彼女と喧嘩したら乙女ゲーの悪役令嬢に転生しちゃいました!?

桜乃

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学園編

婚約者と恋人

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二人が帰って一体どのくらいの時間が経ったのだろう…
さっきまで明るかった空は真っ暗になり、時計の針はいつの間にか
12時を指していた。
「結局話せなかった……」
お兄様に相談しようと思っていたのに、食事の時間に帰ってこなくて
帰ってきたと思ったら、忙しそうに何か調べ物をしていて声を掛けることができず
タイミングが掴めずに結局こんな時間になってしまった…
「明日二人も呼んで話す方がいいのかなぁ…」
私はベッドに寝転んで天井を見上げる、まさか…あかりが転生者だったなんて
あの夢でみたあかりはこの事を言いたかったんだろう。
それともう一つ、あの世界の私は死んではいなかった…
「私の目が覚めたらこの世界とサヨナラしなきゃいけないのかな…それは少し寂しいかも…」
なんて考えているうちに、私は眠りについていた。
翌朝、早く起きて支度をする。
朝食を食べてすぐに学校へと向かおうとしてると、後ろから徹夜
したであろう姿をしたお兄様に声を掛けられた。
「百昨日は忙しくて話せなくてごめんね、何か用があったんでしょ?」
「お兄様!?そんな姿で…もしかして寝てないのですか?」
「うーん、ちょっとね、それでどうしたのかな?」
「少し話したいことがあったのですが…帰ったらにします」
「そう?俺は今でも平気だけど」
「いえ!お兄様はちゃんと休んでください!それとお兄様に合わせたい方もいるので…」
「うん、分かった。そうだ、玄関に玲央くんと…あと見たことない女の子が待ってたよ?」
「えっ!?わかりました!では、行ってきます!ちゃんと休んでくださいね!」
「はいはい、行ってらっしゃい~」
そう言って私は急いで玄関に向かい、扉を開ける。
扉を開けそこに立っていたのは、玲央様に…あかりが立っていた。
「おはようございます、玲央様。それから……瀬名様も」
「おはよう、百」
「百おはよ~私の事はあかりって呼んでって言ったでしょ~?」
「は、はい…おはようございます、あかり」
「うんっ!おはよ」
「あの、なんでお二人が…?」
「俺が百を迎えに行こうとしたらばったり会ってね、聞けば瀬名さんも百を迎えに行くって
言うから一緒に来たって訳」
「なるほど…」
昨日、あんなに仲が悪そうな雰囲気を出していたのに
案外この二人の気は合うのかもしれない、なんて思っていたけれど
その考えはすぐに勘違いだと理解した。
「ほんと!婚約者だかなんだか知らないけどさ、百の恋人は私だか、ね?」
「へ~でもそれは前世での話でしょ?今は俺の婚約者だから。ね?百」
「いや…その…」
「もう!百はどっちを選ぶの!?」
「えっと……あ!もうこんな時間!早くしないと遅刻しちゃいますよ!」
「「あ、逃げた」」
私は二人の手を引いて急いで学園へと向かった。
朝からこんなに疲れるなんて…これから、私の学園生活はどうなっちゃうんだろう…
私がこんなに悩んでいる後ろでは、私のどこが可愛いとかこういうところが好きとか
そんな自慢大会が始まっていて、そういう事は私のいないところでやってくれと言いたくなった
のをぐっとこらえて、学園まで向かうのだった。
「はぁ……疲れた……」
「ごめん…なんか白熱しちゃって…」
「私もごめんね…?でも、なんか仲良くなれた気がする!ね?」
「そっか…それはよかった……」
そんな会話をしていると前から人が歩いてきた、誰だろうと顔を上げるとそこには
不機嫌そうな顔をした柊奏が立っていた。
「あかり!今朝はなんで先に行ったわけ?」
「……ごめん、ちょっと用事が」
「用事って…この二人に…?」
じとっと、睨みつけられ私は思わず目線を逸らす。
そうだ、この男幼馴染に対して執着がすごくて嫉妬深いんだった…
あかりの顔を見れば少し怯えたような、困ったような顔をしていて
ここは、私が助けてあげないと…!
「そうだ!瀬名さま、昨日お話してた物をお渡ししたいのでこっちに来てもらえますか?」
「……!は、はいっ!ごめんね、奏後でちゃんとお話しするから!」
私はあかりの手を取ってなるべくあの男の目がない所まで走った。
そして誰もいないことを確認してからあかりに話しかける。
「あかり、大丈夫?」
「うん、ありがとう……助かった」
「よかったぁ…それよりちゃんと話さないとだよね…」
「……ふふっ」
「あかり…?どうしたの?」
「ん~?なんかこの世界に来てからやっと、素の百が見れたな~って」
「あっ……」
「この世界に来た時は、すっごく大人っぽくてびっくりしちゃったけどやっぱり 百は百なんだなって、そう思ったら嬉しくてさ」
「……確かに、この世界に来てからは、自分を作ってたかも……」
「でも、いやじゃなかったでしょ?」
「うん、私は私だからね。でも、たまにはこういう風にお話してくれる?」
「もちろん!さて、そろそろ教室もどろ?」
「そうだね……行きましょうか」
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