからず驚く。
「何故、僕の聞きたいことが」
「わかったのかって?
あたしゃ占い師だ。
預言者とも呼ばれた事もあるけれど、過去や未来を見て長い事生活してるんだ。
特に自分に関わる事はより鮮明に見える。
あんたが来ることも、これから起こることも、ある程度は知ってるさ」
そう言ってゴホッと咳をする老婆。
身体の具合が悪いのだろうか?
「これから起こる事?」
「幻獣の憑代が、近くにいるんだろ?
その娘、明日の晩に幻獣となってこの都にやってくるよ。
その結果この街で幻獣が猛威を振るう。
それが私が見た一つの未来さね」
淡々と告げられたその内容が、あまりに衝撃的で言葉を失う。
「この街に、幻獣が来る?
しかし、アネッサがいるのはシャーウッドの樹海なのでしょう?
距離がかなりあるのに、どうして?」
老婆は咳を二度して、また口を開く。
「相手は幻獣フェンリル……。
シャーウッドの樹海までの距離はさほど大した問題じゃない。
何より、あんたみたいな魔力の大きいモノが幻獣を引き付けるのさね。
あんたがここに留まれば、盗賊と戦う事になり、その魔力放出を引き金に幻獣を呼び寄せてしまうんだろうね」
「ちょっ、ちょっと待って下さい!
盗賊と戦う!?
あいつらはジーナスに来るんですか!?」
またも衝撃的な事を抑揚もなく言われた話の内容に俺は動揺する。
「どうして、盗賊達がここに……」
老婆はこちらを見ずに淡々と答える。
「信じる信じないはおまえさんの勝手だよ」
「いえ……信じます」
「そう答えるだろうね、知ってたさ」
なんだか頭の中を覗かれてるような気分だ。
しかし、どちらの未来を選んでも、ジーナスに危機が訪れるのか?
「……どうすれば?」
「あんたが選びな。
一人で救える命には限りがあるものさね。
それに未来は不確定要素が多い。
あたしゃ大きな未来は一つしか見えやしない。
細かい選択でその未来も変わるし、あたしが見た未来とは別の未来も無数にある。
すでに予知した未来をあんたが聞いた事で、未来は変わり始めてる。
あとはこの話を聞いたあんたがどう選択するかって事さね。
街か、娘か、どちらを優先するか、だ」
その問いかけに俺は絶句する。
「いやいや、僕の判断一つで街の命運まで決まるんですか!?」
思わず声を上げてしまった。
しかし老婆は変わらず淡々と告げる。
「そういう岐路に今おまえさんは立っとる。
あたしにとっても重要な岐路だからこそ、明確な予知が出来てるんだ。
おまえさんは襲いかかる盗賊や幻獣にとっての要なんだろうね。
あれだけ自分以外の存在について詳しく見えるってのはそういう事さね」
重要な岐路……。
要の存在……。
そんなの、俺は知った事ではないぞ。
重責ばっか押し付けやがって。
「僕は……どうすれば?」
「あたしゃあその選択肢を選ぶ為の情報を与えるだけ。
どの未来を、或いはどんな行動を選び取るかはおまえ自身が決める事さね」
んな事……突然言われたって……。
「この街の防備はかなりのものでしょう?
それを打ち破るほどの規模の盗賊が来るんですか?」
「そうさね、連中はこの街にも何かしら仕掛けをしてるようだ。
何かまではよくわからないが、明日晩の街は大混乱に陥り、そこを連中が襲ってくる」
ヤバすぎるだろ……。
どんだけ入念に準備してんだ、盗賊どもは。
いや、どちらかというとギルバート達、か?
「リンエイさん、街の人にその情報を与えてもらえませんか?
そうすれば、皆準備も警戒も出来ます」
しかし老婆は首を振る。
「……私の言うことは世迷言と言われている。
一度同じような危機的状況を予言し、領主へと打診したが、結果は大きく外した。
それだけじゃなく、逆に悲劇を生んだことがあるのだ。
あたしが多くの情報を与えれば未来は変わるのさね。
だからあたしゃ下手に動かない方がいいんだよ」
そんな……。
話を俺だけに聞かせたのも、未来への影響を最小限にする為か?
