5 / 56
とある日のデート
しおりを挟む
あの日から数日が経過し、私は町に遊びに来ています。
何の為って?それはもちろん玲央様とデートをするためです!
待ち合わせ場所の噴水の前で早く来ないかなと、ソワソワしながら玲央様の到着を待っていると
遠くの方から走ってくるような音が聞こえ、そっちに視線を向ければ玲央様が走りながらこちらへと向かってきていた。
「玲央様…!」
「っはぁ…!ごめんっ待たせちゃったかな?」
「いいえ、今来たばかりですわ」
「そっか……良かった……」
「それよりも……玲央様、髪が乱れていますよ」
そう言うと、私は彼の髪を手で軽く整えてやる。
すると、玲央様の顔がみるみると赤く染まっていった。
「わっ…ご、ごめんね…っ百に会いたくて急いでたから…」
「実は、私も玲央様に早く会いたくて待ち合わせの一時間前に着いてしまって……お揃いですね」
私が照れくさそうにはにかむと、玲央様も恥ずかしくなったのか顔を逸らしてしまった。
そんな様子が可愛らしくてつい頬が緩んでしまう。
「百、今日は何したい?」
「えーっと……」
考えながら町を見回していると一つのお店が目に入った。
それは、前世の私が大好きで、この世界にもあることが嬉しくてそのお店をジーっと
見つめていたら、玲央様にあのお店に行きたいの?と聞かれ、はっ、と我に返った。
「あ、いや、えーと…」
「だってあんなにジーっと見つめて、いいよ。いこっか?」
「わっ!ちょっと!玲央様!?」
玲央様は私の腕をつかみ、走り出した。
そして、あっという間にそのお店の前まで来るとお店の中に入っていく。
お店の中に入ると甘い匂いが広がっていて、この空間にいるだけでも幸せな気持ちになれる。
「でも、百がチョコレート好きだなんて知らなかったなぁ~昔は嫌いって言ってなかったけ?」
「えっ!?あー…成長して味覚が変わったんです」
「ふ~ん?」
我ながら苦しい言い訳だ、我ながら苦しい言い訳だ、と思いながらも何とか誤魔化せたようでほっと一安心する。
確かに【前の百】なら嫌いだったかもしれないが、今は私になったので好みも変わっているのだろう。
しかし、この変化はゲームの進展に何か影響はあったりするのだろうか?
この間だって、ヒロインであろう子の魔法の暴走の話を聞いたばかりだし、また不安な事が増えた気がする。
「百?難しい顔してるけど大丈夫?」
「あ、大丈夫ですわ、どれも美味しそうで。どれにしようか迷っていたんです」
「じゃあ、はい!これ」
「これは…?」
渡されたのはラッピングされた小さな箱。
「チョコだよ、俺からのプレゼント」
「え?いや、悪いですよ!」
「いいから受け取ってよ」
「……ありがとうございます」
玲央様から貰ったのはハートの形をしたピンクのチョコレート。
とても可愛い見た目で食べるのが勿体無いと思ってしまった。
「じゃあ、いこっか?」
「そうですね、行きましょうか」
さっきの買い物で少し疲れた私達は、街中から少し離れた
人気の少ない公園に来た、辺りを見回して目に入ったベンチに腰掛けると
さっき玲央様から頂いたチョコレートの箱を紙袋から取り出し眺めた。
この世界に来て初めて貰ったプレゼント、それが嬉しくて…なんだか、食べるの勿体ないなぁ
そう言えば、前世でも初めて貰ったプレゼントはチョコレートだったな。
「本当にチョコレートが好きなんだね、百」
「えっ?…はいっ、でも食べるのが勿体ないなーって思ってたんです」
「じゃあ、俺が食べさせてあげる」
「へ?……っ!」
玲央様は私の口元まで、チョコレートを持ってくるとそのまま指ごと口に突っ込んできた。
「どう?おいしい?」
「ふぁ、ふぁいっ……おいひぃです……」
玲央様はそのまま私の口から指を引き抜くと、今度は自分の唇に持っていきぺろりと舐める。
その姿に私はドキドキしてしまい、思わず目を逸らすとクスッと笑われてしまった。
「百、もう一個あるから、はい」
「じ、自分で食べられますわ!!」
玲央様は有無を言わさず、再び私にチョコを食べさせようとする。
さすがにこれ以上は恥ずかしくて無理なので断ろうとするが、彼は一向に引き下がろうとしない。
結局根負けした私が折れ、玲央様の差し出すチョコを口に含むと、彼は満足そうな表情を浮かべた。
「美味しい?」
「……はい、ありがとうございます」
「ねぇ、百。俺にも頂戴……?」
「え……っんぅ……っ!?」
突然顎を持ち上げられ、キスをされると同時に口内に甘さが広がった。
玲央様は、ゆっくりと口を離すと妖艶に微笑みながら、耳元で囁くように言った。
「ごちそーさま♡」
さっきまでの可愛かった玲央様を返して欲しい…こんな事されたら私の心臓がいくつあったって足りないよ…っ
そんな事を思いながら私たちの甘いデートの時間は過ぎていったのだった。
何の為って?それはもちろん玲央様とデートをするためです!
