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4章 癒し手を救出せよ
27 罰
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「……ここは……」
さっきまでの勢いはどこへ行ったのか、レネはおずおずと周囲を見回しながら後を付いてくる。
「俺の代になってからは、ルカしか入れてない」
バルナバーシュが寝室の奥の扉を開くとそこから階段が現れ、夜光石のランプを持ってそこを上がって行く。
階段を上がるとまた扉が現れ、そこを開くと外の冷気が一気に中へと入って来る。
「……屋上!?」
レネはいきなり目の前へ現れた広い空間に、目を瞬かせる。
「鍛練場代わりに使っている。俺たちも毎日の鍛練は必要だからな」
外から見ても周囲を塀の様に屋根が囲み、この屋上は見えない作りになっていた。
バルナバーシュの鍛練の相手になるのは、ここではルカーシュしかおらず、ルカーシュの相手になるのもバルナバーシュしかいない。
それにルカーシュはコジャーツカ人で二刀流という特殊な剣士だ。
マウンティングのため、団員たちにその剣技の一部を晒したが、あまりその姿を表に出すことを好まない。
だから毎日二人で誰にも見られることなくここで鍛練を行っている。
(いや……ルカを晒したくないのは俺の我儘だけどな……)
「ルカと比べたらお前じゃあ役不足だがな……仕方ねえな……」
「…………」
わざと師匠と比べる発言をすると、レネの目に怒りの炎が灯る。
ルカーシュとレネは師弟関係なのだが、お互いに反発しあっている所が少しある。
ここがあるのにルカーシュがわざわざ河原でレネを鍛えていたのも、二人の場所にレネを入れたくなかったからだ。
そもそも二人がこじれる原因を作ったのはバルナバーシュなのだが、今はその感情を利用する。
この前の決闘の時もそうだったが、レネは怒りの感情を煽られることにより、抑圧されていた本来の力を発揮すことができる。
「せっかく持って来てるんなら二本使えよ」
左右の腰にコジャーツカの剣が二本差してあるのを確認すると、バルナバーシュは自分の剣を抜いた。
愛らしい子供時代から全く変わっていないその面差し。
これ以上傷に触れるのはやめようと、そっとしておいたのに……どうして自ら傷を抉るような真似をしてくる?
(——俺だって自分を傷つけられるよりも痛いもんがあるんだよ……)
だが……弱い自分を罰してくれとばかりに自ら進んでやって来たレネに、中途半端な気持ちで臨んではいけない。
自分に課せられた役割は、レネを強くすること。
決して慈しむことではない。
バルナバーシュという名前は『慰める者』という意味を持つ。
自分の跡取りでもある我が子にそんな軟弱な名前を付けるなと、父であるオレクは反対したそうだが、母がこの名を付けるといって譲らなかったらしい。
母は息子にこんな似合いもしない名前を付けて、自分になにを見出していたのだろうか?
(——俺は殺戮者だ)
慰めるどころか沢山の人間を屍へと変えてきた。
バルナバーシュはゆっくりと息を吐き、傭兵時代からやって来た儀式を執り行う。
目の前に立つ人物を真っ黒に塗りつぶし、ただの動く人形へと変えていく。
「覚悟はいいか?」
「——はい……」
◆◆◆◆◆
本当の恐怖とはなんだろうか?
