彼女と喧嘩したら乙女ゲーの悪役令嬢に転生しちゃいました!?

桜乃

文字の大きさ
上 下
13 / 56

夢と光る本

しおりを挟む
そんな夢で目を覚まし窓の方を見るが、まだ真っ暗で変な時間に起きちゃったな……なんて、思いながら机の方に目を向けると、この間預かった魔法の本が
光り輝いていた。私は、それに驚きながらも恐る恐るその本を手に取り
開くと、この間までには無かったページが現れていて、そこにはこう書かれていた。
「異世界を行き来する魔法……?」
それは、私がずっと求めていた魔法……でも、この間までこんな魔法なんて
載っていなかったのに……あの夢のせい……?
そんな事を考えながら、私はそのページを食い入るように読んだ。
この魔法は、一度行ったことのある場所ならどこへだって行けるらしい。
ただし、条件があり、誰かと一緒に行くこと。
それが、この本に書かれている注意事項だった。
「やり方は異世界に帰る方法と同じか……」
それなら、問題はない。
元々、その魔法を使おうと思っていたから。
あぁ、早くこの事をあかりに伝えなくては……
そう思うが、時間はまだ夜中だ。
今起こすのは流石に可哀想だと思って、明日の朝伝えることにした。
次の日、私はいつもより早く起きて学校へ向かった。
理由は、もちろんあかりと話すためだ。
教室に入ると、まだ誰もいなかったけれど、まぁ、待ってれば来るだろうと思い椅子に座って待つことにした。
すると、しばらくして扉が開いた音がしたので顔を上げると、そこには驚いた表情をしたあかりがいた。
私がいることに驚いているようだ。
「あかりおはよう~」
「おはよう……今日は凄い早いね?どうしたの?」
「ん~?あかりに少し用事があって」
「私に用事?」
そう言って、私はあかりの机まで行き、向かい合うようにして座った。
そして、私はあの魔法の本の話をした。
「…………それってほんと?」
「うん、私が嘘ついたこと無いでしょ?」
「それは……そうだけど……」
「やっぱり不気味?」
「うん、そんな夢見たあとにそんな事あったら……ね」
「私もそう思ったよ、でも試してみたいの」
「…………わかった、私も一緒に行くよ」
私が真剣な顔で言うと、あかりも覚悟を決めたのか、一緒に行くと言ってくれた。
そんな彼女の言葉を聞いて嬉しかったけれど、同時に申し訳なく感じた。
そんな私の気持ちを感じ取ったのか、あかりは私の手を握ってきた。
顔を上げると、彼女は優しく微笑んでいた。
大丈夫だよと言わんばかりに。
私は、その優しさに甘えてもいいんだと安心できて、笑みを浮かべてありがとうと言った。
「言ったでしょ?私は百が選んだ世界に付いていくって」
「うん…………ありがとう」
「ううん、そうだ!この事皆には?」
「まだ…………放課後にでも話そうかなって思ってはいたけど」
「分かった、じゃあそれまで黙ってるね」
「うん、ありがとう」
それから、わらわらと生徒が登校してきたので、私たちは席に戻った。
朝からこんな話してたから、なんだか疲れちゃったな……
そう思いながら授業を受けた。
そして、昼休みになり、私達は中庭へと向かった。
みんなに話がある、早くと言いたいのに、中々言い出すことができなくて…………いつの間にか時間はお昼になっていた。
そんなお昼の時間ももう終わりで、もうそろそろ行かないと、午後の授業が始まってしまうような時間になっていた。
そんな私を察してくれたのか、あかりが口を開いた。
「百どうしたの?」
そんな一言だったけれど、みんなの視線は私の方を向き、私はそのことに勇気づけられ、やっと言うことができた。
その瞬間、私は緊張が解けてしまって、涙が溢れてきた。
泣くつもりはなかったけれど、止めようとしても止まらない。
どうしていいかわからず、泣き続けていると、玲央様が近寄ってきて、ハンカチを渡してくれた。それを受け取って、それで涙を拭きながらも、私はなんとか言葉を紡いだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける

朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。 お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン 絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。 「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」 「えっ!? ええぇぇえええ!!!」 この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!

蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」 「「……は?」」 どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。 しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。 前世での最期の記憶から、男性が苦手。 初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。 リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。 当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。 おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……? 攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。 ファンタジー要素も多めです。 ※なろう様にも掲載中 ※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。

成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世
恋愛
 異世界転生キタコレー! と、テンションアゲアゲのリアーヌだったが、なんとその世界は乙女ゲームの舞台となった世界だった⁉︎  えっあの『ギフト』⁉︎  えっ物語のスタートは来年⁉︎  ……ってことはつまり、攻略対象たちと同じ学園ライフを送れる……⁉︎  これも全て、ある日突然、貴族になってくれた両親のおかげねっ!  ーー……でもあのゲームに『リアーヌ・ボスハウト』なんてキャラが出てた記憶ないから……きっとキャラデザも無いようなモブ令嬢なんだろうな……  これは、ある日突然、貴族の仲間入りを果たしてしまった元日本人が、大好きなゲームの世界で元日本人かつ庶民ムーブをぶちかまし、知らず知らずのうちに周りの人間も巻き込んで騒動を起こしていく物語であるーー  果たしてリアーヌはこの世界で幸せになれるのか?  周りの人間たちは無事でいられるのかーー⁉︎

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

義弟の為に悪役令嬢になったけど何故か義弟がヒロインに会う前にヤンデレ化している件。

あの
恋愛
交通事故で死んだら、大好きな乙女ゲームの世界に転生してしまった。けど、、ヒロインじゃなくて攻略対象の義姉の悪役令嬢!? ゲームで推しキャラだったヤンデレ義弟に嫌われるのは胸が痛いけど幸せになってもらうために悪役になろう!と思ったのだけれど ヒロインに会う前にヤンデレ化してしまったのです。 ※初めて書くので設定などごちゃごちゃかもしれませんが暖かく見守ってください。

処理中です...