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5章 団長の親友と愛人契約せよ
プロローグ
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幼いころに兄が何者かに誘拐され、父と母は悲嘆に暮れた。
そんな両親を少しでも元気づけるため、私は兄の代わりとなれるよう死に物狂いで努力した。
いつの間にか両親は、兄を見ていたような期待の目で私を見るようになっていた。
生まれて初めて、この世に生まれた喜びを噛み締めたのを覚えている。
そんなある日。
いなくなったはずの兄が……帰って来た。
奴隷商人に異国の船に乗せられ南国大陸へ行った兄を、砂漠の国ポーストの王族が、金髪碧眼の珍しい奴隷として買い取った。その王族は、まだ幼い少年に才能を見出し一流の教育を受けさせた。
十年後、その王族がドロステアを訪れ国王に謁見した時、同行していた兄は自分の身分を名乗り上げた。兄はずっと息を殺して機会を窺っていたのだ。
ドロステアとポーストの友好のためにも、その王族は兄を家族の元へ返すことを決めた。
両国の話し合いで、奴隷としてポーストに売られたでは外聞が悪いので、表向きはポーストに留学していたという扱いになった。
この事実は一部の人間しか知らない。
私の死に物狂いの努力も、すべて一瞬のうちに掻っ攫っていった兄は、当然のように嫡男の座に返り咲いた。
しかし、辛酸を舐めるような思いをして、帰って来た兄を、誰が恨めようか。
行き場所をなくした思いを、いったいどこへ向ければいいのか?
完璧な兄の身代わりでしかなかった、まがい物の私は……ただ堕ちてゆくしかない。
そんな両親を少しでも元気づけるため、私は兄の代わりとなれるよう死に物狂いで努力した。
いつの間にか両親は、兄を見ていたような期待の目で私を見るようになっていた。
生まれて初めて、この世に生まれた喜びを噛み締めたのを覚えている。
そんなある日。
いなくなったはずの兄が……帰って来た。
奴隷商人に異国の船に乗せられ南国大陸へ行った兄を、砂漠の国ポーストの王族が、金髪碧眼の珍しい奴隷として買い取った。その王族は、まだ幼い少年に才能を見出し一流の教育を受けさせた。
十年後、その王族がドロステアを訪れ国王に謁見した時、同行していた兄は自分の身分を名乗り上げた。兄はずっと息を殺して機会を窺っていたのだ。
ドロステアとポーストの友好のためにも、その王族は兄を家族の元へ返すことを決めた。
両国の話し合いで、奴隷としてポーストに売られたでは外聞が悪いので、表向きはポーストに留学していたという扱いになった。
この事実は一部の人間しか知らない。
私の死に物狂いの努力も、すべて一瞬のうちに掻っ攫っていった兄は、当然のように嫡男の座に返り咲いた。
しかし、辛酸を舐めるような思いをして、帰って来た兄を、誰が恨めようか。
行き場所をなくした思いを、いったいどこへ向ければいいのか?
完璧な兄の身代わりでしかなかった、まがい物の私は……ただ堕ちてゆくしかない。
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