幼い頃、自分を守ってくれていた大きな存在が、剣を持って自分と対峙している。
いや……対峙するなんて言葉はしっくりこない。
防戦一方を強いられ、レネはただ逃げ回ることしかできない。
戦いが始まってから、バルナバーシュは終始無言を貫いている。
いつもは『遅い』『読みが甘い』など指導しながら剣を打ち込んで来るが、今は思わず尻尾を巻いて逃げ出したくなるような殺気しか感じない。
それも弱い獲物を嬲るように、決定的なダメージを与えようとはしない。
「はぁっ……はぁっ……」
太腿と腕に大きな傷を作りながらも、レネは辛うじてまだ身体を動かすことができる状態だ。
バルトロメイやゼラと戦う時は、まだゾクゾクするような高揚感があるのだが、バルナバーシュは次元が違う。
バルナバーシュは力業で圧倒的な恐怖をレネに植え付けてくるのだ。
憧れの騎士としての『バル』の面影などどこにもなく、そこには……今まで対峙してきた殺しを稼業にする男たちのあの独特の瞳を……更に黒く塗りつぶした、地獄の底みたいな色をしていた。
だが、この闇を纏ったバルナバーシュの姿を、心の底から美しいと思う自分がいる。
光の当たる人間の足元には、必ず影ができる。
影のない人間は、そもそも光が当たっていないのだ。
たぶん自分は、バルナバーシュの影を見て、安心している。
バルナバーシュは長く続いた大戦を終わりに導いた英雄の一人といわれている。
光り輝く養父の経歴……それに見合った真っ暗な影を発見し、綺麗ごとだけを並べる人間なんかより、よっぽど人間らしいとレネは喜んでいるのだ。
その闇を自分に見せてくれたことがなによりも嬉しかった。
気を呑まれるほどの恐怖は、この男から喰われてしまいたいという甘い陶酔に変わる。
だが、靡いてしまいそうになったところで、「違う!!」とレネの本能が警告した。
(オレは、支配されたいんじゃないっ!! この男に勝ちたいんだっ!!)
突如明確になった自分の欲望に、なよなよと萎んでいた力が再び蘇る。
今まで漠然と『バル』のような強い男になりたいと思っていたが、その『なりたい』を突き詰めていけば、養父のいる場所に自分が立つことを意味する。
横に並ぶのではない、『バル』を越えないと……その場所には辿り着けない。
今はまだ力は及ばないが、せめて爪痕だけでもバルナバーシュの身体に残したかった。
左に持った剣で、次の攻撃を生みださせないようにバルナバーシュの手元を執拗に攻める。
こんな小手先の戦法など、バルナバーシュは猫がじゃれついているくらいにしか感じていないはずだ。
手足の失血が酷くなってきて目が眩んできた。
体力的にも攻撃に転じられるのはあと一回が限界だろう。
この一撃に懸けるしかない。
◆◆◆◆◆
風呂場からレネを運び出した時には、二人とも憔悴していた。
ボリスは急に団長の寝室へと呼び出され駆けつけた時の光景を思い出す。
真っ暗な寝室の奥にある風呂場から灯りが漏れており、タイルの上には横たわる血だらけのレネの姿が。
バルナバーシュがレネの腹にできた傷をシャツで縛って必死に止血している。
やっと……二人揃って生還したのに……なんてことだ。
二段落としの悪夢に、ボリスは目の前が一瞬にして真っ暗になる。
なんとか傷を塞ぎ、レネの血を洗い、失血のために失った体温が戻るまでバスタブに浸け温めた。
レネを自室のベッドの上へと運び、二人して手近にあった椅子へ座る。
この傷は間違いなくバルナバーシュが負わせたものだ。
この世の終わりのような陰鬱な顔をしたバルナバーシュを見て、とても責める気にはならない。
ボリスはどうしてこんなことになったのか、おおよその想像がつく。
「……レネは私に庇われたのを悔やんでいたのでしょう?」
だからまるで罰でも受ける気持ちで、バルナバーシュとの手合わせを申し出たに違いない。
今思うと、レネもエゴールの次の攻撃をちゃんと読んでいたはずだ。
それなのに……自分のせいでレネが辱めを受け、動転していたボリスは、レネがこれ以上、自分のために傷付くのが耐えられなかった。
レネにとって、ボリスは予想外の動きをしたのだろう。