いや、むしろ未来の分岐点の要の一つが俺だから話したのか。
とは言え、俺はどうすりゃいい?
こんなデカい街を守るなんて規模が大きすぎる。
一人には荷が重すぎだろ。
それに、俺はアネッサを助けに向かわなくては……。
『全ての人を救う事など出来ません。
どんな人であれ、その手の平から零れ落ちるモノがあるのです』
アネッサの言葉がグサリと胸に突き刺さる。
「……僕は、街に残るべきなのでしょうか?それとも……」
「それはあたしゃあ決められないね。
あんたが自分で選ぶもんだ」
そう、なんだよな……。
だが、結局街に残ろうと、離れようと、犠牲が出るのか?
それが、とても怖い……。
そう思っていた時、あの猫の事を思い出す。
「あの、もう一つ聞きたいんですけど、精霊の三毛猫……ケット・シーのタマリウスって奴がどこにいるのかわかりますか?」
その問いかけに対し、老婆は大きくため息をつく。
「代金は上乗せするよ。
……少し待ちな……」
しばし沈黙し、部屋の振り子時計の音だけが響く。
しばらくして老婆が口を開く。
「……その猫もシャーウッドの樹海さね。
あの娘と……そうだね、あと少しで出会う事になる」
その思いもよらぬ返答に驚く。
「アネッサとタマが!?」
なんでまたあの二人が!?
……いや、考えてみれば向かった方角は奇しくも一緒だったか。
「……今から街を出て、彼等と合流出来ますか?」
「さて、どうだろうね。
言っただろう?
細かい未来の事までは話せない。
わかってたとしてもね。
話は終わりだ。
急ぐんだろう?
代金は金貨二枚で構わないよ」
少し話を聞いただけで金貨を取るのか。
これで全て婆さんの妄言ならボッタクリもいいとこだが、何故かこの婆さんが嘘を言ってるように思えなかった。
俺は金貨二枚をテーブルに置き、頭を下げる。
「色々聞かせてもらって、ありがとうございます」
その言葉には何も反応しない老婆。
部屋を出て行こうとすると、背中から声がかかる。
「……どうするのか、答えは出たのかい?」
「僕は……」
入ってきた扉に手をかけ、顔だけ振り返りその問いかけに答えた。
館を出ると、サリアさんとガウェンさんが俺を心配そうな顔で見てきた。
「どうだった?」
最初に口を開いたのはサリアさん。
「聞きたい情報はある程度は聞けました。
想像以上の悪い事も聞いちゃいましけど……。
ともかく、僕はシャーウッドの森に向かいます」
その答えに、ガウェンさんが小さく頷く。
「あの、スクロールを僕が預かっても良いですか?」
その問いかけにガウェンさんが驚く。
「シンが持っていくのか?
でもシンはアネッサって娘に会いに向かうんだろ?」
「はい。
でも、向かう先に例の精霊猫もいるそうです。
彼に会って、スクロールを渡そうと思います。
受け取ってくれるかはわかりませんが……」
タマが俺の頼みを聞いてくれるかはわからない。
しかし、公爵の推薦状がどうのとか言ってたはず。
彼が手柄が欲しいのなら、力を貸してくれるかもしれない。
「そう、か。
まぁ、俺たちの誰かが一人で行ける訳もないからな……。
無くさずに持って行ってくれよ」
そう言って手渡されたスクロールをしっかり受け取る。
俺はそれを懐に入れ、二人を真っ直ぐに見つめる。
「あと、無理を承知で二人にお願いがあります」
俺の真剣な顔つきに二人も顔を引き締める。
「リンエイさんの話では、明日の晩盗賊達がジーナスを襲ってくるそうです。
しかも、街の中で何かしら仕掛けを施し、混乱を招いた上で。
正直どのような事が起こるのかわかりません。
だから、ジーナスの守りを固めて欲しいのです。
ちなみに護衛団の他の方々はジーナスにいますか?」
「治療を行っているセリーヌ以外は皆いる。
だが、盗賊達が攻め込んでくるって?
