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4章 癒し手を救出せよ
1 お嬢さんを……
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「——なんだ? 話とは」
夕食を終えしばらくたった頃に、ボリスが私邸二階にある応接間へやって来た。
「あ? 俺いない方がいいか?」
バルナバーシュと一緒に居たルカーシュが腰を浮かせる。
「いや、いてもらって結構です」
ボリスが去ろうとしていたルカーシュを手で制す。
(部屋の主は俺だがな……)
ここは自分の部屋なのに主導権はどこへ行ってしまったのか、バルナバーシュは太々しい来客を無言で睨んだ。
昼間、『報告したいことがあります。今夜時間がありますか?』と改まった顔をして告げられた時から、どうも嫌な予感がしていた。
「で、話とは?」
バルナバーシュは気を取り直して、真剣な面持ちのボリスと向かい合う。
自分よりも少し緑がかったヘーゼルの瞳が、真っすぐにこちらを覗き込む。
「——お嬢さんを、私に下さい」
「!?」
心のどこかでは、いつかこの台詞を聞くことになるだろうと予測はできていた。
だが、まさか……こんなタイミングだとは、バルナバーシュも想定外だった。
「……おい、ちょっと待て……そういう台詞はアネタも一緒に来てから言うもんじゃねえのか?」
必死に動揺を隠そうと、声を低く抑える。
「本来ならそうするべきなのでしょうが、アネタは悪阻《つわり》が酷くてここまで移動するのも無理だったので」
「——悪阻……だと……」
ボリスの言葉に、バルナバーシュは頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。
「ええ。アネタのお腹には私との子供が宿っています」
「…………」
いつかこうなるとわかっていたことなのだが……いざその時がやってくると、情けないことにショックで言葉を発することもできない。
実をいうと、バルナバーシュは実の息子のバルトロメイと養子のレネの間で起った出来事さえ、自分の中で上手く消化できていない部分がある。
もちろんバルトロメイがレネに剣を捧げたのは喜ばしいことなのだが、自分の息子たちが抱くとか抱かれるとかいう関係になると、頭が思考停止してしまうのだ。
(——自分は今まで散々やってきたことなのにな……)
誰でも親の年代になってから、自分がどれだけ若い頃に無茶をしてきたか気付くものだ。
「おい、順番が逆だろ? 俺はそう簡単には認めんぞ!」
気を取り直して、父親として尤もらしい言葉を吐き出す。
「まさか貴方の口からそんな台詞がでてくるとは予想外です。バルトロメイという息子がありながら……」
「むっ……」
バルトロメイは、旅の途中で出逢った娘との間にできた私生児だ。
そこを突かれたら、返す言葉もない。
ただでさえ臆するところを知らないボリスが、今日は輪をかけて強気だ。
「ぷっ……くくっ……」
隣でソファーに突っ伏し肩を揺らす男が無性に腹立たしくなり、クッションを投げつけて黙らせる。
そしてもう一人。
「——おい、人の部屋に勝手に入って盗み聞きしてんじゃねえよ。コソコソせずに入って来い!」
書斎の扉から応接間に聞き耳を立てている人物に言い放つ。
「ごめんなさい。つい気になって……」
犯行が露呈し、気まずそうな顔をしながら、レネが応接間に入って来る。
(コイツも俺より先に知ってやがったのか……)
「……もういい。お前もそこに座れ」
ボリスの隣に腰掛けるように指をさす。
「——お義父さん、私とアネタとの結婚を認めてくれますか?」
三対の眼が、まるでバルナバーシュを糾弾するかのように、ジッと見つめてくる。
その圧力に、バルトロメイは身じろぎするが、それを誤魔化すように咳払いする。
「まだ、お義父さんじゃねえ……」
声にだしてから、バルナバーシュは自分の失言に気付く。
『まだ』を付けた時点で、もう認めてるようなものではないか……。
「ありがとうございます。次の仕事が終わったら、役所に届け出をしてきます」
案の定、肯定と受け止めたボリスは覆される前にとっとと籍を入れるつもりのようだ。
「おいっ、話を勝手に進めるなっ! だいいち結婚生活はどうするんだ。自分がどういう立場だかわかってるだろ?」
癒し手がリーパにとって、いや……この国にとって……どれだけ貴重な存在なのかちゃんと自覚しているのだろうかと心配になってくる。
(——それに加え……レネとアネタの血統は……)
狙われているのが直系の男子だとしても、『復活の灯火』に見つかることだけは避けなければいけない。
「ええ。ちゃんと考えています。お互い今までの生活を変えるつもりはありません。ゲルトさんと女将さんも協力的です。しばらくは通い婚を続けます」
バルナバーシュはまともな答えが返ってきて胸を撫で下ろす。
いきなり「メストで一緒に暮らします」なんて言われたらどうしようかと構えていたのだ。
子供ができ結婚したら同棲するのが普通だろうが、アネタは手に職がありジェゼロに職場があるし、ボリスもメストからは離れられない。
それに癒し手の存在は、本来ならば神殿が管理し保護されるはずの貴重な人材なのだ。
リーパに所属するイグナーツ、ボリス、イェロニームの三名の癒し手たちは、神殿に代わってリーパが保護しなければならない存在だ。
だからボリスはメストを離れることができない。
アネタは物分かりのいい子だから、ちゃんと理解した上でボリスと付き合い、一緒になることを決めたのだろう。
バルナバーシュとしても、口ではあんな風に言ったが、どっかの馬の骨ともわからない男に捕まるよりもボリスと一緒になってくれた方がいいに決まっている。
だが……バルナバーシュには一つだけ引っ掛かる点があった。
ボリスは、一途にアネタだけを愛しているわけではない。
そこには打算が含まれている。
バルナバーシュは早くからそれを見抜いていた。
だがそれは、アネタも同じだ。
アネタもボリスを利用し、ボリスもアネタを利用している。
そしてバルナバーシュも、ボリスのその気持ちを知っているからこそ、彼を利用し、信用しているのだ。
(——この男は、絶対にレネを裏切らない)
バルナバーシュは大きく息を吐き出すと、肚に決めていた台詞を吐き出す。
「次の仕事が終わったら、お前と一緒にジェゼロに向かう。子供が生まれるとなれば、色々と準備することもあるだろう? ゲルトにばかり世話をかけるわけにはいかん」
「お義父さん、ありがとうございます!」
「まだお義父さんじゃねえっ!!」
バルナバーシュの言葉を聞いて安心したのか、レネがボリスに抱き付き二人で喜びを分かち合い、隣ではコブサを手に取り吟遊詩人が婚礼の歌を唄っている。
「——チッ……てめぇら気が早ええんだよ……」
と、言ってみたものの、自分は既に二人の婚礼など飛び越えて、生まれて来る孫のことを考え頬が弛みまくっているのであった。
◆◆◆◆◆
「やったぁぁぁぁぁ!!!」
レネは嬉しさのあまり、部屋を出てからもう一度ボリスに抱き付いた。
「あんまり騒ぐと下に聞こえるだろ」
言葉とは裏腹に、ボリスもホッとしたようで、この部屋に来る前にはなかった笑顔が浮かんでいる。
二人が付き合っているのを知ってからもう何年もの間、この日を待っていたのだ。
いつもはリーパ本部で迎える正月を、ボリスは珍しくジェゼロのアネタと共に過ごしていたので、なにか二人でゆっくり話し合いたいことでもあるのだろうと思っていた。
そして昨晩、ボリスに聞かされた言葉にレネは驚いたものの、嬉しい気持ちでいっぱいだった。
(姉ちゃんに、赤ちゃんができた!!)
両親を亡くし、アネタとレネはバルナバーシュの養子になったものの、ずっと離ればなれで暮らしてきた。
どんなに離れていても唯一の肉親だ。お互いの幸せを願っていたからこそ、辛いことがあっても耐えられた。
そんな姉に家族ができて、お腹に新しい命が宿っている。
それだけで、心の中が柔らかな温かい気持ちで満たされる。
自分の仕事は、常に危険と隣り合わせでいつ死んでもおかしくない。
両親を強盗に殺された時に『強くなりたい』と願った結果、今の自分がある。
レネは人を護るために、沢山の人を殺した。
そうしているうちに、レネの中である思いが浮かんでくるようになった。
自分に家庭を持つ資格はない。
護衛の仕事で人を殺めることが、どんなに正当化されたとしても、その殺された人間には家族がいる。
山賊や盗賊たちも、根っからの悪人ばかりではないだろう。
家族を食わせるため、やむを得ず悪事に手を染めなければいけないことだってある。
そんな人々を、レネはこの手で殺めてきた。
愛する人を守ることと、金を貰い人を護ることは、全く別物だ。
光のある所には必ず影がある。
人の命を護るのも同じだ。
依頼人は善人ばかりではない。
金を貰ってその任務を果たすということは、その影の部分を金という代価を貰い請け負うことなのだ。
この仕事のせいだけではない。
レネの中には昔から、自分の血を断ち切らなればいけないという漠然とした思いが……心の奥底に理由もわからぬまま根付いているのだ。
異性に奥手なのも、もしかしたらそういった根本的な思いが、自分の心にストッパーをかけているのかもしれない。
だから姉には、本当の意味で人の命を救うことができるボリスと幸せにな家庭を作って、次の世代に命を繋いでほしかった。
夕食を終えしばらくたった頃に、ボリスが私邸二階にある応接間へやって来た。
「あ? 俺いない方がいいか?」
バルナバーシュと一緒に居たルカーシュが腰を浮かせる。
「いや、いてもらって結構です」
ボリスが去ろうとしていたルカーシュを手で制す。
(部屋の主は俺だがな……)
ここは自分の部屋なのに主導権はどこへ行ってしまったのか、バルナバーシュは太々しい来客を無言で睨んだ。
昼間、『報告したいことがあります。今夜時間がありますか?』と改まった顔をして告げられた時から、どうも嫌な予感がしていた。
「で、話とは?」
バルナバーシュは気を取り直して、真剣な面持ちのボリスと向かい合う。
自分よりも少し緑がかったヘーゼルの瞳が、真っすぐにこちらを覗き込む。
「——お嬢さんを、私に下さい」
「!?」
心のどこかでは、いつかこの台詞を聞くことになるだろうと予測はできていた。
だが、まさか……こんなタイミングだとは、バルナバーシュも想定外だった。
「……おい、ちょっと待て……そういう台詞はアネタも一緒に来てから言うもんじゃねえのか?」
必死に動揺を隠そうと、声を低く抑える。
「本来ならそうするべきなのでしょうが、アネタは悪阻《つわり》が酷くてここまで移動するのも無理だったので」
「——悪阻……だと……」
ボリスの言葉に、バルナバーシュは頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。
「ええ。アネタのお腹には私との子供が宿っています」
「…………」
いつかこうなるとわかっていたことなのだが……いざその時がやってくると、情けないことにショックで言葉を発することもできない。
実をいうと、バルナバーシュは実の息子のバルトロメイと養子のレネの間で起った出来事さえ、自分の中で上手く消化できていない部分がある。
もちろんバルトロメイがレネに剣を捧げたのは喜ばしいことなのだが、自分の息子たちが抱くとか抱かれるとかいう関係になると、頭が思考停止してしまうのだ。
(——自分は今まで散々やってきたことなのにな……)
誰でも親の年代になってから、自分がどれだけ若い頃に無茶をしてきたか気付くものだ。
「おい、順番が逆だろ? 俺はそう簡単には認めんぞ!」
気を取り直して、父親として尤もらしい言葉を吐き出す。
「まさか貴方の口からそんな台詞がでてくるとは予想外です。バルトロメイという息子がありながら……」
「むっ……」
バルトロメイは、旅の途中で出逢った娘との間にできた私生児だ。
そこを突かれたら、返す言葉もない。
ただでさえ臆するところを知らないボリスが、今日は輪をかけて強気だ。
「ぷっ……くくっ……」
隣でソファーに突っ伏し肩を揺らす男が無性に腹立たしくなり、クッションを投げつけて黙らせる。
そしてもう一人。
「——おい、人の部屋に勝手に入って盗み聞きしてんじゃねえよ。コソコソせずに入って来い!」
書斎の扉から応接間に聞き耳を立てている人物に言い放つ。
「ごめんなさい。つい気になって……」
犯行が露呈し、気まずそうな顔をしながら、レネが応接間に入って来る。
(コイツも俺より先に知ってやがったのか……)
「……もういい。お前もそこに座れ」
ボリスの隣に腰掛けるように指をさす。
「——お義父さん、私とアネタとの結婚を認めてくれますか?」
三対の眼が、まるでバルナバーシュを糾弾するかのように、ジッと見つめてくる。
その圧力に、バルトロメイは身じろぎするが、それを誤魔化すように咳払いする。
「まだ、お義父さんじゃねえ……」
声にだしてから、バルナバーシュは自分の失言に気付く。
『まだ』を付けた時点で、もう認めてるようなものではないか……。
「ありがとうございます。次の仕事が終わったら、役所に届け出をしてきます」
案の定、肯定と受け止めたボリスは覆される前にとっとと籍を入れるつもりのようだ。
「おいっ、話を勝手に進めるなっ! だいいち結婚生活はどうするんだ。自分がどういう立場だかわかってるだろ?」
癒し手がリーパにとって、いや……この国にとって……どれだけ貴重な存在なのかちゃんと自覚しているのだろうかと心配になってくる。
(——それに加え……レネとアネタの血統は……)
狙われているのが直系の男子だとしても、『復活の灯火』に見つかることだけは避けなければいけない。
「ええ。ちゃんと考えています。お互い今までの生活を変えるつもりはありません。ゲルトさんと女将さんも協力的です。しばらくは通い婚を続けます」
バルナバーシュはまともな答えが返ってきて胸を撫で下ろす。