あんなに怒鳴り散らされたのは初めてだった。
「こいつは護衛だからな。それにお前は自分の傷は治せない。危険に曝された時は大人しくレネに守られてろ。そしてこいつが傷付いた時に癒すのが役目だろ?」
「……申し訳ありません。逆になってしまいましたね……」
「レネに癒しの力があったからよかったものの……無茶しやがって……」
返す言葉もない。
「団長、胸の傷が」
レネばかりに気をとられていたが、バルナバーシュも浅い傷だが、胸元を斜めに大きく斬られていた。
「……ああ。コイツが俺を傷つけるなんて初めてだ……」
もうすぐボリスの義理の父親になる男は、苦笑いを浮かべていたが、その顔はどこか嬉しげだった。
「本当は、お前を救えなかったコイツに駄目出しして、鍛え直してやらんといけなかったのに……俺はお前たち二人が無事に返って来て安心したのと、コイツが癒しの力を使ったことに動転して、本来の役割を見失っちまった」
「……団長……」
この人はいつも損な役割ばかり負っている。
レネはバルナバーシュに完膚なきまでに痛めつけられて罰を受けたつもりになっているのだろうが、レネを傷つけることが、どれだけ養父の心の負担になっているのか、もっと知った方がいい。
愛する息子を傷つけて喜ぶ親なんていない。
バルナバーシュはレネを鍛え、ボリスは傷付いたレネを癒す。
この役目を見失ったら、レネは迷い、己を責めてしまう。
だから二人はその役に徹するしかない。
だがせめて……レネの傷付くことが彼を愛する者にとっても、自分のこと以上に痛いということをわかってほしい。
「自分の役割を見失った罰だな……」
そう言ってバルナバーシュは、苦虫を噛み潰したような顔をした。
「それは私も同じです」
そんなバルナバーシュの顔を見るのは辛い。
ボリスにはバルナバーシュの痛みが誰よりも理解できるからだ。
今夜はルカーシュがいないせいか……いつになく、もうすぐ義父になる男の背中が小さく見えた。
ボリスはなんだか放っておけなくなり、寝酒に付き合ってほしいとせがんで、一緒に酒を酌み交わした。
さっきまでの勢いはどこへ行ったのか、レネはおずおずと周囲を見回しながら後を付いてくる。
「俺の代になってからは、ルカしか入れてない」
バルナバーシュが寝室の奥の扉を開くとそこから階段が現れ、夜光石のランプを持ってそこを上がって行く。
階段を上がるとまた扉が現れ、そこを開くと外の冷気が一気に中へと入って来る。
「……屋上!?」
レネはいきなり目の前へ現れた広い空間に、目を瞬かせる。
「鍛練場代わりに使っている。俺たちも毎日の鍛練は必要だからな」
外から見ても周囲を塀の様に屋根が囲み、この屋上は見えない作りになっていた。
バルナバーシュの鍛練の相手になるのは、ここではルカーシュしかおらず、ルカーシュの相手になるのもバルナバーシュしかいない。
それにルカーシュはコジャーツカ人で二刀流という特殊な剣士だ。
マウンティングのため、団員たちにその剣技の一部を晒したが、あまりその姿を表に出すことを好まない。
だから毎日二人で誰にも見られることなくここで鍛練を行っている。
(いや……ルカを晒したくないのは俺の我儘だけどな……)
「ルカと比べたらお前じゃあ役不足だがな……仕方ねえな……」
「…………」
わざと師匠と比べる発言をすると、レネの目に怒りの炎が灯る。
ルカーシュとレネは師弟関係なのだが、お互いに反発しあっている所が少しある。
ここがあるのにルカーシュがわざわざ河原でレネを鍛えていたのも、二人の場所にレネを入れたくなかったからだ。
そもそも二人がこじれる原因を作ったのはバルナバーシュなのだが、今はその感情を利用する。
この前の決闘の時もそうだったが、レネは怒りの感情を煽られることにより、抑圧されていた本来の力を発揮すことができる。
「せっかく持って来てるんなら二本使えよ」
左右の腰にコジャーツカの剣が二本差してあるのを確認すると、バルナバーシュは自分の剣を抜いた。
愛らしい子供時代から全く変わっていないその面差し。
これ以上傷に触れるのはやめようと、そっとしておいたのに……どうして自ら傷を抉るような真似をしてくる?
