彼女と喧嘩したら乙女ゲーの悪役令嬢に転生しちゃいました!?

桜乃

文字の大きさ
上 下
37 / 56
学園編

久しぶりのデート

しおりを挟む
鏡の前でお洋服を選ぶ、これがいいかな?それともこっち?
と悩むけれど、中々決まらない。
だって久しぶりのデートだもん、可愛いって思われたいでしょ?
今日は、待ちに待った玲央様と約束していたお出かけの日。
今までの事のお礼、と言うのも勿論あるんだけれど、最近二人でお出かけができてなかったから
久しぶりにデートができるのがすごく嬉しい。
「よしっ、これにしよう」
散々悩んで私が決めたお洋服は、淡い黄色で小さい花柄のワンピース。
それに合わせて赤色の小さな宝石が付いたネックレスを付けて、白色のカーディガンを羽織った。
洋服が決まった後は、ドレッサーに向かってメイクと髪型をセットする。
髪を緩く巻いて、ハーフツインにする、そしてお気に入りのヘアアクセサリーを付け
仕上げに、お気に入りの香水を軽く吹きかける。
「うんっ、できた!……可愛いって言ってもらえるかな……?」
鏡の中の自分を見ながらそう呟く。
そんな事をしていたら、スマホのアラームが鳴りもう出かける時間だと言う事に気づいて
慌てて部屋を飛び出し、待ち合わせ場所に向かった。
待ち合わせ場所に着くと、今一番会いたい人がそこに立っていて私はその人の所まで
駆け足で向かった。
「玲央様…!お待たせしちゃいましたか?」
「ううん、今来たところだから大丈夫だよ」
「そうですか……よかったぁ……」
ほっとして胸を撫で下ろす。
すると、玲央様が私の耳元まで近づいてきて、どうしたんだろうと
ドキドキしていたら。
「どうかしましたか?」
「今日の百凄く可愛くて、綺麗で……それにいい匂いがする」
「ふぇ!?」
まさか、そんなこと言ってもらえるとは思っていなかったから
恥ずかしくて嬉しくて顔が熱くなる。
「俺の為に選んでくれたの?」
「は、はい……」
「嬉しい、じゃあ改めていこうか?」
「はい!」
そうして私達は手を繋いで歩き出した。
最初は私が行きたいと言った、雑貨屋さんに行くことになった。
ここは、前にあかりと行った所だけど玲央様とも行きたいと思っていた
お店の一つ。
店内に入ると、色とりどりの商品があって見ているだけで楽しくなる。
「わぁ……!」
「こんな所にこんなお店があったんだね、知らなかった」
「そうなんです!いつか玲央様と来たいって思ってたんです」
「それは嬉しいな、あ!これなんか百に似合うんじゃないかな?」
玲央様が手に取ったのは小さな青色の石が付いた指輪だった。
派手さは無いけれど、とても品のあるデザインで
一目見て気に入った。
「…………かわいいです」
「付けてみる?」
「えっ、でも……」
「いいから」
玲央様に促されて、右手の中指にはめて貰った。
サイズはピッタリで少し感動してしまった。
「よく似合ってる」
「ありがとうございます、あ!これ……」
目に入ったのは私がしていた指輪と同じデザインで、今度は緑色の石が付いている指輪だった。
その指輪の石が玲央様の瞳の色に似ていて、つい目が離せなくなった。
「私こっちの色にします」
「どうして?青色は嫌だったかな……?」
「いいえ、とても素敵なんですけど……こっちの指輪は玲央様の瞳の色と
同じなので……この色がいいなぁって……」
「…………反則……」
「へ……?」
「なんでもないよ、ちょっと待ってて」
「?わかりました」
玲央様はレジの方に向かっていった。
私はその間、ショーケースに入っている他の商品を見ていた。
暫くしたら、玲央様が戻ってきた。
「はい、百にプレゼント」
「ふぇ!?で、でも……」
「気にしないで?いつものお礼だから」
「そ、それなら私も……!ちょっと待っててください!」
私は青色の石が付いた指輪をレジで購入し、玲央様の元に戻った。
「玲央様……私からも受け取ってください」
「ありがとう、そうだ百左手出して?」
「はい」
玲央様は私の薬指に、先程買ったばかりの指輪を付けた。
サイズもぴったりで、
まるで玲央様に付けてもらう為にこの指輪は作られたのかと思うほど、玲央様の手に馴染んでいた。
「百のも俺につけて?」
「はいっ」
玲央様の左手を取り、ゆっくりと指輪を付ける。
そして、その手を自分の手で包み込んだ。
「ありがとう、大事にする」
「いえ……こちらこそ、ありがとうございました」
その後は、二人で色々なお店を回って買い物をした。
気づけば夕方になっていて、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうんだと実感した。
「もうすぐ日が落ちますね……」
「……うん」
「今日は楽しかったですね、また行きましょうね?」
「……うん」
「……玲央様……?」
「……ねぇ、百」
玲央様が真剣な眼差しで私を見つめる。
心臓がドキドキする。
「好きだよ」
「……っ!」
「君が誰よりも好き」
「私も玲央様が大好きです……」
「あの子よりも?」
「えっ……それは……」
「ごめん、意地悪言ったね……」
玲央様は困ったような表情で笑った。
「百は本当に優しいよね、そんな所が俺は好きなんだ」
「そんなこと……」
「だから、これからもずっと傍で笑ってて欲しいんだ」
「……玲央様、大丈夫です私は玲央様の前からいなくなったりしません」
「……ありがとう、安心した」
「ふふ、玲央様も案外寂しがり屋さんなんですね」
「そうかも……だってやっと見つけたんだから、もう絶対に逃がさないから覚悟してて」
そう言って玲央様は私の頬に触れた。
触れられた部分が熱くて、きっと顔は真っ赤になっているだろう。
恥ずかしくて俯いていたら、顎を持ち上げられ強制的に目を合わせられた。
玲央様の綺麗な顔立ちに見惚れていると、そのまま唇を重ねられる。そのキスはとても甘くて、幸せな味がした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける

朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。 お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン 絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。 「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」 「えっ!? ええぇぇえええ!!!」 この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!

蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」 「「……は?」」 どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。 しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。 前世での最期の記憶から、男性が苦手。 初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。 リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。 当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。 おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……? 攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。 ファンタジー要素も多めです。 ※なろう様にも掲載中 ※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。

成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世
恋愛
 異世界転生キタコレー! と、テンションアゲアゲのリアーヌだったが、なんとその世界は乙女ゲームの舞台となった世界だった⁉︎  えっあの『ギフト』⁉︎  えっ物語のスタートは来年⁉︎  ……ってことはつまり、攻略対象たちと同じ学園ライフを送れる……⁉︎  これも全て、ある日突然、貴族になってくれた両親のおかげねっ!  ーー……でもあのゲームに『リアーヌ・ボスハウト』なんてキャラが出てた記憶ないから……きっとキャラデザも無いようなモブ令嬢なんだろうな……  これは、ある日突然、貴族の仲間入りを果たしてしまった元日本人が、大好きなゲームの世界で元日本人かつ庶民ムーブをぶちかまし、知らず知らずのうちに周りの人間も巻き込んで騒動を起こしていく物語であるーー  果たしてリアーヌはこの世界で幸せになれるのか?  周りの人間たちは無事でいられるのかーー⁉︎

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

義弟の為に悪役令嬢になったけど何故か義弟がヒロインに会う前にヤンデレ化している件。

あの
恋愛
交通事故で死んだら、大好きな乙女ゲームの世界に転生してしまった。けど、、ヒロインじゃなくて攻略対象の義姉の悪役令嬢!? ゲームで推しキャラだったヤンデレ義弟に嫌われるのは胸が痛いけど幸せになってもらうために悪役になろう!と思ったのだけれど ヒロインに会う前にヤンデレ化してしまったのです。 ※初めて書くので設定などごちゃごちゃかもしれませんが暖かく見守ってください。

処理中です...