ジーナスを襲うとか無謀過ぎるだろ」
ガウェンさんが半笑いでそう反応する。
しかし、サリアさんは口元に手をやり一つ頷く。
「いえ、確かに……いつものジーナスの比べて今は腕の立つ者が少ない。
傭兵達の精鋭が多く怪我してるのが痛手だわ。
魔導騎士がいれば良いけれど、昨日私達が行商に出る時に彼等がこの街を離れるのを見かけたわ。
そう考えると、今は狙い目ではある。
おまけに街の中で混乱が生じれば、守りは簡単に崩れるかもしれない……」
サリアさんはしかめ面でそう言った。
「敵をただの盗賊と思わない方がいいかもしれません。
僕が攻めた砦然り、他の砦も然り、何かとんでもない仕掛けをしているかもしれません。
皆さんだけでなく、出来るだけ多くの人に街の護衛を頼みたいのです」
少しでも、犠牲者を出さない為に……。
「それだけ厄介な相手って訳ね。
わかったわ。
リゼットさんにもこの話しはしておく。
シンくんはあの娘の所に行きなさい。
しっかりケリをつけて、いつもの元気なシンくんに戻ってきて」
そう言ってガッツポーズをするサリアさん。
頼もしいものである。
そして、俺の気持ちが未だ落ち込んでいるのもお見通し。
「すみません……。
僕がこの街に残れば、皆さんへの負担を少なく出来ると思うのですが」
そう謝る俺にガウェンさんが手を伸ばし、頭をガシガシ乱暴に撫でる。
「俺がシンに鍛えてもらってたのはこういう日の為だぜ?
お前がいなくても守りたいモノを守れるように、な。
だから行ってこい、シン」
なっ!と元気付けるガウェンさん。
この人は本当に、逞しくなった。
俺はその言葉に頷く。
俺もまた、これから大仕事が待ってる。
しっかりしねぇとな。
「僕も強力な助っ人に来てもらうようなんとか頼んでみます。
この街の事、よろしくお願いします」
俺は深く頭を下げた後、背を向けて街の中を駆け出した。
そんな俺の姿を二人は見えなくなるまで見守っていた。
「いつになく、あいつの背中が小さく見えるぞ。
まぁ実際に小さいんだけどさ」
シンの姿が見えなくなるとガウェンが呟く。
「そう、ね。
迷いを振り払っているようだけど、振り払いきれてないって感じ。
あんな不安そうなシンくん、初めて見たわ」
頷いたサリアはとても心配そうにそう言った。
俺は地図だけ取りに家に戻る事にした。
彼等を頼って、本当に良かったのか?と疑問を自分にぶつけながら。
もしも、サリアさんやガウェンさんが犠牲になったら?
そう考えると怖くてたまらない。
いつの間にか俺は家の前に着いていた。
玄関の扉を開くと一羽の美しい鳩が一緒に飛び込んできた。
鳩は椅子の背もたれにとまり、こちらを見てくる。
その身体には羊皮紙が括り付けられていた。
一目で理解する。
ジノからの返事だ。
俺はゆっくりと鳩から羊皮紙をとると、鳩はまた再び開いてる玄関から飛び出していった。
俺はその手紙を今読むべきか一瞬悩んだが、羊皮紙を広げ内容を読む事にした。
時間は惜しい……。
けれど、今はざわめきが止まらない心をどうにかしたい。
未だに気持ちが不安定で、どうするべきか悩んでいる俺はこの手紙を読んで落ち着きたかったのかもしれない。
俺は震える手でゆっくり手紙を開き、しばしの静寂が家の中を包み込む。
『久しぶりだな、シン。
お前からわずか半年で手紙が届くとは思わなかった。
意外にマメなところもあるのだな。
レイクサイド・ジーナスは私も立ち寄った事がある。
とても美しく、大きな街だろう。
沢山の人がいて、多くの出会いがある事を素直に喜ばしく思う。
“運び屋シン”とはまた愉快な二つ名が出来たものだな。
お前が次に帰ってきたら、マナポーションを運んでもらおうか?
