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学園編
魔女と呼ばれた人
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『私ね、昔は魔女。なんて呼ばれていたの』
その言葉に思わず固まった、だって魔女と呼ばれていた人はおとぎ話の中の話で実在しないと思っていたから。
あかりも驚いた様子で、私と同じように呆然としていた。
そんな私達の様子を見て、おばあ様はクスッと笑った。
とても穏やかな笑みだった。
そしてゆっくりと口を開いた。
「貴方たち…………別の世界から来たのね」
「えっ……!?どうしてそれを……」
「んー、何となくかしら」
そう言いながら、先輩のおばあ様はお茶を一口飲んだ。
優雅で美しい仕草に思わず見惚れてしまった。
「貴方は………あのお話の魔女なのですか?」
「えぇ……そうよ、少し話は盛っているけれどね」
先輩のおばあ様は悲しそうな顔をして、目を伏せた。
すると、おばあ様は再び顔を上げて話し始めた。
今度は、先程とは違うどこか懐かしむような顔つきで……
「貴方たちは昔の私達にそっくりね」
「私達………?」
「えぇ、昔私にはそれはそれは大切な女の子がいたの………私たちは愛し合っていて結婚の約束もしてたのよ?けれど、ある日あの子は前世を思い出した!なんて言って」
「その子は今どこに………?」
あかりが不安そうに聞くと、おばあ様は寂しそうに首を横に振った。
「元の世界に戻る!なんて言い出してね…………いなくなっちゃったの。結婚の約束もしていたのに勝手よね?」
最後の方は自嘲気味に笑いながら、こちらを見た。
その瞳からは涙が零れていて、頬を濡らしていた。
私は、その姿を見て胸が締め付けられる思いがした。
きっと、この人は今でも彼女を想っているんだろう。
それほどまでに、彼女の事を愛しているんだ。
「寂しくないんですか……?」
「そうね…………昔は寂しくて寂しくて毎日泣いていたわ、でも不思議ね。いつの間にかそんな気持ちは無くなってたの」
そういう、おばあ様の顔はとても穏やかだった。
「諦めたって事ですか?」
あかりが、意地悪そうに言うとおばあ様は違うわと即答した。
そして、優しく微笑んだ。
それは、今まで見た笑顔の中で一番綺麗だった。
思わず息を飲むほどに……
「あの子はいつか帰ってくるって信じているの、きっとまた会えるって……」
「…………絶対会えます!」
あかりが大きな声で叫ぶように言った。
おばあ様はその声に一瞬驚いていたがすぐに嬉しそうに微笑んでありがとうと言った。
「そうだわ!あの子が元の世界に帰った時の魔法
がまだ残っているかもしれないわ」
そう言うと、席から立ち上がって本棚に向かった。
そして、一冊の分厚い本を持ってきた。
表紙はボロボロで、中を開くと紙は黄ばんでいてところどころ破れていたりインクが滲んでいる箇所もあった。
「これ持って行って、貴方たちにはこれが必要でしょ?」
「でも……これは大切な物なんじゃないんですか?」
私が、戸惑いながらも尋ねるとおばあ様は大丈夫と言ってくれた。
「この本も貴方たちに使ってもらえる方が嬉しいと思うの、だから
持って行って」
そう言って私達を見て優しい笑みを浮かべた。
私たちはその言葉に甘えて、受け取ることにした。
そして、お礼を言うとおばあ様はいいのよと返してくれた。
それから、私たち二人はおばあ様に別れを告げた。
家から出ると、太陽が傾き始めていて空がオレンジ色に染まっていた。
今日は、色々なことがあって疲れたなぁ……
でも、収穫はあった。
元の世界に戻る魔法…………もしこれがほんとに使えるなら…………
「九条院先輩今日はありがとうございました」
「ううん、君達の役に立てたのなら良かった」
先輩は安心したような表情で、私達を見つめていた。
夕焼けのせいなのか、それとも別の何かのせいか分からないけどその横顔はいつもより大人びて見えた。
その言葉に思わず固まった、だって魔女と呼ばれていた人はおとぎ話の中の話で実在しないと思っていたから。
あかりも驚いた様子で、私と同じように呆然としていた。
そんな私達の様子を見て、おばあ様はクスッと笑った。
とても穏やかな笑みだった。
そしてゆっくりと口を開いた。
「貴方たち…………別の世界から来たのね」
「えっ……!?どうしてそれを……」
「んー、何となくかしら」
そう言いながら、先輩のおばあ様はお茶を一口飲んだ。
優雅で美しい仕草に思わず見惚れてしまった。
「貴方は………あのお話の魔女なのですか?」
「えぇ……そうよ、少し話は盛っているけれどね」
先輩のおばあ様は悲しそうな顔をして、目を伏せた。
すると、おばあ様は再び顔を上げて話し始めた。
今度は、先程とは違うどこか懐かしむような顔つきで……
「貴方たちは昔の私達にそっくりね」
「私達………?」
「えぇ、昔私にはそれはそれは大切な女の子がいたの………私たちは愛し合っていて結婚の約束もしてたのよ?けれど、ある日あの子は前世を思い出した!なんて言って」
「その子は今どこに………?」
あかりが不安そうに聞くと、おばあ様は寂しそうに首を横に振った。
「元の世界に戻る!なんて言い出してね…………いなくなっちゃったの。結婚の約束もしていたのに勝手よね?」
最後の方は自嘲気味に笑いながら、こちらを見た。
その瞳からは涙が零れていて、頬を濡らしていた。
私は、その姿を見て胸が締め付けられる思いがした。
きっと、この人は今でも彼女を想っているんだろう。
それほどまでに、彼女の事を愛しているんだ。
「寂しくないんですか……?」
「そうね…………昔は寂しくて寂しくて毎日泣いていたわ、でも不思議ね。いつの間にかそんな気持ちは無くなってたの」
そういう、おばあ様の顔はとても穏やかだった。
「諦めたって事ですか?」
あかりが、意地悪そうに言うとおばあ様は違うわと即答した。
そして、優しく微笑んだ。
それは、今まで見た笑顔の中で一番綺麗だった。
思わず息を飲むほどに……
「あの子はいつか帰ってくるって信じているの、きっとまた会えるって……」
「…………絶対会えます!」
あかりが大きな声で叫ぶように言った。
おばあ様はその声に一瞬驚いていたがすぐに嬉しそうに微笑んでありがとうと言った。
「そうだわ!あの子が元の世界に帰った時の魔法
がまだ残っているかもしれないわ」
そう言うと、席から立ち上がって本棚に向かった。
そして、一冊の分厚い本を持ってきた。
表紙はボロボロで、中を開くと紙は黄ばんでいてところどころ破れていたりインクが滲んでいる箇所もあった。
「これ持って行って、貴方たちにはこれが必要でしょ?」
「でも……これは大切な物なんじゃないんですか?」
私が、戸惑いながらも尋ねるとおばあ様は大丈夫と言ってくれた。
「この本も貴方たちに使ってもらえる方が嬉しいと思うの、だから
持って行って」
そう言って私達を見て優しい笑みを浮かべた。
私たちはその言葉に甘えて、受け取ることにした。
そして、お礼を言うとおばあ様はいいのよと返してくれた。
それから、私たち二人はおばあ様に別れを告げた。
家から出ると、太陽が傾き始めていて空がオレンジ色に染まっていた。
今日は、色々なことがあって疲れたなぁ……
でも、収穫はあった。
元の世界に戻る魔法…………もしこれがほんとに使えるなら…………
「九条院先輩今日はありがとうございました」
「ううん、君達の役に立てたのなら良かった」
先輩は安心したような表情で、私達を見つめていた。
夕焼けのせいなのか、それとも別の何かのせいか分からないけどその横顔はいつもより大人びて見えた。
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