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8章 全てを捨てて救出せよ
1 老夫婦
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◆◆◆◆◆
ここ数日レネは、宿屋通りから一本隣の通りにある、とある老夫婦の家に毎日通っていた。
レネが姿を現したのを見つけ、先に来ていた青年が声をかけてくる。
「あれ、今日は早いな」
青年は、きりりとした眉と鋭いヘーゼルの目が印象的だ。
笑うとちょっとだけ緩くなる口元が人懐っこい大型犬のようで、若い女たちがいたらきっと放っておかないくらいの美男だ。
「うん。仕事が早く終わったし」
青年の笑顔を見ていると、レネもつられて自然と笑顔になる。
(これと同じ笑顔を、オレは知っている)
見るたびに、レネは不思議な既視感に陥った。
「じゃあ、あっちで板を貼ってくれ」
青年との出逢いは、数日前にこの家の前をたまたま通りかかったことから始まった。
◇◇◇◇◇
「おいババァっ、濡れちまったじゃねえかっ! どうしてくれんだよっ!」
目つきの悪い男が、道に水を撒いていた老女に難癖を付ける。
十人はいるだろうか、一緒にいた男たちも次々と取り囲むように、老女に詰め寄った。
「お前らっ、うちの女房になにをしてるんだっ!」
何事かと家の中から様子を覗きに来た老爺は、自分の妻が男たちに囲まれているのを見つけ助けに入る。
「うるせぇんだよっ、ジジィがっ」
「……ッ……」
男が老人を蹴り倒す。
「なんてことをするのっ……」
老女の悲痛な声が響くが、通りを歩く通行人たちは我関せずだ。
男たちは貴族の子弟の取り巻きたちで、この界隈で狼藉を繰り返しては住民たちを困らせていた。
貴族の名をチラつかされたら、恐ろしくて誰も逆らうことはできない。
「こんなボロ臭い家ぶっ壊してやるよ」
男たちは道端に置いてある角材を持ち出して、あろうことか、老夫婦の家を壊しはじめた。
「——おいっ、お前らなにしてるっ!」
誰もがまるでなにもなかったかのように通り抜けて行く中、一人の青年が男たちに立ち向かう。
「なんだ、てめぇは」
「また、えらく綺麗な兄ちゃんじゃないか」
「まさか、俺たち相手に戦うつもりなのか?」
メスト内での仕事をすませたレネは、ちょうど男たちが老夫婦に狼藉を働いている所に出くわした。
このような輩は、自分たちより弱いと思った相手にだけこんなことをする。
現にレネを見ても、獲物が一匹増えたくらいにしか思っていない。
(クズどもめっ……)
男どもがニヤニヤと見ているうちに、まずレネは倒れたまま動けなくなっている老爺に駆け寄ると、助け起こし老婆と二人安全な場所へ逃がした。
「兄ちゃんが俺たちの相手してくれんだろ?」
一人がナイフを取り出し、レネへと襲いかかる。
レネはとっさに避けてナイフを持ったままの相手の手首を掴むと、腕を捻って肩をはずす。
「ぎあぁぁぁ……」
もちろん、敵の落としたナイフを拾うことも忘れない。自分のも持っているが、あるものは使わせてもらう。
「この野郎よくもやりやがったなっ」
お馴染みのせりふを叫びながら、剣でななめに斬りかかって来る男の攻撃を、拾ったナイフで受け止めると、もう片方の手に持った自分のナイフで、男の右肩を刺す。
「ぐぁっ!」
一連の攻撃は、ルカーシュに仕込まれたあの剣舞の動きだ。
いくつもあるの剣舞の型に、実際の攻撃を当て嵌めることさえできれば、レネは苦もなく両手で二本の刃物を使うことができる。
そこへ、別方向から新たな声がする。
「お前らっ、多勢に無勢で恥ずかしくないのかよっ!」
「なんだとっ…」
反対方向から一人の青年が駆け寄って来て、男たちと対峙する。
(誰っ!?)