以前のように転んで割らないよう頼むぞ。
アリスにも、会ったのだな。
彼奴と私は一度本気で命の取り合いをした事がある。
最終的には互いに痛み分けで終わったのだがな。
どちらもボロボロの身体になり、戦えなくなった後、彼奴から話を聞いたのだ。
ついでに人間達を裏切って魔将にならないか、とも勧誘されたがそれは断った。
ともかく、互いにその実力を認めているという事だ。
そこで魔族側の主張というモノ聞いた。
それは我々が知らない事柄でもあったし、あれはもしかしたら隠された真実なのかもしれない。
しかし、それを今語ったところで戦争は始まってしまい、それは未だに続いている。
もはやどちらも引くに引けない所まで来てしまってるのだ。
今更過去がとうのと言った所で何も変わるまい。
だから、お前は過去の事など気にせず未来を見ていればいい。
過去の話はまたいつか、再開した時にでもゆっくりしてやる。
エルフの里の皆は相変わらずだ。
半年前と変わらず元気にやっている。
特にリアナは最近私のもとに訪れて魔導を学び始めてる。
あの子とまた会う事があれば、驚くことになるぞ。
お前が元気でいるのも、毎日楽しくやっているいるのも何よりだ。
そんなお前に水を差す事になるかもしれんが、小煩い親父の戯言と思って心に留めておけ。
力あるお前はきっとこの先も様々な人や物事を引き寄せるだろう。
その中には良い人や良い事もあるかもしれない。
逆に想像もつかない悪人や悪事、問題とも出会す事にもなるかもしれない。
私もまたそうだったように、な。
それらと向き合った時、お前は悩み、時に道に迷ってどう進むべきかわからなくなるかもしれない。
己の信ずる正しさすら、折れる事もあるかもしれん。
だが、そうなったとしても、それは特別な事ではない。
そんな思いを抱えているのはお前だけではない。
誰でも抱えている。
お前は私が何でも出来る超人のように思っているようだが、私が取りこぼしたモノなど数え切れん。
だから覚えておけ。
何もかも全てお前が一人で抱え込む事はないのだ。
人との出会いや繋がりは、お前を縛り、弱くするものではない。
その繋がりはお前を強くするのだ。
頼れる友を作れ。
一人で取りこぼしてしまいそうなら、掬い取る手を増やせ。
お前は私とは違い、多くの人との繋がりをもって歩める人だ。
お前なら、沢山の人と共に歩む事が出来る。
私はそう確信している。
お前一人で全てを救えなくても良い。
勇者のような存在にならなくても良い。
周りを頼り、そして自分が大切だと思える人をお前も守れば良い。
立派じゃなくとも、誇らしくなくとも、構わない。
限られた者にとっての英雄で良いのだ。
それは他でもないお前の為に。
そして、お前の大切にしたいと思える人の為に。
その為だけに、全力を尽くせ。
そうすれば、お前はどんな壁でも打ち破れる。
そう私は信じている。
長く語りすぎたな。
悪い癖だ。
では、また気が向いたら手紙を寄越すがいい。
あの古ぼけた小さな家で、私はいつでもお前の帰りを待っている。
偉大な父ジノより』
まったく、アイツは……なんだってこう、見透かしたかのような事を言ってくるかね。
でも、そうなんだよな、ジノ。
俺が守りたいモノの為に、全力を尽くせば、それで良いんだよな。
俺の僅かに濁った瞳に、再び光が戻る。
そして地図を掴み、俺は家から飛び出した。
もう迷いはなかった。
目指すはシャーウッドの樹海。
必ず、二人でここに帰る。
そう強く覚悟を決め、俺は街を駆け抜けた。
まるで幽霊屋敷のようである。
こんな所に人が住んでいるのだろうか?
地震が起きたら総崩れしそうな佇まいだが……。
シンとサリア、ガウェンの三人はその館の玄関の前に立ち、ノックをする。
反応は……ない。
三人は顔を見合わせ、ガウェンさんが玄関扉に手をかける。
鍵はあいており、扉がゆっくり開かれる。
「あのー、誰かいらっしゃいますかー?」
ガウェンさんが声を張り上げて問いかけるが、反応がない。
「留守でしょうか?」
そう俺が言うと、中から声が飛んできた。
「入ってきな。坊や一人だけ」
そう短く、そして小さく声がした。
三人は再度顔を見合わせ、俺が自分を指差すとサリアさんとガウェンさんが頷く。
俺は一段と大きく深呼吸して、館の中へと進む。
「こっちだよ。早く来な」
その声の方へと進む。
広間の先にある扉の中から気配があった。
扉を開き、中に入ると一人の老婆がロッキングチェアに腰掛けてゆっくりと揺れていた。
その老婆は古ぼけた布切れで身を包み、フードを深々と被っていた。
表情はフードのせいでわからないが、なんとも不気味な姿をしていた。
「……あの……リンエイさん、ですか?
