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扉の向こうには
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薄暗い廊下を進んで行くと、厳重に閉ざされた扉に辿り着く。
扉の前には、この城の騎士であろう人が二人立っていた。
「聖女様!?何故こんな所に!?」
慌てた様子の騎士達に、私は少し困ったように笑いながら口を開く。
「その扉の奥にいる人物に会いに来たのです、通してもらえるかしら?」
「いくら聖女様と言えど、お通しする訳には……」
騎士達は申し訳なさそうにそう言った。
正直そう言われることは予想していたけれど、私は引く気は無かった。
あの人に会って、詳しい話を聞くまでは私はこの城から帰るつもり
は無いのだ。だから……なんとしてでも通してもらわなければ……
そんな事を思っていると、私の後ろからルークの声が聞こえた。
「責任は全て私が取る、だからここを通してくれ」
ルークがそうハッキリと伝えると、騎士達はお互いに顔を見合わせ少し悩んだ後、分かりました。と言って私達に道を開けたのだった。
「何かありましたら私達をお呼びください」
「はい、ありがとうございます」
私はそう言って騎士達に頭を下げると、扉に手を掛けゆっくりと開く。
扉の先は薄暗く、少しカビと埃の匂いがする。
少し進むと、小さな扉が現れた。
扉は古びていて、今にも壊れそうな扉だけれど、扉には何重にも魔法が
掛けられているのが分かった。
私はその扉に手をかざし、魔法を解除する。
「…………開いたわ」
そう呟くと、扉はゆっくりと開かれていく。
私はルークに行きましょう、と声を掛け部屋の中へと足を踏み入れたのだった。
部屋には特に物は無く、ただ大きなベッドと椅子だけが置かれている。
そしてベッドの上に一人の人物がいる事に気がついた。
私はその人物にゆっくりと近付いて行く。
すると彼女は、驚いた様に目を見開いた後、警戒する様な視線を向けた。
「…………お久しぶりですね、マリー」
「…………ルカ……どうして貴女がここに」
少し怯えたような瞳を向けながら彼女は私を見た。
私はそんな彼女に微笑みかけると口を開いた。
「そんなに怯えないでください、私は貴女達と話しがしたいだけなの」
私がそう言うと、彼女は困惑した表情を浮かべながら小さく口を開く。
その表情からは、確かな焦りと恐怖が見えた気がした。
マリーは慌てた様にベッドから起き上がると、私達から距離を取ろうとする。
しかし狭い部屋の中では逃げる場所もなく、すぐに壁にぶつかってしまう。
「何が目的?私もカイトも貴女達に話す事なんて無いわ」
マリーはそう言って私を睨みつける。
どうすればマリーに危害を加えないと理解してもらえるだろうか……。
私はそんな事を考えながら、マリーに近付いて行く。
「大丈夫、怖がらないで……」
そう言って、彼女の手をそっと握った。
するとマリーはビクリと肩を揺らし、慌てた様に手を振りほどこうとする。
しかし私はその手をしっかりと握り締める。
そして優しく笑いかけたのだった。
「…………何を聞きたいの」
「貴女達が知っている事全てを……」
そう言って、私はさっきアイクから聞いた話をマリーに伝えると
マリーは諦めた様に小さくため息を吐き、そしてゆっくりと口を開いた。
扉の前には、この城の騎士であろう人が二人立っていた。
「聖女様!?何故こんな所に!?」
慌てた様子の騎士達に、私は少し困ったように笑いながら口を開く。
「その扉の奥にいる人物に会いに来たのです、通してもらえるかしら?」
「いくら聖女様と言えど、お通しする訳には……」
騎士達は申し訳なさそうにそう言った。
正直そう言われることは予想していたけれど、私は引く気は無かった。
あの人に会って、詳しい話を聞くまでは私はこの城から帰るつもり
は無いのだ。だから……なんとしてでも通してもらわなければ……
そんな事を思っていると、私の後ろからルークの声が聞こえた。
「責任は全て私が取る、だからここを通してくれ」
ルークがそうハッキリと伝えると、騎士達はお互いに顔を見合わせ少し悩んだ後、分かりました。と言って私達に道を開けたのだった。
「何かありましたら私達をお呼びください」
「はい、ありがとうございます」
私はそう言って騎士達に頭を下げると、扉に手を掛けゆっくりと開く。
扉の先は薄暗く、少しカビと埃の匂いがする。
少し進むと、小さな扉が現れた。
扉は古びていて、今にも壊れそうな扉だけれど、扉には何重にも魔法が
掛けられているのが分かった。
私はその扉に手をかざし、魔法を解除する。
「…………開いたわ」
そう呟くと、扉はゆっくりと開かれていく。
私はルークに行きましょう、と声を掛け部屋の中へと足を踏み入れたのだった。
部屋には特に物は無く、ただ大きなベッドと椅子だけが置かれている。
そしてベッドの上に一人の人物がいる事に気がついた。
私はその人物にゆっくりと近付いて行く。
すると彼女は、驚いた様に目を見開いた後、警戒する様な視線を向けた。
「…………お久しぶりですね、マリー」
「…………ルカ……どうして貴女がここに」
少し怯えたような瞳を向けながら彼女は私を見た。
私はそんな彼女に微笑みかけると口を開いた。
「そんなに怯えないでください、私は貴女達と話しがしたいだけなの」
私がそう言うと、彼女は困惑した表情を浮かべながら小さく口を開く。
その表情からは、確かな焦りと恐怖が見えた気がした。
マリーは慌てた様にベッドから起き上がると、私達から距離を取ろうとする。
しかし狭い部屋の中では逃げる場所もなく、すぐに壁にぶつかってしまう。
「何が目的?私もカイトも貴女達に話す事なんて無いわ」
マリーはそう言って私を睨みつける。
どうすればマリーに危害を加えないと理解してもらえるだろうか……。
私はそんな事を考えながら、マリーに近付いて行く。
「大丈夫、怖がらないで……」
そう言って、彼女の手をそっと握った。
するとマリーはビクリと肩を揺らし、慌てた様に手を振りほどこうとする。
しかし私はその手をしっかりと握り締める。
そして優しく笑いかけたのだった。
「…………何を聞きたいの」
「貴女達が知っている事全てを……」
そう言って、私はさっきアイクから聞いた話をマリーに伝えると
マリーは諦めた様に小さくため息を吐き、そしてゆっくりと口を開いた。
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