待ち合わせ場所の噴水の前で早く来ないかなと、ソワソワしながら玲央様の到着を待っていると
遠くの方から走ってくるような音が聞こえ、そっちに視線を向ければ玲央様が走りながらこちらへと向かってきていた。
「玲央様…!」
「っはぁ…!ごめんっ待たせちゃったかな?」
「いいえ、今来たばかりですわ」
「そっか……良かった……」
「それよりも……玲央様、髪が乱れていますよ」
そう言うと、私は彼の髪を手で軽く整えてやる。
すると、玲央様の顔がみるみると赤く染まっていった。
「わっ…ご、ごめんね…っ百に会いたくて急いでたから…」
「実は、私も玲央様に早く会いたくて待ち合わせの一時間前に着いてしまって……お揃いですね」
私が照れくさそうにはにかむと、玲央様も恥ずかしくなったのか顔を逸らしてしまった。
そんな様子が可愛らしくてつい頬が緩んでしまう。
「百、今日は何したい?」
「えーっと……」
考えながら町を見回していると一つのお店が目に入った。
それは、前世の私が大好きで、この世界にもあることが嬉しくてそのお店をジーっと
見つめていたら、玲央様にあのお店に行きたいの?と聞かれ、はっ、と我に返った。
「あ、いや、えーと…」
「だってあんなにジーっと見つめて、いいよ。いこっか?」
「わっ!ちょっと!玲央様!?」
玲央様は私の腕をつかみ、走り出した。
そして、あっという間にそのお店の前まで来るとお店の中に入っていく。
お店の中に入ると甘い匂いが広がっていて、この空間にいるだけでも幸せな気持ちになれる。
「でも、百がチョコレート好きだなんて知らなかったなぁ~昔は嫌いって言ってなかったけ?」
「えっ!?あー…成長して味覚が変わったんです」
「ふ~ん?」
我ながら苦しい言い訳だ、我ながら苦しい言い訳だ、と思いながらも何とか誤魔化せたようでほっと一安心する。
確かに【前の百】なら嫌いだったかもしれないが、今は私になったので好みも変わっているのだろう。
しかし、この変化はゲームの進展に何か影響はあったりするのだろうか?