人探しを、お願いした——」
「シャーウッドの樹海だよ……。
その娘がいるのはね」
俺の言葉が終える前に答えが返ってきた。
質問が終わる前に答えられた事に俺は少なからず驚く。
「何故、僕の聞きたいことが」
「わかったのかって?
あたしゃ占い師だ。
預言者とも呼ばれた事もあるけれど、過去や未来を見て長い事生活してるんだ。
特に自分に関わる事はより鮮明に見える。
あんたが来ることも、これから起こることも、ある程度は知ってるさ」
そう言ってゴホッと咳をする老婆。
身体の具合が悪いのだろうか?
「これから起こる事?」
「幻獣の憑代が、近くにいるんだろ?
その娘、明日の晩に幻獣となってこの都にやってくるよ。
その結果この街で幻獣が猛威を振るう。
それが私が見た一つの未来さね」
淡々と告げられたその内容が、あまりに衝撃的で言葉を失う。
「この街に、幻獣が来る?
しかし、アネッサがいるのはシャーウッドの樹海なのでしょう?
距離がかなりあるのに、どうして?」
老婆は咳を二度して、また口を開く。
「相手は幻獣フェンリル……。
シャーウッドの樹海までの距離はさほど大した問題じゃない。
何より、あんたみたいな魔力の大きいモノが幻獣を引き付けるのさね。
あんたがここに留まれば、盗賊と戦う事になり、その魔力放出を引き金に幻獣を呼び寄せてしまうんだろうね」
「ちょっ、ちょっと待って下さい!
盗賊と戦う!?
あいつらはジーナスに来るんですか!?」
またも衝撃的な事を抑揚もなく言われた話の内容に俺は動揺する。
「どうして、盗賊達がここに……」
老婆はこちらを見ずに淡々と答える。
「信じる信じないはおまえさんの勝手だよ」
「いえ……信じます」
「そう答えるだろうね、知ってたさ」
なんだか頭の中を覗かれてるような気分だ。
しかし、どちらの未来を選んでも、ジーナスに危機が訪れるのか?
「……どうすれば?」
「あんたが選びな。
一人で救える命には限りがあるものさね。
それに未来は不確定要素が多い。
あたしゃ大きな未来は一つしか見えやしない。
細かい選択でその未来も変わるし、あたしが見た未来とは別の未来も無数にある。
すでに予知した未来をあんたが聞いた事で、未来は変わり始めてる。
あとはこの話を聞いたあんたがどう選択するかって事さね。
街か、娘か、どちらを優先するか、だ」
その問いかけに俺は絶句する。
「いやいや、僕の判断一つで街の命運まで決まるんですか!?」
思わず声を上げてしまった。
しかし老婆は変わらず淡々と告げる。
「そういう岐路に今おまえさんは立っとる。
あたしにとっても重要な岐路だからこそ、明確な予知が出来てるんだ。
おまえさんは襲いかかる盗賊や幻獣にとっての要なんだろうね。
あれだけ自分以外の存在について詳しく見えるってのはそういう事さね」
重要な岐路……。
要の存在……。
そんなの、俺は知った事ではないぞ。
重責ばっか押し付けやがって。
「僕は……どうすれば?」
「あたしゃあその選択肢を選ぶ為の情報を与えるだけ。
どの未来を、或いはどんな行動を選び取るかはおまえ自身が決める事さね」
んな事……突然言われたって……。
「この街の防備はかなりのものでしょう?
それを打ち破るほどの規模の盗賊が来るんですか?」
「そうさね、連中はこの街にも何かしら仕掛けをしてるようだ。
何かまではよくわからないが、明日晩の街は大混乱に陥り、そこを連中が襲ってくる」
ヤバすぎるだろ……。
どんだけ入念に準備してんだ、盗賊どもは。
いや、どちらかというとギルバート達、か?