目の前の敵とやりあいながらも、急な助太刀にレネはおどろく。
(強い……)
鞘に入ったままの剣で青年は次々と男たちを倒していく。
ナイフで応戦するくらいならいいが、街中で両手剣を振り回したら流石にマズイと思ったのだろう。
その戦いぶりにレネも負けじと、勢いを増した。
「——けっ……尻尾巻いて逃げて行きやがった……それにしても君、強いな。俺の助太刀は必要なかったみたいだ——」
レネの顔を見て、青年がとつぜん固まった。
動いた後だからなのかその顔が赤い。
「いや、そっちこそ……」
レネも改めて青年の顔を見て既視感を覚える。
(ん?)
「あの……お二人とも助けていただいてどうもありがとうございます」
「あなたたちが助けてくれなかったら今ごろどうなっていたか」
老夫婦が、二人に歩み寄り礼を述べる。
「でも……壁と柵が壊されちゃいましたね。あいつら……なんて酷いことするんだ……」
何人がかりかで、大きな角材を振り回していたせいか、木造の柵は見事に倒され、玄関近くの漆喰を塗った壁も剥げて、土台の木材と土が見えてしまっている。
「どうしましょう……」
自分たちの家の惨状を見て、老夫婦たちは途方に暮れていた。
二人とも八十前後だろうか、とても二人で補修できるようには思えない。
(——しばらくはメストでの仕事が続くからな……)
レネは少しだけ考えると、口を開く。
「あの……この時間帯でよかったなら、オレがやりましょうか?」
「じゃあ、俺も手伝うよ」
レネの申し出に、隣で聞いていた青年も手伝いを申し出た。
◇◇◇◇◇
「猫ちゃん、ワンちゃん、食事の準備ができたから中に入って来て」
作業のお礼にと、老婆はいつも二人に夕食を振る舞った。
何度名前を教えても、老婆は二人の名前を覚えきれず、なぜか猫ちゃんワンちゃんと呼ばれている。
(ここに来ても、猫かよ……)
でもニコニコ笑う老婆相手に言い返すわけにもいかず……この状況に甘んじているのだ。
「わーお婆ちゃん、今日も美味しそう」
テーブルの上には具だくさんのシチューとパンが並べられている。
いい匂いが部屋いっぱいに漂っていた。
「たくさん作ったからお代わりしてね」
口数は少ないが、老爺もニコニコと楽しそうだ。
「でも、いつもバルトロメイは食べ過ぎだよ」
レネは青年の長ったらしい名前を出す。
老婆がワンちゃん呼びするのも頷ける。
「ワンちゃんは身体が大きいからたくさん食べなきゃいけないのよ。猫ちゃんは細過ぎよ、もっと食べて太りなさい」
同じ会話をいつも繰り返している。
田舎から駆け落ちどうぜんに出て来たレネの両親は、親とはいっさい連絡を取っていなかったので、祖父母が生きているのかどうかもわからないが——祖父母がいたらこんな感じなのだろうか?
老夫婦とバルトロメイとレネ、四人で囲む夕食はなんだかとてもくすぐったい気持ちになる。
「レネはいつまでその呼び方なんだよ、『バルトロメイ』ってさ舌噛みそうだろ? 『バル』でいいって言ってるのに」
「いいじゃん。『バル』は身内にいるから、分けときたいんだよ」
「なんだよそれ。バルが二人いてもいいじゃねーか」
「駄目なの」
そこは譲れなかった。レネにとって『バル』とはバルナバーシュのことなのだ。
あの夜以来その名で呼んでいないが……。
だからバルトロメイを見ていると、レネは混乱するのだ。
この青年まで『バル』と呼ぶようになったら、レネの聖域にまで彼が食い込んできそうで、少し恐ろしかった。
そのくらいバルトロメイは……。
「でも、寂しいわね。ここの修理が終わったら、こうやって食事することもなくなってしまうのね……」
「大丈夫、時間がある時は顔出すから」
「オレもこっちで仕事がある時は遊びに来るよ」
バルトロメイとレネはお互い自分の仕事については明かすことはなかった。