(——俺だって自分を傷つけられるよりも痛いもんがあるんだよ……)
だが……弱い自分を罰してくれとばかりに自ら進んでやって来たレネに、中途半端な気持ちで臨んではいけない。
自分に課せられた役割は、レネを強くすること。
決して慈しむことではない。
バルナバーシュという名前は『慰める者』という意味を持つ。
自分の跡取りでもある我が子にそんな軟弱な名前を付けるなと、父であるオレクは反対したそうだが、母がこの名を付けるといって譲らなかったらしい。
母は息子にこんな似合いもしない名前を付けて、自分になにを見出していたのだろうか?
(——俺は殺戮者だ)
慰めるどころか沢山の人間を屍へと変えてきた。
バルナバーシュはゆっくりと息を吐き、傭兵時代からやって来た儀式を執り行う。
目の前に立つ人物を真っ黒に塗りつぶし、ただの動く人形へと変えていく。
「覚悟はいいか?」
「——はい……」
◆◆◆◆◆
本当の恐怖とはなんだろうか?
幼い頃、自分を守ってくれていた大きな存在が、剣を持って自分と対峙している。
いや……対峙するなんて言葉はしっくりこない。
防戦一方を強いられ、レネはただ逃げ回ることしかできない。
戦いが始まってから、バルナバーシュは終始無言を貫いている。
いつもは『遅い』『読みが甘い』など指導しながら剣を打ち込んで来るが、今は思わず尻尾を巻いて逃げ出したくなるような殺気しか感じない。
それも弱い獲物を嬲るように、決定的なダメージを与えようとはしない。
「はぁっ……はぁっ……」
太腿と腕に大きな傷を作りながらも、レネは辛うじてまだ身体を動かすことができる状態だ。
バルトロメイやゼラと戦う時は、まだゾクゾクするような高揚感があるのだが、バルナバーシュは次元が違う。
バルナバーシュは力業で圧倒的な恐怖をレネに植え付けてくるのだ。
憧れの騎士としての『バル』の面影などどこにもなく、そこには……今まで対峙してきた殺しを稼業にする男たちのあの独特の瞳を……更に黒く塗りつぶした、地獄の底みたいな色をしていた。
だが、この闇を纏ったバルナバーシュの姿を、心の底から美しいと思う自分がいる。
光の当たる人間の足元には、必ず影ができる。
影のない人間は、そもそも光が当たっていないのだ。
たぶん自分は、バルナバーシュの影を見て、安心している。
バルナバーシュは長く続いた大戦を終わりに導いた英雄の一人といわれている。
光り輝く養父の経歴……それに見合った真っ暗な影を発見し、綺麗ごとだけを並べる人間なんかより、よっぽど人間らしいとレネは喜んでいるのだ。
その闇を自分に見せてくれたことがなによりも嬉しかった。
気を呑まれるほどの恐怖は、この男から喰われてしまいたいという甘い陶酔に変わる。
だが、靡いてしまいそうになったところで、「違う!!」とレネの本能が警告した。
(オレは、支配されたいんじゃないっ!! この男に勝ちたいんだっ!!)