「リンエイさん、街の人にその情報を与えてもらえませんか?
そうすれば、皆準備も警戒も出来ます」
しかし老婆は首を振る。
「……私の言うことは世迷言と言われている。
一度同じような危機的状況を予言し、領主へと打診したが、結果は大きく外した。
それだけじゃなく、逆に悲劇を生んだことがあるのだ。
あたしが多くの情報を与えれば未来は変わるのさね。
だからあたしゃ下手に動かない方がいいんだよ」
そんな……。
話を俺だけに聞かせたのも、未来への影響を最小限にする為か?
いや、むしろ未来の分岐点の要の一つが俺だから話したのか。
とは言え、俺はどうすりゃいい?
こんなデカい街を守るなんて規模が大きすぎる。
一人には荷が重すぎだろ。
それに、俺はアネッサを助けに向かわなくては……。
『全ての人を救う事など出来ません。
どんな人であれ、その手の平から零れ落ちるモノがあるのです』
アネッサの言葉がグサリと胸に突き刺さる。
「……僕は、街に残るべきなのでしょうか?それとも……」
「それはあたしゃあ決められないね。
あんたが自分で選ぶもんだ」
そう、なんだよな……。
だが、結局街に残ろうと、離れようと、犠牲が出るのか?
それが、とても怖い……。
そう思っていた時、あの猫の事を思い出す。
「あの、もう一つ聞きたいんですけど、精霊の三毛猫……ケット・シーのタマリウスって奴がどこにいるのかわかりますか?」
その問いかけに対し、老婆は大きくため息をつく。
「代金は上乗せするよ。
……少し待ちな……」
しばし沈黙し、部屋の振り子時計の音だけが響く。
しばらくして老婆が口を開く。
「……その猫もシャーウッドの樹海さね。
あの娘と……そうだね、あと少しで出会う事になる」
その思いもよらぬ返答に驚く。
「アネッサとタマが!?」
なんでまたあの二人が!?
……いや、考えてみれば向かった方角は奇しくも一緒だったか。
「……今から街を出て、彼等と合流出来ますか?」
「さて、どうだろうね。
言っただろう?
細かい未来の事までは話せない。
わかってたとしてもね。
話は終わりだ。
急ぐんだろう?
代金は金貨二枚で構わないよ」
少し話を聞いただけで金貨を取るのか。
これで全て婆さんの妄言ならボッタクリもいいとこだが、何故かこの婆さんが嘘を言ってるように思えなかった。
俺は金貨二枚をテーブルに置き、頭を下げる。
「色々聞かせてもらって、ありがとうございます」
その言葉には何も反応しない老婆。
部屋を出て行こうとすると、背中から声がかかる。
「……どうするのか、答えは出たのかい?」
「僕は……」
入ってきた扉に手をかけ、顔だけ振り返りその問いかけに答えた。
館を出ると、サリアさんとガウェンさんが俺を心配そうな顔で見てきた。
「どうだった?」
最初に口を開いたのはサリアさん。
「聞きたい情報はある程度は聞けました。
想像以上の悪い事も聞いちゃいましけど……。
ともかく、僕はシャーウッドの森に向かいます」
その答えに、ガウェンさんが小さく頷く。
「あの、スクロールを僕が預かっても良いですか?」
その問いかけにガウェンさんが驚く。
「シンが持っていくのか?
でもシンはアネッサって娘に会いに向かうんだろ?」
「はい。
でも、向かう先に例の精霊猫もいるそうです。
彼に会って、スクロールを渡そうと思います。
受け取ってくれるかはわかりませんが……」
タマが俺の頼みを聞いてくれるかはわからない。
しかし、公爵の推薦状がどうのとか言ってたはず。
彼が手柄が欲しいのなら、力を貸してくれるかもしれない。
「そう、か。
まぁ、俺たちの誰かが一人で行ける訳もないからな……。
無くさずに持って行ってくれよ」
そう言って手渡されたスクロールをしっかり受け取る。
俺はそれを懐に入れ、二人を真っ直ぐに見つめる。
「あと、無理を承知で二人にお願いがあります」
俺の真剣な顔つきに二人も顔を引き締める。
「リンエイさんの話では、明日の晩盗賊達がジーナスを襲ってくるそうです。
しかも、街の中で何かしら仕掛けを施し、混乱を招いた上で。
正直どのような事が起こるのかわかりません。
だから、ジーナスの守りを固めて欲しいのです。
ちなみに護衛団の他の方々はジーナスにいますか?」
「治療を行っているセリーヌ以外は皆いる。
だが、盗賊達が攻め込んでくるって?
