上 下
10 / 21
第二章:軍隊生活

10話 キスゲーム☆

しおりを挟む
 風呂から出て火照った体を冷ましていると、同室の貧乳の女が寝る前に少し遊ぼうと言い出した。
 さっき、他の女と股を合わせて、互いの性器と性器を擦り合わせていた発情女だ。
 なんの私物もないこんな牢獄のようなところでどんな遊びをしようと言うのだろう?

「新人がいることだし、陸軍伝統のキスゲームを教えてあげましょう」

 キスゲーム?
 甘美な響きだ。
 だが、期待はしないでおこう。
 軍隊の伝統とやらに、いい物はないはずだ。

「それはどんなゲーム?」
「まず全員でジャンケンをする」

 ジャンケンは日本のと同じルールだ。

「勝った人から抜けていって、最後に残った一人が、最初に勝ち抜けた人にキスをするの」
「…………」

 ど直球のゲームだった。

「……キスは、どこにするの?」
「口だけど、それが?」

 すごいな、まるでエロいお店じゃないか。

「特別ルールとして、いきなり一人だけ負けた場合は、全員にキスをする」

 それは罰ゲームなのか?
 むしろご褒美では?
 だって、このルームメイトたちは、絶世の美女とはお世辞にも言えないが、十分にいけるレベルにいる。

「最初に抜けた人には、二ポイント。一人負けした場合は、勝った全員に一ポイント。百回戦して、総合得点が多かった人が今夜のお姫さまよ」
「お姫さまになると?」
「それはなってからのお楽しみ」

 そう言って、彼女は淫らな笑みを浮かべた。
 これは期待してもいいのかもしれない。


「ジャーン、ケーン、ポン!」

 一回戦。
 俺はグーを出した。
 ところが、他の全員がパー。
 いきなり一人負け。
 全員にキスしなくてはいけない。
 やったぜ!
 しかし、問題が、

「………………」

 俺は、キスをしたことがない。
 女になって以来、女性と触れ合う機会が多かった。だから、だいぶ女慣れしてきたつもりだが……直接的な接触はなかった。
 だから、どうしたらいいのかわからない。
 ドギマギしながら視線を泳がせていると、

「早くして。あと九十九回しなきゃいけないんだよ」

 と、急かされた。
 しかし……。

「焦れったい。早くしちゃいましょ」

 リリーが俺の顔を両手でサンドして固定すると、

「んんん~~~~~~っっっ!」

 ぶちゅ~~っ、と唇を押し付けてきた。
 そのままぐいぐいと舌をねじ込んでくる。
 うわ、ファーストキスなのにディープでしてしまった。
 これが女の子の唇。そして、舌。
 結構肉厚で、ざらざらしてるんだな。
 犯すように俺の口の中を動き回り、歯の裏側まで舐めていく。
 さらに俺の舌に絡みついてきて、表面を撫で回していく。
 リリーの鼻息が俺の顔にかかる。
 目を開けると、リリーがこっちをガン見していた。ゼロ距離で目と目が合う。
 そらすことができなくて、そのまましばらく、互いを見つめ合いながら、唇を貪りあった。

「はいはい、そろそろ交代」

 次の女の子がリリーを引き剥がし、また俺の顔をサンドして、舌をねじ込んできた。
 今度の子の舌はリリーよりも薄い。華奢で、女の子って感じがする。
 その次の子は、舌を突き出してきた。
 ランプの灯りに照らされた舌が卑猥で、俺は思わず舌を伸ばしてしまった。
 空中で、俺とその子の舌が握手し、絡み合う。
 そこに、もう一人加わった。
 絡み合う舌に、さらにもう一枚の舌も交えての乱交キスだ。
 最後の一人は、両手を広げて俺を迎え入れてくれた。
 俺が彼女に口づけすると、ぎゅーっと抱きしめてくれた。
 少し筋肉質だけど、女の子の柔らかい体に包まれ、まるで桃源郷にいるかのようだ。
 俺も彼女を抱きしめ、二人で貪りあった。
 なんという充足感。
 風呂場で、みんなが抱き合っていたのもわかる。
 これはいいものだ。


 淫靡すぎる経験をしてしまった。
 だが、これはまだ序の口。
 あと九十九回、このゲームは続くのだ。

「ジャーン、ケーン、ポン!」

 二回戦。
 俺は、二番目に勝ち抜けた。
 最後まで負けたのは、リリー。
 彼女は、最初の勝者の子に慣れた様子でキスをした。
 二人は抱き合い、ねっとりとキスをしながら、胸を押し付けあう。二人とも巨乳だ。四つのおっぱいがぶつかり、形を変えて乱れる様は、卑猥の一言。
 それにしても、なんと美しい光景だ。


