上 下
286 / 320

家に帰ると

しおりを挟む
「へぇ~じゃあ、ルカの事を呼んでいたのはムルだったんだ」
「悪いものとかでは無くて良かった、ムルも今まで忘れてしまっていてごめんな?」
『ううん!皆が思い出してくれただけでもムル嬉しい!』
家に帰ると、何故かルークとエミリアが応接室で私の帰りを待っていた。
聞けばルカから大切な話があるから!と沙羅から教えられ、急いで私の家へと向かったらしい。
「でも、私ムルの名前しか覚えていなくて……」
「あぁ、沙羅から聞いているよ。俺達も思い出せるように協力するよ、なぁ?エミリア」
「もちろん!あ、でも……私気になっていることがあって……」
「気になる事ですか……?」
「うん……私達どうしてムルの事忘れちゃってたんだろうって」
少し暗い顔を浮かべるエミリア、その隣ではルークも難しそうな表情を浮かべている。
確かに、どうして私達はムルの事を忘れてしまっていたのだろうか……
考えも答えが出る訳では無く、私はムルの方に視線を向ける。
『えっとね……あの人達と戦った時、皆の力を合わせたでしょう?その時ムルの力も使ったんだけど、その時思ったより力を使いすぎちゃってみんなの前に
姿を見せる事が出来なくなっちゃったんだ』
悲しそうな顔でムルはそう話し私達の事を見た。
まさか、ムルの身にそんな事が起きていたなんて想像もしていなかった。
「じゃあ何で私達の中からムルの記憶が消えたの?」
『それもムルの力が弱くなったのが原因で……どうにか気づいてもらおうと
残りの力を振り絞ってルカに声を届かせようとしたんだ…』
「そっか……でも、なんでムルの姿がルカに見えるようになったんだろ?
ルカは何かやったりしたの?」
「いいえ……あ、でもムルの姿が見えた時沙羅とフィリスがいたわ……もしかして……」
あの子達の力がムルの力を復活させたのかもしれない。
もし、そうだとしたらあの子達の力と私達の力を合わせれば、今思い出せない
記憶も思い出すことが出来るのかもしれない。
「ねぇ、ムルあの子達の力を合わせれば……ムルの力も完全に復活するのかもしれない」
『あの子達?って……沙羅とフィリスの事?』
「えぇ、あの子達の力はどんどん強くなっている。その力と私の力を合わせれば……」
きっと、ムルの力は元に戻り、記憶もすべて取り戻すことが出来る。
そんな気がするのだ。
「ねぇ!その作戦私も混ぜて!私にだって多少は魔力があるんだし、力になれると思うんだ!」
「俺にも手伝わせてくれ、ムルには沢山世話になったからね」
そう言って二人は私に笑いかけた。
けれど、どんな事をするかまだ分かっていな事に皆を巻き込んで良いのか……
そう考えていると、ムルが私の前に飛んできて、二人の事を見つめる。
そして、二人に向かって笑いかけた。
『二人共ありがとう……やっぱりみんな優しいんだね』
「当たり前だよ!だって私達お友達でしょう?」
「あぁ、そうだね、友達を手伝うのは当たり前だよ」
二人の言葉にムルは本当に嬉しそうに、うん!と大きく頷く。
そして、私達の顔を順番に見つめると、私の事を見つめた。
私もそんなムルに微笑みかければ、ムルはまた幸せそうに微笑み返えす。
あぁ……今こんな日常を過ごせているのもムルのお陰で、ムルがいなかったら今の日常はきっとない。
だから、私は絶対にムルの力を取り戻してあげたいと思うのだ。
そして、皆で力を合わせればきっと記憶を取り戻せる……そんな気がするから。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

偽りの愛の結婚

恋愛 / 完結 24h.ポイント:49,266pt お気に入り:404

縁あって国王陛下のお世話係になりました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:404pt お気に入り:1,482

殿下、それは私の妹です~間違えたと言われても困ります~

恋愛 / 完結 24h.ポイント:298pt お気に入り:5,285

愛してほしかった

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:397pt お気に入り:3,716

千早さんと滝川さん

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:85pt お気に入り:9

おっさんは異世界で焼肉屋する?ー焼肉GOD

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:69

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:6,036pt お気に入り:6,892

処理中です...