ジーナスを襲うとか無謀過ぎるだろ」
ガウェンさんが半笑いでそう反応する。
しかし、サリアさんは口元に手をやり一つ頷く。
「いえ、確かに……いつものジーナスの比べて今は腕の立つ者が少ない。
傭兵達の精鋭が多く怪我してるのが痛手だわ。
魔導騎士がいれば良いけれど、昨日私達が行商に出る時に彼等がこの街を離れるのを見かけたわ。
そう考えると、今は狙い目ではある。
おまけに街の中で混乱が生じれば、守りは簡単に崩れるかもしれない……」
サリアさんはしかめ面でそう言った。
「敵をただの盗賊と思わない方がいいかもしれません。
僕が攻めた砦然り、他の砦も然り、何かとんでもない仕掛けをしているかもしれません。
皆さんだけでなく、出来るだけ多くの人に街の護衛を頼みたいのです」
少しでも、犠牲者を出さない為に……。
「それだけ厄介な相手って訳ね。
わかったわ。
リゼットさんにもこの話しはしておく。
シンくんはあの娘の所に行きなさい。
しっかりケリをつけて、いつもの元気なシンくんに戻ってきて」
そう言ってガッツポーズをするサリアさん。
頼もしいものである。
そして、俺の気持ちが未だ落ち込んでいるのもお見通し。
「すみません……。
僕がこの街に残れば、皆さんへの負担を少なく出来ると思うのですが」
そう謝る俺にガウェンさんが手を伸ばし、頭をガシガシ乱暴に撫でる。
「俺がシンに鍛えてもらってたのはこういう日の為だぜ?
お前がいなくても守りたいモノを守れるように、な。
だから行ってこい、シン」
なっ!と元気付けるガウェンさん。
この人は本当に、逞しくなった。
俺はその言葉に頷く。
俺もまた、これから大仕事が待ってる。
しっかりしねぇとな。
「僕も強力な助っ人に来てもらうようなんとか頼んでみます。
この街の事、よろしくお願いします」
俺は深く頭を下げた後、背を向けて街の中を駆け出した。
そんな俺の姿を二人は見えなくなるまで見守っていた。
「いつになく、あいつの背中が小さく見えるぞ。
まぁ実際に小さいんだけどさ」
シンの姿が見えなくなるとガウェンが呟く。
「そう、ね。
迷いを振り払っているようだけど、振り払いきれてないって感じ。
あんな不安そうなシンくん、初めて見たわ」
頷いたサリアはとても心配そうにそう言った。
俺は地図だけ取りに家に戻る事にした。
彼等を頼って、本当に良かったのか?と疑問を自分にぶつけながら。
もしも、サリアさんやガウェンさんが犠牲になったら?
そう考えると怖くてたまらない。
いつの間にか俺は家の前に着いていた。
玄関の扉を開くと一羽の美しい鳩が一緒に飛び込んできた。
鳩は椅子の背もたれにとまり、こちらを見てくる。
その身体には羊皮紙が括り付けられていた。
一目で理解する。
ジノからの返事だ。
俺はゆっくりと鳩から羊皮紙をとると、鳩はまた再び開いてる玄関から飛び出していった。
俺はその手紙を今読むべきか一瞬悩んだが、羊皮紙を広げ内容を読む事にした。
時間は惜しい……。
けれど、今はざわめきが止まらない心をどうにかしたい。
未だに気持ちが不安定で、どうするべきか悩んでいる俺はこの手紙を読んで落ち着きたかったのかもしれない。
俺は震える手でゆっくり手紙を開き、しばしの静寂が家の中を包み込む。
『久しぶりだな、シン。
お前からわずか半年で手紙が届くとは思わなかった。
意外にマメなところもあるのだな。
レイクサイド・ジーナスは私も立ち寄った事がある。
とても美しく、大きな街だろう。
沢山の人がいて、多くの出会いがある事を素直に喜ばしく思う。
“運び屋シン”とはまた愉快な二つ名が出来たものだな。
お前が次に帰ってきたら、マナポーションを運んでもらおうか?