 三回戦。
 俺は最初に勝った。
 最後まで負けたのはまたリリーで、これで彼女は三回連続のキス。
 さっきの女の子にしたよりも、もっとエロいキスをしてきた。
 まず口の中にたっぷりと唾液を溜め、唇を重ねた瞬間に、一気に流し込んでくる。
 人肌の甘い液体を口に押し込まれ、喉を鳴らして飲み込むと、もう頭からそのことが離れなくなってしまった。
 もう一度勝って、リリーの唾液を飲みたい。
 あるいは、負けて、リリーに俺の唾液を飲ませてあげたい。
 四回戦。
 五回戦。
 六回戦。
 俺は勝ち続けたが、残念ながら、リリーとはキスできなかった。
 七回戦。
 再び俺の一人負け。
 全員とキスできる。リリーと唾液の交換ができる!
 メインディッシュは最後にとっておこう。リリーではない子とキスすると、なんとその子が唾液をたっぷりと流し込んできた。
 リリーとは違う味、匂いがする。
 これはこれで淫靡な味だ。
 飲み込もうとすると、
  
「まだダメ」

 と言われ、飲み込ませてもらえなかった。
 その子の唾液を口内に溜めたまま次の子とキスすると、その子も唾液を流し込んできた。
 次も、その次も、さらに次も、全員が唾液を流し込んできた。
 そしてついに、リリーの順番がきた。
 もちろんリリーは唾液を溜めて待っていた。
 すでにこぼれそうなほどに唾液が詰まっている俺の口に、さらに唾液を注いできた。
 さらにリリーは、舌で俺の口をクチュクチュとかき混ぜた。
 全員分の唾液がミックスされ、今までの人生で一度も味わったことのないような官能的な液体が完成した。

「飲んでもいいよ」

 許可が出た。
 唾液のカクテルを、一気に飲み込む。
 エロスの塊が食道を通り抜けて行く時、まるで射精しているかのような錯覚に陥った。

「あっ……」
 
 支給された新品の部屋着の胸部が、じっとりと濡れてしまった。
 唾液カクテルを飲み下した快感で、射乳してしまった。
 幸い、まだ誰にも気づかれていない。
 早く洗って乾かさないと……だが、

「ジャーン、ケーン、ポン!」

 ここでやめることなどできない。
 もう一度、いや、何度も。
 あのカクテルを飲みたい。 
 聖乳がバレるとかバレないとか、そんなことはもうどうだっていい。


 百回戦まで終了した。
 途中で気持ちよすぎて意識が飛んでしまい数を忘れたが、たぶん五、六回は射乳した。
 最終的な総合ポイントは、

「ブレストの優勝!」

 俺が一番だった。

「ぼくがお姫さま? どうなるの?」
「お姫さまは、固い床じゃなくて、柔らかい布団で寝られるの」
「布団? そんなものどこに」
「ここにあるじゃない」

 五人が一斉に服を脱ぎだした。
 全裸になり、床に寝転がる。

「えっと……」
「肉布団よ」
「体の上に寝ろってこと?」
「そう」

 いいのだろうか、そんなことをして。
 いいのだ。
 いいに決まってる。

「失礼します」

 俺も服を脱ぎ、リリーの上に寝転がった。
 巨乳を枕にして横になると、軍隊は地獄ではなく天国だったと気づいた。
 さらに、他の四人の女子の体を密着させてきた。
 俺の右手は巨乳の間に挟まれ、左手は股ぐらに挟まれ、どちらも体温によって温められる。
 背中にもおっぱいが押し当てられる。
 俺の腰が冷えてしまわないようにと、自分の下半身を密着させてくる子もいた。
 もう死んでもいい。
 心から、そう思えた。


 その日、俺が一睡もできなかったのは言うまでもない。
 寝不足で翌日の訓練に挑み、演技ではなく本気で何度もぶっ倒れ、しかし夜になると、またキスゲームをしようとねだる。
 そんな俺の軍隊生活は、こうして幕を開けた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

彼女の幸福

豆狸
恋愛
私の首は体に繋がっています。今は、まだ。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

私はいけにえ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」  ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。  私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。 ****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。

悪役令嬢にざまぁされた王子のその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。 その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。 そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。 マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。 人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

【魅了の令嬢】婚約者を簒奪された私。父も兄も激怒し徹底抗戦。我が家は連戦連敗。でも大逆転。王太子殿下は土下座いたしました。そして私は……。

川嶋マサヒロ
恋愛
「僕たちの婚約を破棄しよう」 愛しき婚約者は無情にも、予測していた言葉を口にした。 伯爵令嬢のバシュラール・ディアーヌは婚約破棄を宣告されてしまう。 「あの女のせいです」 兄は怒り――。 「それほどの話であったのか……」 ――父は呆れた。 そして始まる貴族同士の駆け引き。 「ディアーヌの執務室だけど、引き払うように通達を出してくれ。彼女も今は、身の置き所がないだろうしね」 「我が家との取引を中止する? いつでも再開できるように、受け入れ体勢は維持するように」 「決闘か……、子供のころ以来だよ。ワクワクするなあ」 令嬢ディアーヌは、残酷な現実を覆せるのか?

処理中です...