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9章 ネコと和解せよ
3 猫歩き
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◆◆◆◆◆
事件以来ずっと、レネとギクシャクしている。
この旅は二人の関係を改善できる絶好の機会だ。
バルトロメイは、レネとゆっくり二人で話し合える機会を心待ちにしていた。
ザトカに着くと、宿の部屋を早めにとって、先代の情報が得られそうな飲食店をまわることにした。
両側に肌色の壁をした建物が迫りくるように建った狭い真っ直ぐな坂を、飲食店が連なる海側に向かって降りていく。
それぞれの家の前に植物を植えた鉢植えが所狭しと並べられ、綺麗に整えられた花屋や植木屋とは違う、坂全体がまるで植物園のような不思議な景観だ。
そんな中をレネは興味深そうに、時には咲いた花の匂いを嗅ぎながら、階段状になった坂を降りていく。
まるで猫の気まぐれな散歩のようで、少し後ろから歩いていたバルトロメイもついつい笑みが漏れた。
レオポルトに監禁されている時はあんなにボロボロだったレネが、今ではすっかり回復している。
その姿が、あまりにも眩しくてバルトロメイは思わず目を細める。
(やっぱりレネは、日の光が似合う)
あんな地下室に閉じ込めておくなんてもっての外だ。
阻止することができなかった自分が歯がゆい。
レオポルトが護衛対象でなかったならば、もう少し動きようがあったが、あの時はレネに手を出さないようにするのが精一杯だった。
結局はバルナバーシュの力を借りなければ、助け出すことができなかった。
それが一番悔しいが、判断としては間違っていなかったと思う。
飲食店が立ち並ぶ通りまで下りてくると、海がすぐそこにあるせいか潮の香りが一層濃くなる。
港街だけあって、新鮮な魚料理を売りにしている店が多いようで、通りには魚の絵を掲げた看板が数多くあった。
通りの端から二人は訊き込みを開始する。
「七十過ぎの眼帯を嵌めた爺さん見かけませんでした?」
「知らないね、人が多くていちいち覚えてないよ」
このやり取りを何度も繰り返す。
何軒か店をまわりながら、二人はある結論を導き出す。
こんな人の多い街で訊き込みをしても無駄だ。
メストから比較的近いとあって観光客も多く、美しい景観の港街は多くの人であふれていた。
いくら目立つ人物だからと言っても、そう誰もが見ているわけではない。
通過点にしかすぎないこの広い街よりも、もっと先にある小さな村の方が、より通行人のことを覚えているのではないだろうか?
そう思いはじめると急に馬鹿らしくなり、どこかで腹ごしらえでもして明日に備えようということになった。
先ほど話を訊きに入ったよさげな食堂で、二人は夕食を摂ることにする。
食堂の中に入った時からバルトロメイはあることに気付いていた。
レネの目が猫みたいに爛々としている。
「なあ、お前なんでも食えるよな?」
珍しくレネから喋りかけてくるが、視線はカウンターの黒板に書かれたメニューに向けられている。
(ん? なんだ?)
「うん、嫌いなものは特にないよ」
返事をすると、もの言いたげな目が明るく輝く。
どうやら自分の答えは間違っていないようだ。
「じゃあ、俺が適当に頼んでいい?」
「ああ」
「お姉さ~ん、注文いいですか」
店員を呼び止めると、レネは次々と料理を注文した。
「小魚のフリッターに魚介のスープ、あーそれとスズキのソテーレモンバターソースで」
「お前、魚ばっかりだな……好きなのか?」
団員たちに『猫』と呼ばれているのは知っていたが……。
(すこしわかり易すぎやしないか?)