以前のように転んで割らないよう頼むぞ。
アリスにも、会ったのだな。
彼奴と私は一度本気で命の取り合いをした事がある。
最終的には互いに痛み分けで終わったのだがな。
どちらもボロボロの身体になり、戦えなくなった後、彼奴から話を聞いたのだ。
ついでに人間達を裏切って魔将にならないか、とも勧誘されたがそれは断った。
ともかく、互いにその実力を認めているという事だ。
そこで魔族側の主張というモノ聞いた。
それは我々が知らない事柄でもあったし、あれはもしかしたら隠された真実なのかもしれない。
しかし、それを今語ったところで戦争は始まってしまい、それは未だに続いている。
もはやどちらも引くに引けない所まで来てしまってるのだ。
今更過去がとうのと言った所で何も変わるまい。
だから、お前は過去の事など気にせず未来を見ていればいい。
過去の話はまたいつか、再開した時にでもゆっくりしてやる。
エルフの里の皆は相変わらずだ。
半年前と変わらず元気にやっている。
特にリアナは最近私のもとに訪れて魔導を学び始めてる。
あの子とまた会う事があれば、驚くことになるぞ。
お前が元気でいるのも、毎日楽しくやっているいるのも何よりだ。
そんなお前に水を差す事になるかもしれんが、小煩い親父の戯言と思って心に留めておけ。
力あるお前はきっとこの先も様々な人や物事を引き寄せるだろう。
その中には良い人や良い事もあるかもしれない。
逆に想像もつかない悪人や悪事、問題とも出会す事にもなるかもしれない。
私もまたそうだったように、な。
それらと向き合った時、お前は悩み、時に道に迷ってどう進むべきかわからなくなるかもしれない。
己の信ずる正しさすら、折れる事もあるかもしれん。
だが、そうなったとしても、それは特別な事ではない。
そんな思いを抱えているのはお前だけではない。
誰でも抱えている。
お前は私が何でも出来る超人のように思っているようだが、私が取りこぼしたモノなど数え切れん。
だから覚えておけ。
何もかも全てお前が一人で抱え込む事はないのだ。
人との出会いや繋がりは、お前を縛り、弱くするものではない。
その繋がりはお前を強くするのだ。
頼れる友を作れ。
一人で取りこぼしてしまいそうなら、掬い取る手を増やせ。
お前は私とは違い、多くの人との繋がりをもって歩める人だ。
お前なら、沢山の人と共に歩む事が出来る。
私はそう確信している。
お前一人で全てを救えなくても良い。
勇者のような存在にならなくても良い。
周りを頼り、そして自分が大切だと思える人をお前も守れば良い。
立派じゃなくとも、誇らしくなくとも、構わない。
限られた者にとっての英雄で良いのだ。
それは他でもないお前の為に。
そして、お前の大切にしたいと思える人の為に。
その為だけに、全力を尽くせ。
そうすれば、お前はどんな壁でも打ち破れる。
そう私は信じている。
長く語りすぎたな。
悪い癖だ。
では、また気が向いたら手紙を寄越すがいい。
あの古ぼけた小さな家で、私はいつでもお前の帰りを待っている。
偉大な父ジノより』
まったく、アイツは……なんだってこう、見透かしたかのような事を言ってくるかね。
でも、そうなんだよな、ジノ。
俺が守りたいモノの為に、全力を尽くせば、それで良いんだよな。
俺の僅かに濁った瞳に、再び光が戻る。
そして地図を掴み、俺は家から飛び出した。
もう迷いはなかった。
目指すはシャーウッドの樹海。
必ず、二人でここに帰る。
そう強く覚悟を決め、俺は街を駆け抜けた。
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