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ルカからの贈り物と忘れ物

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今日はもう寝よう、そう思ってベッドに潜った時、スマホに一つのメッセージが届いた。
慌てて、スマホの画面を見れば、メッセージの送り主はルカからだった。
何か用事があったのかな?と私は不思議に思いながらもメッセージを開く。
『明日二人に渡したい物があるので会えませんか?』
と言う内容だった、私はそのメッセージを見てまずフィリスに連絡をした。
ルカから、こんなメッセージがあったんだけれど、どうかな?と電話すれば
フィリスは大丈夫ですよ、と答えその日の電話は終わり、ルカに返事をした。
『私もフィリスも大丈夫だよ』
そう返せば、ルカから
『ありがとうございます。では、学園の裏の森で待っています』
と返事が返ってきて、私はそれに分かった、放課後になったら行くと返し
その日は眠りに付いた。
翌日、放課後になったので私はフィリスと二人でルカの言っていた
裏の森へと向かっていた。
「渡したいものがあるって言ってたけど……何だろうね?」
「さぁ、でも、待ち合わせ場所をここにしたと言う事は……何か理由があるのかもしれませんよ」
「う~~~ん……」
そんな話をしながら歩き続けていると、遠くの方にルカの姿が見え
私達はルカに駆けよった。
「ルカ!お待たせ!」
「お待たせしました、ルカ」
そう声を掛ければ、ルカは私達の方へと近づいて
いきなり呼び出したりしてすみません。と謝って来たので 私達は大丈夫だよ。と言ってルカに笑顔を向けると、安心したように ホッと息を吐き、よかったです。と言う。
そして、話を変えるように私達に今日渡したい物があると言い鞄から何かを取り出す。
「これ……クッキー?」
「えぇ、私が作った物なのでお口に合うか分かりませんが……」
そう言うルカから、ラッピングされたクッキーを受け取った。
クッキーはアイシングで可愛くデコレーションされていて、とても美味しそうだった。
「かわいい……!!しかも凄く美味しそう!ありがとう、ルカ」
「ありがとうございます、でもどうしてクッキーを?」
フィリスがそう問いかけるとルカは、この間のお礼ですと言って
にっこりと笑った、この間……と言うのは、お見舞いの事だろうか?
「お礼って……お見舞いの事ですか?」
私がルカに聞く前に、フィリスがルカにそう問いかけた。
すると、ルカはそうです。と言って、私達の方をジッと見つめた。
「そんなお礼だなんて……!私達がただ、ルカのお見舞いに行きたかっただけで、お礼されるほどの事じゃ……」
「それでも、私は嬉しかったんです。だから、受け取ってください」
「ルカ……うん、分かったありがとう」
「私からも、ありがとうございます。あの……一つ気になった事があるのですが、聞いても良いでしょうか?」
フィリスがそうルカに問いかける。
ルカは、なんでしょう?とフィリスに言って、質問を促す。
「どうして私達をここに?クッキーを渡すだけなら、別にこのじゃ無くても良かったでしょう?」
「あぁ、それは……」
ルカは少し困った様な表情を浮かべ、湖の方を見つめる。
湖に何かあるのか?そう思い、湖の方に視線を移すけれど、私には何も
見えなかった。
「この間、ここへ一人で来た時……何忘れているような、そんな気がして……
でも、それが何なのか思い出せなくて、お二人に聞けばと、そう思ったのですが」
「何かを忘れている……?うーん……それだけじゃ、私も分からないな……フィリスは?」
「私もルカと同じです、ごめんなさい」
「いえ、謝らないでください。私は一体何を忘れてしまったのでしょうか……」
私はそれがとても大切なものだったような気がする。ルカは、そう言って
悩みだした。
ルカの忘れ物……私達が何か力になれる事は無いのかな……
そんな事を考えながら、私はまた湖を見た。
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