この青年からは自分と同じ匂いがする。
本来ならば騎士しか扱わない両手剣と、時おり見せる鋭い目つきはけして素人のものではない。
お互い言わぬが花だ。もしかしたら明日は敵同士かもしれない。
少なからず、レネはバルトロメイに好感を持っていたので、そうならぬことを願うばかりだった。
ここ数日レネは、宿屋通りから一本隣の通りにある、とある老夫婦の家に毎日通っていた。
レネが姿を現したのを見つけ、先に来ていた青年が声をかけてくる。
「あれ、今日は早いな」
青年は、きりりとした眉と鋭いヘーゼルの目が印象的だ。
笑うとちょっとだけ緩くなる口元が人懐っこい大型犬のようで、若い女たちがいたらきっと放っておかないくらいの美男だ。
「うん。仕事が早く終わったし」
青年の笑顔を見ていると、レネもつられて自然と笑顔になる。
(これと同じ笑顔を、オレは知っている)
見るたびに、レネは不思議な既視感に陥った。
「じゃあ、あっちで板を貼ってくれ」
青年との出逢いは、数日前にこの家の前をたまたま通りかかったことから始まった。
◇◇◇◇◇
「おいババァっ、濡れちまったじゃねえかっ! どうしてくれんだよっ!」
目つきの悪い男が、道に水を撒いていた老女に難癖を付ける。
十人はいるだろうか、一緒にいた男たちも次々と取り囲むように、老女に詰め寄った。
「お前らっ、うちの女房になにをしてるんだっ!」
何事かと家の中から様子を覗きに来た老爺は、自分の妻が男たちに囲まれているのを見つけ助けに入る。
「うるせぇんだよっ、ジジィがっ」
「……ッ……」
男が老人を蹴り倒す。
「なんてことをするのっ……」
老女の悲痛な声が響くが、通りを歩く通行人たちは我関せずだ。
男たちは貴族の子弟の取り巻きたちで、この界隈で狼藉を繰り返しては住民たちを困らせていた。
貴族の名をチラつかされたら、恐ろしくて誰も逆らうことはできない。
「こんなボロ臭い家ぶっ壊してやるよ」
男たちは道端に置いてある角材を持ち出して、あろうことか、老夫婦の家を壊しはじめた。
「——おいっ、お前らなにしてるっ!」
誰もがまるでなにもなかったかのように通り抜けて行く中、一人の青年が男たちに立ち向かう。
「なんだ、てめぇは」
「また、えらく綺麗な兄ちゃんじゃないか」
「まさか、俺たち相手に戦うつもりなのか?」
メスト内での仕事をすませたレネは、ちょうど男たちが老夫婦に狼藉を働いている所に出くわした。
このような輩は、自分たちより弱いと思った相手にだけこんなことをする。
現にレネを見ても、獲物が一匹増えたくらいにしか思っていない。
(クズどもめっ……)
男どもがニヤニヤと見ているうちに、まずレネは倒れたまま動けなくなっている老爺に駆け寄ると、助け起こし老婆と二人安全な場所へ逃がした。
「兄ちゃんが俺たちの相手してくれんだろ?」
一人がナイフを取り出し、レネへと襲いかかる。
レネはとっさに避けてナイフを持ったままの相手の手首を掴むと、腕を捻って肩をはずす。
「ぎあぁぁぁ……」
もちろん、敵の落としたナイフを拾うことも忘れない。自分のも持っているが、あるものは使わせてもらう。
「この野郎よくもやりやがったなっ」
お馴染みのせりふを叫びながら、剣でななめに斬りかかって来る男の攻撃を、拾ったナイフで受け止めると、もう片方の手に持った自分のナイフで、男の右肩を刺す。
「ぐぁっ!」
一連の攻撃は、ルカーシュに仕込まれたあの剣舞の動きだ。
いくつもあるの剣舞の型に、実際の攻撃を当て嵌めることさえできれば、レネは苦もなく両手で二本の刃物を使うことができる。
そこへ、別方向から新たな声がする。
「お前らっ、多勢に無勢で恥ずかしくないのかよっ!」
「なんだとっ…」
反対方向から一人の青年が駆け寄って来て、男たちと対峙する。
(誰っ!?)
