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約束の日
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「ふぅ、流石に今日で全部読むのは難しそうね」
『ルカ~なに読んでるの?』
私の頭の上にぽふんと乗っかり、頭の上から私の読んでいる資料を
覗き込んで来た。
「さっきお兄様から頂いた資料よ、ムルも読む?」
『うぇ~文字がいっぱい……ムルは遠慮しとく』
そう言って私の頭から退くと、ムルはそのままふわふわと飛んで行ってしまった。
そんなムルの行動を見て私は小さく笑うと再び資料に目を通すのだった。
********
あれから数日が経ち、今日はルークと約束していた日。
少し緊張しながら待ち合わせ場所で待っていると、遠くの方から走ってこちらに向かってくる
ルークの姿が見えた。
「すまない……!準備に時間がかかって」
「いいえ、大丈夫ですよ。お疲れ様です」
私がそう言って微笑むと、頭の上に乗っかっているムルもそれに続いて声を上げた。
それを聞いたルークは少しだけ驚いた様な表情を浮かべた後、小さく笑った。
そしてすぐに真剣な表情に戻り私に向き合った。
「それじゃ行こうか……ここからは少し離れた所だから、馬車を用意したよ」
そう言ってルークが指さした方を見れば、馬に乗った男性がこちらに向かって手を振っていた。
私達はその馬車に乗り込み目的地へと向かった。
目的地に向かうまで私達の間に会話らしい会話は無く、お互いに緊張している様だった。
しばらく馬車に揺られていると、目の前に大きな建物見えてきた。
あれがあの人達が住んでいる場所なのだろうか……?
「ルカ、もう少しで目的地だよ。ほら、あの建物」
そうルークが指さしたのは、さっき大きな建物だと思った場所だった。
『わ~~すっごいおっきなお家!!』
ムルは、馬車の窓に張り付きながら興奮した様子ではしゃいでいる。
その姿を見ていたら、さっきまでの緊張が少しだけほぐれていくのを感じた。
ムルに感謝しないと……そう思いながら、馬車から降り建物に入ろうと扉を開けるとそこには黒いスーツを身に纏った人物が私達を待っていた。
「やぁやぁ、聖女様にルーク様もお待ちしておりました」
手をこすり合わせるような仕草をしながら、その人物は私達に近寄って来た。
その行動を見て私は思わず後ずさってしまった。
そんな私を庇う様にルークが私の前に立ち塞がる。
「おっと、すいません私ったら興奮してしまい……さぁ、こちらですどうぞ」
そう言って、その男性は私達を奥の部屋に案内してくれた。
通された部屋は応接室の様な部屋で、大きなソファーとテーブルが置かれていた。
そして私達はそれぞれソファーに腰掛けると、先ほどの男性が温かいお茶を出してくれた。
私がお礼を言うと、彼はいえいえと言いながらお茶を置きソファーに座ると口を開いた。
「さて、聖女様とルーク様が私と話したいと聞きましたが、どんなご用事で?」
「この国の聖女の事です。何故あんな事をしたのか、真実を教えて頂きたいのです」
そう私が言うと、その男性は驚いた様な表情を浮かべた後すぐににやりと笑みを浮かべた。
そしてゆっくりと口を開いた。
「聖女様……貴方は勘違いをなされていますよ?私達は別に悪い事はしておりませんからねぇ?」
「……それはどういう意味でしょうか?」
私がそう問いかけると、その男性は笑みを浮かべながら答えた。
『ルカ~なに読んでるの?』
私の頭の上にぽふんと乗っかり、頭の上から私の読んでいる資料を
覗き込んで来た。
「さっきお兄様から頂いた資料よ、ムルも読む?」
『うぇ~文字がいっぱい……ムルは遠慮しとく』
そう言って私の頭から退くと、ムルはそのままふわふわと飛んで行ってしまった。
そんなムルの行動を見て私は小さく笑うと再び資料に目を通すのだった。
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あれから数日が経ち、今日はルークと約束していた日。
少し緊張しながら待ち合わせ場所で待っていると、遠くの方から走ってこちらに向かってくる
ルークの姿が見えた。
「すまない……!準備に時間がかかって」
「いいえ、大丈夫ですよ。お疲れ様です」
私がそう言って微笑むと、頭の上に乗っかっているムルもそれに続いて声を上げた。
それを聞いたルークは少しだけ驚いた様な表情を浮かべた後、小さく笑った。
そしてすぐに真剣な表情に戻り私に向き合った。
「それじゃ行こうか……ここからは少し離れた所だから、馬車を用意したよ」
そう言ってルークが指さした方を見れば、馬に乗った男性がこちらに向かって手を振っていた。
私達はその馬車に乗り込み目的地へと向かった。
目的地に向かうまで私達の間に会話らしい会話は無く、お互いに緊張している様だった。
しばらく馬車に揺られていると、目の前に大きな建物見えてきた。
あれがあの人達が住んでいる場所なのだろうか……?
「ルカ、もう少しで目的地だよ。ほら、あの建物」
そうルークが指さしたのは、さっき大きな建物だと思った場所だった。
『わ~~すっごいおっきなお家!!』
ムルは、馬車の窓に張り付きながら興奮した様子ではしゃいでいる。
その姿を見ていたら、さっきまでの緊張が少しだけほぐれていくのを感じた。
ムルに感謝しないと……そう思いながら、馬車から降り建物に入ろうと扉を開けるとそこには黒いスーツを身に纏った人物が私達を待っていた。
「やぁやぁ、聖女様にルーク様もお待ちしておりました」
手をこすり合わせるような仕草をしながら、その人物は私達に近寄って来た。
その行動を見て私は思わず後ずさってしまった。
そんな私を庇う様にルークが私の前に立ち塞がる。
「おっと、すいません私ったら興奮してしまい……さぁ、こちらですどうぞ」
そう言って、その男性は私達を奥の部屋に案内してくれた。
通された部屋は応接室の様な部屋で、大きなソファーとテーブルが置かれていた。
そして私達はそれぞれソファーに腰掛けると、先ほどの男性が温かいお茶を出してくれた。
私がお礼を言うと、彼はいえいえと言いながらお茶を置きソファーに座ると口を開いた。
「さて、聖女様とルーク様が私と話したいと聞きましたが、どんなご用事で?」
「この国の聖女の事です。何故あんな事をしたのか、真実を教えて頂きたいのです」
そう私が言うと、その男性は驚いた様な表情を浮かべた後すぐににやりと笑みを浮かべた。
そしてゆっくりと口を開いた。
「聖女様……貴方は勘違いをなされていますよ?私達は別に悪い事はしておりませんからねぇ?」
「……それはどういう意味でしょうか?」
私がそう問いかけると、その男性は笑みを浮かべながら答えた。
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