「なんだよ、適当に頼んでいいかって先に聞いただろ?」
「別に悪いとは言ってないだろ。好きなのかなって思っただけで」
あんなことになったので、自分が下手に出ているという自覚はあるが、レネが妙に上から来るようになった。
テーブル越しに黄緑色の瞳が少し睨むように見上げてくる。
とても困ったことに、それを可愛いと感じている自分がいる。
「ふん……」
魚好きを指摘されて照れたのか、顔をほんのりピンク色に染めてそっぽを向いた。
本人はそこまで気にしていないが、店に入って外套を脱いで顔を晒した時から、客たちの視線がレネに集まっていた。
こんな美青年、なかなかお目にかかれない。思わず盗み見てしまうのもわかる気がする。
仕事で一緒に同行しているだけなのだが、バルトロメイは優越感に浸った。
窓から差し込む、オレンジ色の夕日がレネを照らした。
美しい街並みの非日常的な空間で、レネと自分以外は他人しかいない。
仕事とはいえ、こんなシチュエーションで一緒に過ごすことができるなんて、まるで夢のようだった。
多幸感に包まれて、バルトロメイの視界には幸せな色が滲む。
そうこうしているうちに、料理が運ばれてきた。
「うわ~~うまそう!」
レネは思わず目を輝かせて、フリッターにかじり付く。
老夫婦の家で、何度も一緒に食事をしてきたが、レネは取り澄ました見かけと違い一口が大きい。
がぶりとかじり付くその姿は、見ていて飽きない。
魚料理を堪能するのに夢中で、バルトロメイが見つめていることなど気付いてもいない。
レオポルトに囚われている時は、自らはなにも口に入れようとしなかった。
しかし今では、こんなに嬉しそうに好物を平らげている姿を見ることができ、バルトロメイは心の底から安堵した。
「よかった……あそこじゃぜんぜん食おうとしなかっただろ? 俺どうなるかと思って心配してたんだぞ。知ってるか? お前の意識のない時に、俺が痛み止めとか飲ませてたの」
無意識に胸にすり寄るレネの姿を思い出す。
あの時は幼い子を持つ母親の大変さを疑似体験したような気持になった。
「思い出したくないこと言うなよ」
レネはギロリと睨む。
「ごめん……」
(やっちまった……)
せっかく機嫌よく食べていたのに、よけいなことを思い出させてしまった。
でも本当にあの時は、どうなるかと気を揉んだのだ。
「——わぁ……!?」
だが、スズキの丸焼きがどんっと音をたてて、テーブルの上に置かれるころには、レネはゴロゴロと喉でも鳴らしそうなくらいの上機嫌になっていた。
(単純な奴でよかった……)
食欲旺盛なレネを眺めらがら、バルトロメイも魚料理をつまんでいく。
しかし、好物を堪能するレネの姿に胸がいっぱいになり、いつもよりは食事が喉を通らなかった。
とは言っても、一人前以上は食べたが。
明日は早朝から街を出て街道沿いを南下しながら、情報を集めつつ先代を探そうということになって、大満足の夕食を終える。
後は宿に帰って風呂に入って眠るだけ。
二人は腹ごなしも兼ねて、少し遠回りしながら宿へと帰る。
レネは大好物を満喫し、バルトロメイはそんなレネの姿を満喫し、二人とも上機嫌なので多少の上り坂もなんのことはない。
(眼福とは……このことを言うのか)
先ほどの光景を思い出しながら、バルトロメイは口元を緩ませる。
しかし……本当の眼福とはまだまだこんなものではないと、この後すぐに思い知るのであった。
事件以来ずっと、レネとギクシャクしている。
この旅は二人の関係を改善できる絶好の機会だ。
バルトロメイは、レネとゆっくり二人で話し合える機会を心待ちにしていた。
ザトカに着くと、宿の部屋を早めにとって、先代の情報が得られそうな飲食店をまわることにした。
両側に肌色の壁をした建物が迫りくるように建った狭い真っ直ぐな坂を、飲食店が連なる海側に向かって降りていく。
それぞれの家の前に植物を植えた鉢植えが所狭しと並べられ、綺麗に整えられた花屋や植木屋とは違う、坂全体がまるで植物園のような不思議な景観だ。
そんな中をレネは興味深そうに、時には咲いた花の匂いを嗅ぎながら、階段状になった坂を降りていく。
まるで猫の気まぐれな散歩のようで、少し後ろから歩いていたバルトロメイもついつい笑みが漏れた。
レオポルトに監禁されている時はあんなにボロボロだったレネが、今ではすっかり回復している。
その姿が、あまりにも眩しくてバルトロメイは思わず目を細める。
(やっぱりレネは、日の光が似合う)
あんな地下室に閉じ込めておくなんてもっての外だ。
阻止することができなかった自分が歯がゆい。
レオポルトが護衛対象でなかったならば、もう少し動きようがあったが、あの時はレネに手を出さないようにするのが精一杯だった。
結局はバルナバーシュの力を借りなければ、助け出すことができなかった。
それが一番悔しいが、判断としては間違っていなかったと思う。
飲食店が立ち並ぶ通りまで下りてくると、海がすぐそこにあるせいか潮の香りが一層濃くなる。
港街だけあって、新鮮な魚料理を売りにしている店が多いようで、通りには魚の絵を掲げた看板が数多くあった。
通りの端から二人は訊き込みを開始する。
「七十過ぎの眼帯を嵌めた爺さん見かけませんでした?」
「知らないね、人が多くていちいち覚えてないよ」
このやり取りを何度も繰り返す。
何軒か店をまわりながら、二人はある結論を導き出す。
こんな人の多い街で訊き込みをしても無駄だ。
メストから比較的近いとあって観光客も多く、美しい景観の港街は多くの人であふれていた。
いくら目立つ人物だからと言っても、そう誰もが見ているわけではない。
通過点にしかすぎないこの広い街よりも、もっと先にある小さな村の方が、より通行人のことを覚えているのではないだろうか?
そう思いはじめると急に馬鹿らしくなり、どこかで腹ごしらえでもして明日に備えようということになった。
先ほど話を訊きに入ったよさげな食堂で、二人は夕食を摂ることにする。
食堂の中に入った時からバルトロメイはあることに気付いていた。
レネの目が猫みたいに爛々としている。
「なあ、お前なんでも食えるよな?」
珍しくレネから喋りかけてくるが、視線はカウンターの黒板に書かれたメニューに向けられている。
(ん? なんだ?)
「うん、嫌いなものは特にないよ」
返事をすると、もの言いたげな目が明るく輝く。
どうやら自分の答えは間違っていないようだ。
「じゃあ、俺が適当に頼んでいい?」
「ああ」
「お姉さ~ん、注文いいですか」
店員を呼び止めると、レネは次々と料理を注文した。
「小魚のフリッターに魚介のスープ、あーそれとスズキのソテーレモンバターソースで」
「お前、魚ばっかりだな……好きなのか?」
団員たちに『猫』と呼ばれているのは知っていたが……。
(すこしわかり易すぎやしないか?)
「なんだよ、適当に頼んでいいかって先に聞いただろ?」
「別に悪いとは言ってないだろ。好きなのかなって思っただけで」
あんなことになったので、自分が下手に出ているという自覚はあるが、レネが妙に上から来るようになった。
テーブル越しに黄緑色の瞳が少し睨むように見上げてくる。
とても困ったことに、それを可愛いと感じている自分がいる。
「ふん……」
魚好きを指摘されて照れたのか、顔をほんのりピンク色に染めてそっぽを向いた。
本人はそこまで気にしていないが、店に入って外套を脱いで顔を晒した時から、客たちの視線がレネに集まっていた。
こんな美青年、なかなかお目にかかれない。思わず盗み見てしまうのもわかる気がする。
仕事で一緒に同行しているだけなのだが、バルトロメイは優越感に浸った。
窓から差し込む、オレンジ色の夕日がレネを照らした。
美しい街並みの非日常的な空間で、レネと自分以外は他人しかいない。
仕事とはいえ、こんなシチュエーションで一緒に過ごすことができるなんて、まるで夢のようだった。
多幸感に包まれて、バルトロメイの視界には幸せな色が滲む。
そうこうしているうちに、料理が運ばれてきた。
「うわ~~うまそう!」
レネは思わず目を輝かせて、フリッターにかじり付く。
老夫婦の家で、何度も一緒に食事をしてきたが、レネは取り澄ました見かけと違い一口が大きい。
がぶりとかじり付くその姿は、見ていて飽きない。
魚料理を堪能するのに夢中で、バルトロメイが見つめていることなど気付いてもいない。
レオポルトに囚われている時は、自らはなにも口に入れようとしなかった。
しかし今では、こんなに嬉しそうに好物を平らげている姿を見ることができ、バルトロメイは心の底から安堵した。
「よかった……あそこじゃぜんぜん食おうとしなかっただろ? 俺どうなるかと思って心配してたんだぞ。知ってるか? お前の意識のない時に、俺が痛み止めとか飲ませてたの」
無意識に胸にすり寄るレネの姿を思い出す。
あの時は幼い子を持つ母親の大変さを疑似体験したような気持になった。
「思い出したくないこと言うなよ」
レネはギロリと睨む。
「ごめん……」
(やっちまった……)
せっかく機嫌よく食べていたのに、よけいなことを思い出させてしまった。
でも本当にあの時は、どうなるかと気を揉んだのだ。
「——わぁ……!?」
だが、スズキの丸焼きがどんっと音をたてて、テーブルの上に置かれるころには、レネはゴロゴロと喉でも鳴らしそうなくらいの上機嫌になっていた。
(単純な奴でよかった……)
食欲旺盛なレネを眺めらがら、バルトロメイも魚料理をつまんでいく。
しかし、好物を堪能するレネの姿に胸がいっぱいになり、いつもよりは食事が喉を通らなかった。
とは言っても、一人前以上は食べたが。
明日は早朝から街を出て街道沿いを南下しながら、情報を集めつつ先代を探そうということになって、大満足の夕食を終える。
後は宿に帰って風呂に入って眠るだけ。
二人は腹ごなしも兼ねて、少し遠回りしながら宿へと帰る。
レネは大好物を満喫し、バルトロメイはそんなレネの姿を満喫し、二人とも上機嫌なので多少の上り坂もなんのことはない。
(眼福とは……このことを言うのか)
先ほどの光景を思い出しながら、バルトロメイは口元を緩ませる。
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