眠れる隣の山田くん

あめふらし

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第1章 眠れるあいつの隠し事(基本壱輝目線)

25.Different dimension stomach

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「あ、これ美味しそ~!!」
「本当だー!あ、みっちゃんそっちの丸いの取ってー」
「…丸いのいっぱいある」
「あー!チョコフォンデュだ!!」


 あー、うるせぇ…。
 俺は彩兎達に引っ張られて、スイーツカフェの「スイーツスイーツ」に来ていた。
 隣では、ふたつの大きな皿に山のようにスイーツを積んでいる彩兎と利人がはしゃいでいた。

「それ、全部食べれんのか…?」
「余裕余裕~、おかわりまた来るし」

 しれっと凄いことを言った彩兎を、実隆が宇宙人を見る様な目で見詰めていた。
 その気持ち、俺もわかるぞ…実隆よ。

「俺は先に戻ってるぞ」
「「はいはーい」」
  「…おれも戻る」

 元気よくまたスイーツを物色し始めた彩兎達とは対照的に、カフェオレを手にいつもよりテンションの低い実隆が俺と一緒に席に戻った。

「実隆なんかあったのか?」
「…?何も無いよ?」
「でも、いつもよりテンション低くないか?」
「…ちょっと、あのテンションについていけないだけ」

 実隆が利人達の方を見て言う。
 確かにあのテンションといると疲れるよな…。

「そうか…。なんかあったら言えよ?溜めるのは良くないからな」
「…うん。ありがとう」

 実隆は、あまり悩みを言わない。
 自分でひたすら考えて、ひたすらネガティブな方に落ちていくタイプだ。
 
(昔よりは、言うようになったんだけどな…)

 話してくれた時には、大分考えが悪い方向に進んでいる事が多い。
 利人までとは言わないが、もう少しポジティブになって欲しいと思う。
 カフェオレを、必死にふーふーして冷ましている実隆を眺めながらそんな事を考えていると、両手に持った皿にスイーツを山のように積み上げた彩兎達が帰ってきた。

「たっだいまー!さぁ~食べるぞー!」
「めっちゃ美味しそ~!」
「「…」」

 甘いものが苦手な俺にとっては致死量なスイーツを、信じられないスピードで胃に収めていく彩兎と利人。
 実隆はドン引きしている。

「…2人とも、そんなに沢山よく食べれるね」
「え?これは前菜だよみっちゃん」
「まだまだ食べるよ~!元はしっかり取らないと!」

 絶句する実隆を他所に、もうひと皿完食した彩兎と利人。
 あ、なんかもう…うん。こいつらホント人間じゃねぇわ…。どっかの未確認生命体だわ…きっと。
 俺と実隆は、バイキングが終了するまでコーヒーとカフェオレをそれぞれひたすら飲み続けたのであった…。
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