突如明確になった自分の欲望に、なよなよと萎んでいた力が再び蘇る。
今まで漠然と『バル』のような強い男になりたいと思っていたが、その『なりたい』を突き詰めていけば、養父のいる場所に自分が立つことを意味する。
横に並ぶのではない、『バル』を越えないと……その場所には辿り着けない。
今はまだ力は及ばないが、せめて爪痕だけでもバルナバーシュの身体に残したかった。
左に持った剣で、次の攻撃を生みださせないようにバルナバーシュの手元を執拗に攻める。
こんな小手先の戦法など、バルナバーシュは猫がじゃれついているくらいにしか感じていないはずだ。
手足の失血が酷くなってきて目が眩んできた。
体力的にも攻撃に転じられるのはあと一回が限界だろう。
この一撃に懸けるしかない。
◆◆◆◆◆
風呂場からレネを運び出した時には、二人とも憔悴していた。
ボリスは急に団長の寝室へと呼び出され駆けつけた時の光景を思い出す。
真っ暗な寝室の奥にある風呂場から灯りが漏れており、タイルの上には横たわる血だらけのレネの姿が。
バルナバーシュがレネの腹にできた傷をシャツで縛って必死に止血している。
やっと……二人揃って生還したのに……なんてことだ。
二段落としの悪夢に、ボリスは目の前が一瞬にして真っ暗になる。
なんとか傷を塞ぎ、レネの血を洗い、失血のために失った体温が戻るまでバスタブに浸け温めた。
レネを自室のベッドの上へと運び、二人して手近にあった椅子へ座る。
この傷は間違いなくバルナバーシュが負わせたものだ。
この世の終わりのような陰鬱な顔をしたバルナバーシュを見て、とても責める気にはならない。
ボリスはどうしてこんなことになったのか、おおよその想像がつく。
「……レネは私に庇われたのを悔やんでいたのでしょう?」
だからまるで罰でも受ける気持ちで、バルナバーシュとの手合わせを申し出たに違いない。
今思うと、レネもエゴールの次の攻撃をちゃんと読んでいたはずだ。
それなのに……自分のせいでレネが辱めを受け、動転していたボリスは、レネがこれ以上、自分のために傷付くのが耐えられなかった。
レネにとって、ボリスは予想外の動きをしたのだろう。
あんなに怒鳴り散らされたのは初めてだった。
「こいつは護衛だからな。それにお前は自分の傷は治せない。危険に曝された時は大人しくレネに守られてろ。そしてこいつが傷付いた時に癒すのが役目だろ?」
「……申し訳ありません。逆になってしまいましたね……」
「レネに癒しの力があったからよかったものの……無茶しやがって……」
返す言葉もない。
「団長、胸の傷が」
レネばかりに気をとられていたが、バルナバーシュも浅い傷だが、胸元を斜めに大きく斬られていた。
「……ああ。コイツが俺を傷つけるなんて初めてだ……」
もうすぐボリスの義理の父親になる男は、苦笑いを浮かべていたが、その顔はどこか嬉しげだった。
「本当は、お前を救えなかったコイツに駄目出しして、鍛え直してやらんといけなかったのに……俺はお前たち二人が無事に返って来て安心したのと、コイツが癒しの力を使ったことに動転して、本来の役割を見失っちまった」
「……団長……」
この人はいつも損な役割ばかり負っている。
レネはバルナバーシュに完膚なきまでに痛めつけられて罰を受けたつもりになっているのだろうが、レネを傷つけることが、どれだけ養父の心の負担になっているのか、もっと知った方がいい。
愛する息子を傷つけて喜ぶ親なんていない。
バルナバーシュはレネを鍛え、ボリスは傷付いたレネを癒す。
この役目を見失ったら、レネは迷い、己を責めてしまう。
だから二人はその役に徹するしかない。
だがせめて……レネの傷付くことが彼を愛する者にとっても、自分のこと以上に痛いということをわかってほしい。
「自分の役割を見失った罰だな……」
そう言ってバルナバーシュは、苦虫を噛み潰したような顔をした。
「それは私も同じです」
そんなバルナバーシュの顔を見るのは辛い。
ボリスにはバルナバーシュの痛みが誰よりも理解できるからだ。
今夜はルカーシュがいないせいか……いつになく、もうすぐ義父になる男の背中が小さく見えた。
ボリスはなんだか放っておけなくなり、寝酒に付き合ってほしいとせがんで、一緒に酒を酌み交わした。
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