目の前の敵とやりあいながらも、急な助太刀にレネはおどろく。
(強い……)
鞘に入ったままの剣で青年は次々と男たちを倒していく。
ナイフで応戦するくらいならいいが、街中で両手剣を振り回したら流石にマズイと思ったのだろう。
その戦いぶりにレネも負けじと、勢いを増した。
「——けっ……尻尾巻いて逃げて行きやがった……それにしても君、強いな。俺の助太刀は必要なかったみたいだ——」
レネの顔を見て、青年がとつぜん固まった。
動いた後だからなのかその顔が赤い。
「いや、そっちこそ……」
レネも改めて青年の顔を見て既視感を覚える。
(ん?)
「あの……お二人とも助けていただいてどうもありがとうございます」
「あなたたちが助けてくれなかったら今ごろどうなっていたか」
老夫婦が、二人に歩み寄り礼を述べる。
「でも……壁と柵が壊されちゃいましたね。あいつら……なんて酷いことするんだ……」
何人がかりかで、大きな角材を振り回していたせいか、木造の柵は見事に倒され、玄関近くの漆喰を塗った壁も剥げて、土台の木材と土が見えてしまっている。
「どうしましょう……」
自分たちの家の惨状を見て、老夫婦たちは途方に暮れていた。
二人とも八十前後だろうか、とても二人で補修できるようには思えない。
(——しばらくはメストでの仕事が続くからな……)
レネは少しだけ考えると、口を開く。
「あの……この時間帯でよかったなら、オレがやりましょうか?」
「じゃあ、俺も手伝うよ」
レネの申し出に、隣で聞いていた青年も手伝いを申し出た。
◇◇◇◇◇
「猫ちゃん、ワンちゃん、食事の準備ができたから中に入って来て」
作業のお礼にと、老婆はいつも二人に夕食を振る舞った。
何度名前を教えても、老婆は二人の名前を覚えきれず、なぜか猫ちゃんワンちゃんと呼ばれている。
(ここに来ても、猫かよ……)
でもニコニコ笑う老婆相手に言い返すわけにもいかず……この状況に甘んじているのだ。
「わーお婆ちゃん、今日も美味しそう」
テーブルの上には具だくさんのシチューとパンが並べられている。
いい匂いが部屋いっぱいに漂っていた。
「たくさん作ったからお代わりしてね」
口数は少ないが、老爺もニコニコと楽しそうだ。
「でも、いつもバルトロメイは食べ過ぎだよ」
レネは青年の長ったらしい名前を出す。
老婆がワンちゃん呼びするのも頷ける。
「ワンちゃんは身体が大きいからたくさん食べなきゃいけないのよ。猫ちゃんは細過ぎよ、もっと食べて太りなさい」
同じ会話をいつも繰り返している。
田舎から駆け落ちどうぜんに出て来たレネの両親は、親とはいっさい連絡を取っていなかったので、祖父母が生きているのかどうかもわからないが——祖父母がいたらこんな感じなのだろうか?
老夫婦とバルトロメイとレネ、四人で囲む夕食はなんだかとてもくすぐったい気持ちになる。
「レネはいつまでその呼び方なんだよ、『バルトロメイ』ってさ舌噛みそうだろ? 『バル』でいいって言ってるのに」
「いいじゃん。『バル』は身内にいるから、分けときたいんだよ」
「なんだよそれ。バルが二人いてもいいじゃねーか」
「駄目なの」
そこは譲れなかった。レネにとって『バル』とはバルナバーシュのことなのだ。
あの夜以来その名で呼んでいないが……。
だからバルトロメイを見ていると、レネは混乱するのだ。
この青年まで『バル』と呼ぶようになったら、レネの聖域にまで彼が食い込んできそうで、少し恐ろしかった。
そのくらいバルトロメイは……。
「でも、寂しいわね。ここの修理が終わったら、こうやって食事することもなくなってしまうのね……」
「大丈夫、時間がある時は顔出すから」
「オレもこっちで仕事がある時は遊びに来るよ」
バルトロメイとレネはお互い自分の仕事については明かすことはなかった。
この青年からは自分と同じ匂いがする。
本来ならば騎士しか扱わない両手剣と、時おり見せる鋭い目つきはけして素人のものではない。
お互い言わぬが花だ。もしかしたら明日は敵同士かもしれない。
少なからず、レネはバルトロメイに好感を持っていたので、そうならぬことを願うばかりだった。
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