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「やった……!」
沙羅はそう呟き、嬉しそうな笑顔を浮かべる。
そして私の方を向き、みてみて!!と言ったその瞬間
手のひらの上にあった石がぱきっ、と音を立て砕けてしまった。
「えー!?どうして!?」
「ふふ、最後まで気を抜いたらだめですよ」
そう言いながら私は沙羅の頭を撫でた。
沙羅はそんなぁ……と呟きながら、しゅんと落ち込んでいた。
私はそんな沙羅を慰めるように、もう一度頭を撫でた。
そんな私達の様子を、フィリスは優しく微笑みながら見ていたのだった。
「次は私もやってみても良いですか?」
「えぇ、勿論です」
「では……ふぅ……」
フィリスが息を吐いたその瞬間、私達の周りの空気が変わるのを感じた。
フィリスの手のひらの上には、沙羅が使っていたものと同じ石、フィリスがその石に
魔力を込めると、辺りは青白い光に包まれ視界が一瞬真っ白になる。
その光が段々と消えていくと、フィリスの手のひらの上には青く輝く石が二つ。
「……成功、でしょうか?」
「すごい!すごい!完璧だよ~!私もこんな風に出来ればな~」
「沙羅にだってすぐ出来るようになりますよ」
「そうかな~自分で言うのもアレだけど、詰めが甘いというか……」
そう言いながら、沙羅は苦笑いを浮かべる。
そんな沙羅にフィリスは優しく微笑みかけながら、沙羅なら大丈夫ですよ。と声をかける。
確かに、沙羅はいつも詰めが甘いところがあるけれど、そこが沙羅の良い所だと私は思う。
もちろん、きちんとしなければいけない場面もあるけれど、私はそんな所も沙羅らしさだと感じている。
「では、沙羅もう一度やってみますか?」
「うん!今度は絶対上手くできるから、二人とも見てて!」
「はい!頑張ってくださいね、沙羅」
「フィリスに応援してもらったら絶対成功出来る気がする!」
そう言って、沙羅は目を閉じ深呼吸をする。
そして再び石を手のひらの上に乗せ、意識を集中させる。
すると、手の上にある石は青白く光り輝き、辺りを照らし始めると
さっきとは違う空気が、辺りに漂い始めた。
私は、沙羅が魔力を込める姿をじっと見守る。
そして、次の瞬間淡く光っていた石が強い光を放ち、視界が真っ白になった。
その光が徐々に消えていくと、沙羅の手のひらには青く光る石……
「やったー!!ルカ、フィリス!!成功したよ!!」
そう言って沙羅は、ぱぁっと、満面の笑みで私とフィリスに抱き着く。
私はそんな沙羅を優しく抱きしめながら、良かったですね。と声をかけた。
フィリスも、おめでとうございますと言いながら沙羅をぎゅっと抱きしめる。
私達は三人で抱き合いながら、成功した事を喜び合った。
「これで、お二人の魔力のコントロールの練習は終了です」
私がそう言うと、沙羅とフィリスは顔を見合わせて笑った。
ここまで来るのに、もっと時間が掛かると思っていたけれど、二人の能力は私の想像以上で思っていたよりもずっと早く、コントロール出来る様になっていた。
「では、次のステップに行きましょうか」
「次の……」
「ステップ……ですか?」
「えぇ、魔力のコントロールが出来るようになったのなら、今度は魔力を上げる練習です」
「魔力を……なんだか難しそう……」
「ここまで来れたお二人ですから、きっと大丈夫ですよ」
私はそう言って、不安そうな表情を浮かべる二人に笑いかけた。
そんな私を見て、沙羅とフィリスは少し緊張が解けたのか小さく笑った。
私はそんな二人を見て、これなら次のステップも大丈夫そうね。と心の中で思ったのだった。
沙羅はそう呟き、嬉しそうな笑顔を浮かべる。
そして私の方を向き、みてみて!!と言ったその瞬間
手のひらの上にあった石がぱきっ、と音を立て砕けてしまった。
「えー!?どうして!?」
「ふふ、最後まで気を抜いたらだめですよ」
そう言いながら私は沙羅の頭を撫でた。
沙羅はそんなぁ……と呟きながら、しゅんと落ち込んでいた。
私はそんな沙羅を慰めるように、もう一度頭を撫でた。
そんな私達の様子を、フィリスは優しく微笑みながら見ていたのだった。
「次は私もやってみても良いですか?」
「えぇ、勿論です」
「では……ふぅ……」
フィリスが息を吐いたその瞬間、私達の周りの空気が変わるのを感じた。
フィリスの手のひらの上には、沙羅が使っていたものと同じ石、フィリスがその石に
魔力を込めると、辺りは青白い光に包まれ視界が一瞬真っ白になる。
その光が段々と消えていくと、フィリスの手のひらの上には青く輝く石が二つ。
「……成功、でしょうか?」
「すごい!すごい!完璧だよ~!私もこんな風に出来ればな~」
「沙羅にだってすぐ出来るようになりますよ」
「そうかな~自分で言うのもアレだけど、詰めが甘いというか……」
そう言いながら、沙羅は苦笑いを浮かべる。
そんな沙羅にフィリスは優しく微笑みかけながら、沙羅なら大丈夫ですよ。と声をかける。
確かに、沙羅はいつも詰めが甘いところがあるけれど、そこが沙羅の良い所だと私は思う。
もちろん、きちんとしなければいけない場面もあるけれど、私はそんな所も沙羅らしさだと感じている。
「では、沙羅もう一度やってみますか?」
「うん!今度は絶対上手くできるから、二人とも見てて!」
「はい!頑張ってくださいね、沙羅」
「フィリスに応援してもらったら絶対成功出来る気がする!」
そう言って、沙羅は目を閉じ深呼吸をする。
そして再び石を手のひらの上に乗せ、意識を集中させる。
すると、手の上にある石は青白く光り輝き、辺りを照らし始めると
さっきとは違う空気が、辺りに漂い始めた。
私は、沙羅が魔力を込める姿をじっと見守る。
そして、次の瞬間淡く光っていた石が強い光を放ち、視界が真っ白になった。
その光が徐々に消えていくと、沙羅の手のひらには青く光る石……
「やったー!!ルカ、フィリス!!成功したよ!!」
そう言って沙羅は、ぱぁっと、満面の笑みで私とフィリスに抱き着く。
私はそんな沙羅を優しく抱きしめながら、良かったですね。と声をかけた。
フィリスも、おめでとうございますと言いながら沙羅をぎゅっと抱きしめる。
私達は三人で抱き合いながら、成功した事を喜び合った。
「これで、お二人の魔力のコントロールの練習は終了です」
私がそう言うと、沙羅とフィリスは顔を見合わせて笑った。
ここまで来るのに、もっと時間が掛かると思っていたけれど、二人の能力は私の想像以上で思っていたよりもずっと早く、コントロール出来る様になっていた。
「では、次のステップに行きましょうか」
「次の……」
「ステップ……ですか?」
「えぇ、魔力のコントロールが出来るようになったのなら、今度は魔力を上げる練習です」
「魔力を……なんだか難しそう……」
「ここまで来れたお二人ですから、きっと大丈夫ですよ」
私はそう言って、不安そうな表情を浮かべる二人に笑いかけた。
そんな私を見て、沙羅とフィリスは少し緊張が解けたのか小さく笑った。
私はそんな二人を見て、これなら次のステップも大丈夫そうね。と心の中で思ったのだった。
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