いきなり「メストで一緒に暮らします」なんて言われたらどうしようかと構えていたのだ。
子供ができ結婚したら同棲するのが普通だろうが、アネタは手に職がありジェゼロに職場があるし、ボリスもメストからは離れられない。
それに癒し手の存在は、本来ならば神殿が管理し保護されるはずの貴重な人材なのだ。
リーパに所属するイグナーツ、ボリス、イェロニームの三名の癒し手たちは、神殿に代わってリーパが保護しなければならない存在だ。
だからボリスはメストを離れることができない。
アネタは物分かりのいい子だから、ちゃんと理解した上でボリスと付き合い、一緒になることを決めたのだろう。
バルナバーシュとしても、口ではあんな風に言ったが、どっかの馬の骨ともわからない男に捕まるよりもボリスと一緒になってくれた方がいいに決まっている。
だが……バルナバーシュには一つだけ引っ掛かる点があった。
ボリスは、一途にアネタだけを愛しているわけではない。
そこには打算が含まれている。
バルナバーシュは早くからそれを見抜いていた。
だがそれは、アネタも同じだ。
アネタもボリスを利用し、ボリスもアネタを利用している。
そしてバルナバーシュも、ボリスのその気持ちを知っているからこそ、彼を利用し、信用しているのだ。
(——この男は、絶対にレネを裏切らない)
バルナバーシュは大きく息を吐き出すと、肚に決めていた台詞を吐き出す。
「次の仕事が終わったら、お前と一緒にジェゼロに向かう。子供が生まれるとなれば、色々と準備することもあるだろう? ゲルトにばかり世話をかけるわけにはいかん」
「お義父さん、ありがとうございます!」
「まだお義父さんじゃねえっ!!」
バルナバーシュの言葉を聞いて安心したのか、レネがボリスに抱き付き二人で喜びを分かち合い、隣ではコブサを手に取り吟遊詩人が婚礼の歌を唄っている。
「——チッ……てめぇら気が早ええんだよ……」
と、言ってみたものの、自分は既に二人の婚礼など飛び越えて、生まれて来る孫のことを考え頬が弛みまくっているのであった。
◆◆◆◆◆
「やったぁぁぁぁぁ!!!」
レネは嬉しさのあまり、部屋を出てからもう一度ボリスに抱き付いた。
「あんまり騒ぐと下に聞こえるだろ」
言葉とは裏腹に、ボリスもホッとしたようで、この部屋に来る前にはなかった笑顔が浮かんでいる。
二人が付き合っているのを知ってからもう何年もの間、この日を待っていたのだ。
いつもはリーパ本部で迎える正月を、ボリスは珍しくジェゼロのアネタと共に過ごしていたので、なにか二人でゆっくり話し合いたいことでもあるのだろうと思っていた。
そして昨晩、ボリスに聞かされた言葉にレネは驚いたものの、嬉しい気持ちでいっぱいだった。
(姉ちゃんに、赤ちゃんができた!!)
両親を亡くし、アネタとレネはバルナバーシュの養子になったものの、ずっと離ればなれで暮らしてきた。
どんなに離れていても唯一の肉親だ。お互いの幸せを願っていたからこそ、辛いことがあっても耐えられた。
そんな姉に家族ができて、お腹に新しい命が宿っている。
それだけで、心の中が柔らかな温かい気持ちで満たされる。
自分の仕事は、常に危険と隣り合わせでいつ死んでもおかしくない。
両親を強盗に殺された時に『強くなりたい』と願った結果、今の自分がある。
レネは人を護るために、沢山の人を殺した。
そうしているうちに、レネの中である思いが浮かんでくるようになった。
自分に家庭を持つ資格はない。
護衛の仕事で人を殺めることが、どんなに正当化されたとしても、その殺された人間には家族がいる。
山賊や盗賊たちも、根っからの悪人ばかりではないだろう。
家族を食わせるため、やむを得ず悪事に手を染めなければいけないことだってある。
そんな人々を、レネはこの手で殺めてきた。
愛する人を守ることと、金を貰い人を護ることは、全く別物だ。
光のある所には必ず影がある。
人の命を護るのも同じだ。
依頼人は善人ばかりではない。
金を貰ってその任務を果たすということは、その影の部分を金という代価を貰い請け負うことなのだ。
この仕事のせいだけではない。
レネの中には昔から、自分の血を断ち切らなればいけないという漠然とした思いが……心の奥底に理由もわからぬまま根付いているのだ。
異性に奥手なのも、もしかしたらそういった根本的な思いが、自分の心にストッパーをかけているのかもしれない。
だから姉には、本当の意味で人の命を救うことができるボリスと幸せにな家庭を作って、次の世代に命を繋いでほしかった。
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