この間だって、ヒロインであろう子の魔法の暴走の話を聞いたばかりだし、また不安な事が増えた気がする。
「百?難しい顔してるけど大丈夫?」
「あ、大丈夫ですわ、どれも美味しそうで。どれにしようか迷っていたんです」
「じゃあ、はい!これ」
「これは…?」
渡されたのはラッピングされた小さな箱。
「チョコだよ、俺からのプレゼント」
「え?いや、悪いですよ!」
「いいから受け取ってよ」
「……ありがとうございます」
玲央様から貰ったのはハートの形をしたピンクのチョコレート。
とても可愛い見た目で食べるのが勿体無いと思ってしまった。
「じゃあ、いこっか?」
「そうですね、行きましょうか」
さっきの買い物で少し疲れた私達は、街中から少し離れた
人気の少ない公園に来た、辺りを見回して目に入ったベンチに腰掛けると
さっき玲央様から頂いたチョコレートの箱を紙袋から取り出し眺めた。
この世界に来て初めて貰ったプレゼント、それが嬉しくて…なんだか、食べるの勿体ないなぁ
そう言えば、前世でも初めて貰ったプレゼントはチョコレートだったな。
「本当にチョコレートが好きなんだね、百」
「えっ?…はいっ、でも食べるのが勿体ないなーって思ってたんです」
「じゃあ、俺が食べさせてあげる」
「へ?……っ!」
玲央様は私の口元まで、チョコレートを持ってくるとそのまま指ごと口に突っ込んできた。
「どう?おいしい?」
「ふぁ、ふぁいっ……おいひぃです……」
玲央様はそのまま私の口から指を引き抜くと、今度は自分の唇に持っていきぺろりと舐める。
その姿に私はドキドキしてしまい、思わず目を逸らすとクスッと笑われてしまった。
「百、もう一個あるから、はい」
「じ、自分で食べられますわ!!」
玲央様は有無を言わさず、再び私にチョコを食べさせようとする。
さすがにこれ以上は恥ずかしくて無理なので断ろうとするが、彼は一向に引き下がろうとしない。
結局根負けした私が折れ、玲央様の差し出すチョコを口に含むと、彼は満足そうな表情を浮かべた。
「美味しい?」
「……はい、ありがとうございます」
「ねぇ、百。俺にも頂戴……?」
「え……っんぅ……っ!?」
突然顎を持ち上げられ、キスをされると同時に口内に甘さが広がった。
玲央様は、ゆっくりと口を離すと妖艶に微笑みながら、耳元で囁くように言った。
「ごちそーさま♡」
さっきまでの可愛かった玲央様を返して欲しい…こんな事されたら私の心臓がいくつあったって足りないよ…っ
そんな事を思いながら私たちの甘いデートの時間は過ぎていったのだった。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける
朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。
お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン
絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。
「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」
「えっ!? ええぇぇえええ!!!」
この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!
蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」
「「……は?」」
どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。
しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。
前世での最期の記憶から、男性が苦手。
初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。
リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。
当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。
おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……?
攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。
ファンタジー要素も多めです。
※なろう様にも掲載中
※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。

成り上がり令嬢暴走日記!
笹乃笹世
恋愛
異世界転生キタコレー!
と、テンションアゲアゲのリアーヌだったが、なんとその世界は乙女ゲームの舞台となった世界だった⁉︎
えっあの『ギフト』⁉︎
えっ物語のスタートは来年⁉︎
……ってことはつまり、攻略対象たちと同じ学園ライフを送れる……⁉︎
これも全て、ある日突然、貴族になってくれた両親のおかげねっ!
ーー……でもあのゲームに『リアーヌ・ボスハウト』なんてキャラが出てた記憶ないから……きっとキャラデザも無いようなモブ令嬢なんだろうな……
これは、ある日突然、貴族の仲間入りを果たしてしまった元日本人が、大好きなゲームの世界で元日本人かつ庶民ムーブをぶちかまし、知らず知らずのうちに周りの人間も巻き込んで騒動を起こしていく物語であるーー
果たしてリアーヌはこの世界で幸せになれるのか?
周りの人間たちは無事でいられるのかーー⁉︎

【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

義弟の為に悪役令嬢になったけど何故か義弟がヒロインに会う前にヤンデレ化している件。
あの
恋愛
交通事故で死んだら、大好きな乙女ゲームの世界に転生してしまった。けど、、ヒロインじゃなくて攻略対象の義姉の悪役令嬢!?
ゲームで推しキャラだったヤンデレ義弟に嫌われるのは胸が痛いけど幸せになってもらうために悪役になろう!と思ったのだけれど
ヒロインに会う前にヤンデレ化してしまったのです。
※初めて書くので設定などごちゃごちゃかもしれませんが暖かく見守ってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる