菩提樹の猫

無一物

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11章 金鉱山で行方不明者を捜索せよ

19 代償(1)※注意書きあり

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◆注意◆ここから二話、本番はありませんがモブ相手の回想シーンが続きます。
読み飛ばしても、話の内容は解るようになっていますので苦手な方は読み飛ばして下さい。





◇◇◇◇◇


 レネはマルツェルに会った後、約束した通りに班長室へと戻る。
 
「用事は済んだか?」
 
「ああ」
 
 中には班長一人ではなく、他に二人の屈強な男たちが来ていた。
 扉に内側から鍵を掛けると、レネの背後から両サイドに並んで立つ。
 
「なんだよこいつらは?」
 
 剣士として、背後を取られるのは気持ちのいいものではない。レネは非難するように班長を見た。
 
「気にすんなよ。お前がちゃんとお口でご奉仕できるかどうか見届けたいんだとよ」
 
 班長はニヤニヤ笑いながら席から立ってレネの方へと近付いてくる。

「約束だったよな? しゃぶってくれるって」
 
「……ああ」
 
(だからわざわざ戻って来たんだろっ、言わせんじゃねえっ!!)
 
 屈辱だがマルツェルと直接会って話すには、この条件を飲むしかなかった。
 約束を破って逃げたらマルツェルに危害が加えられるかもしれないので、レネは面会を終えて、約束通り班長室へと戻ってきた。

「俺はなぁ男の身体には興味ねえけどな、その綺麗な顔には興味がある」
 
 班長はそう言うと机に座って股を開く。
 
「マジでやべぇくらいに綺麗だな」
 
「風呂場でお前を見かけて思わずマスかいたって言ってた奴がいたけど、これなら仕方ねえ」
 
 背後の男たちの鼻息が荒くなるのがわかる。

(気持ちわるっ……)
 
 同じ男なので欲情しているところを見るのはなんてことないのだが、その対象が自分だということが許せなかった。
 
「ここに来て膝立ちになれ」
 
 班長が自分の広げた股の間を指さした。
 屈辱に震えながら、レネは言われた通りに膝をつく。
 目の前に、男の股間が迫ってきている。

「ああ、やっぱり商売女とは違うな。あいつらは人を殺しそうな目で睨んてきたりしない。悔しいか?」
 
 上から声が降ってくる。それだけでも耐えられない。
 
(クソッ……)

「腰にこんなもん隠し持ってやがった」
 
 背後にいた男が、レネの腰に差していたナイフを抜き取り、抵抗できないように首筋に刃を当てた。そして左右の腕をそれぞれ男たちに掴まれ自由を奪われる。
 
「絶対、歯を立てたりするなよ、その時は命がないと思え」
 
 ズボンのベルトをカチャカチャと外し、班長は自らの雄を取り出した。
 浅黒い肌よりも赤味を帯びたそれは、少し兆しを見せていて、見慣れているはずのモノなのにとても醜悪に見えた。

「そんな顔するなよ。ちゃんとさっき風呂で洗ってきたばかりだから綺麗なもんだぜ? お前みたいな美人にしゃぶって貰えるって、もう喜んでやがる」
 
 レネの顎を捉えると、親指でそのピンク色の唇をなぞった。
 
「さあ、この可愛いお口を開けて舌を出せ」
 
 ピタリと首に添えられた冷たい感触に、レネは観念して噛み締めていた口を開けた。
 
「舌までピンクだぜ……」
 
「エロいなぁ」
 
 背後の男たちの熱気が伝わり、思わず鳥肌が立つ。
 
 いつの間にか、班長の股間は完全に勃起していた。
 レネはなにがどう、この男に作用したのかまったくわからない。そして考えたくもない。

「上を見ろ。ああ、お前のその猫みたいな目……たまんねえな。誰のチンポ舐めんのかよおく見ろよ。お前も同じ野郎だからわかるだろ? まず裏筋の根本に舌を這わせて……」
 
 角度的に裏筋へ舌を這わせると、どうしても鼻に性器が当たり不快なので、少し斜めに顔をずらして舐めあげていく。
 さっき言っていたように、石鹸の匂いがするだけもまだマシだ。

「次はその先っぽを、子猫がミルクを舐めるようにペロペロ舐めるんだ。ほら、こっちを見ながらだ」
 
 レネが上を向いたとたんに、股間がグンと大きくなる。
 それは物理的な快感ではなく、レネが視覚的に男の欲望に作用しているということの証明だ。

(クソめ……)
 
 その事実を認め難くレネの自尊心を酷く傷付けたが、約束は約束だ。
 言われた通りに、亀頭へと舌を伸ばし、ペロペロと猫みたいに舐めた。

「ああ……いいぞ。今度は舌先で穴を抉るように……おぅっ……そうだ……」
 
「見てるだけで俺も勃ってきた」
「俺もだよ……」
 
 あろうことか、腕を押さえている男たちが、レネの身体に硬くなった股間を押し付けてくる。
 だが、今の状態ではどうすることもできず、早く終われと呪文のように心の中で唱えるしかない。

 いちいち心を動かされては駄目だ。
 レネは自分が人形にでもなった気持ちで心を空っぽにするよう心がけた。

「ほら、次は口に咥えろ。絶対歯を立てるな」
 
「……うぅ……っ……」
 
 後頭部で結んでいる髪を掴んで来たかと思うと、自分が腰を動かす代わりにレネの頭を前後に揺すり始めた。
 
「もっと唇に力を入れて、舌を使うんだ。下手くそだな……初めてなのかっ……」 
 
 口ではそう言いながらも、レネの口には嫌な味が広がってきた。

「これじゃあ駄目だっ……喉の奥まで入れるぞ…っ……」
 
「ぐぅっ……ゔゔゔゔゔゔっ……」
 
 喉の奥に亀頭が当たるまで後頭部を押さえ込まれる。
 嘔吐感が募るが、吐き出すことなどできず、ますます激しく喉の奥を突かれる苦しさに、レネの目から生理的な涙が零れ落ちた。
 縮れた陰毛が唇と鼻を刺激してたまらなく気持ち悪かった。

「ほらっ、上を見ろッ……誰のチンポ咥えてんのかその目に焼き付けるんだっ……」
 
 そう言いながら、容赦なくレネの喉を犯していく。
 
「……ぐっ……ぅ……っ……ゔゔっ……」
 
「ああっ……いいぞっ……うおおおっっっ!」
 
 男の雄叫びとともに、喉の奥に熱い液体が張り付く。
 口の中から、力をなくした醜悪なものが出ていき、レネは強烈な吐き気とともに中に出された液体を吐き出すために口を開けようとしたが、節くれだった大きな手が口と鼻を塞いだ。

「駄目だ。最後まで飲み込め」
 
 ドクドクという心音とともに、呼吸したいという欲求が身体の中で暴れだすが、手が外される気配はない。

(——飲み込まないと窒息するっ……)

 喉から口に逆流してい来た精液を、レネは目を瞑ってゴクリと嚥下した。
 
「いい子だ……」

(クソッ…クソッ…クソっ!)
 
 生理的ではない涙が新たに頬を伝う。
 レネが全部口の中のものを飲み込んだのを確認して手を離すと、満足した顔をして涙の伝う頬を撫ぜた。


「……?」
 
 約束の行為は終わったのに、後ろの男たちが硬いモノを押し付けたまま身体をどかさない。

(どうしてだ?)

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