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二人の帰った部屋

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「お嬢様、お客様が帰られました」
「ありがとう、下がっていいわ」
私はメイドにそう伝え、パタンと扉が閉まる音を聞いてからふぅ。と息を吐く。
沙羅達が家に来る、と言う話はお兄様から聞いていたけれど
まさか、あんなに心配されるだなんて……
沙羅とフィリスが帰った後、私は本を持ちながら、ぼーっと天井を眺めながら
沙羅に言われた事を思い出す。
「そんなに顔色悪かったのかしら……」
そっと、自分の頬にに手を添えてそう呟いた。
体調はもう良くなっていると、自分ではそう思っていたけれど……
「もう少し、休みましょう」
パタン、と読んでいた本を閉じ、ゆっくりと横になり目を閉じる。色々考える前に、今は休もう……そう思いながら、私は再び静かに寝息を立てて眠るのだった。
********
「ん~~よく眠った」
大きく伸びをし、固まっていた体をほぐしていく。
ベッドから出て、身支度を整え部屋から廊下へと出る。
最近、眠ってばかりいたからか、体力がだいぶ落ちている気がする。
廊下の窓から、外を眺めると綺麗なオレンジ色が広がっていた。
「綺麗ね……」
空を眺めながら、そんな独り言を呟く。
そう言えば、風邪を引く前の日も、こんな風に窓から外を眺めていたっけ。
そんな事を考えていたら、何だか外の空気を吸いに外へ出たくなってきた。
けれど、外はもう夕方。
今出て行ったら、また風邪を引いてしまうかもしれない……
「明日の暖かい時間なら……」
そう、自分に言い聞かせるように呟いて私は窓から離れた。
しばらく廊下を歩いていると、前からお兄様が歩いて来るのが見え
パタパタ、と小走りでお兄様の元に駆け寄った。
「お兄様、今日は早かったのですね?」
そう声をかけると、お兄様は私の顔を見て少しだけ驚いた表情を見せる。
けれどすぐにその表情はいつもの表情に戻り ただいま、ルカ。と言って私の頭を優しく撫でてくれた。
撫でられて少し恥ずかしい気持ちになりながらも、私はおかえりなさいと返事を返す。
「大分元気そうになったみたいだね、よかった」
「はい、沙羅達のお陰で……お兄様もありがとうございました」
「ん?なんの事かな?」
「お兄様が、沙羅達に来ていいよって言ってくれたんですよね?」
「あぁ、電話が掛かってきて、それでね」
私がお兄様に聞くと、お兄様は微笑みながらそう答えてくれた。
その話を聞いて、あの二人にも心配を掛けてしまっていたんだな、と少し反省をした。
今度、会う時は今日の事のお礼をちゃんとして、何か渡せれば……
そんな事を考えていると、お兄様は私の顔を覗き込みながら 何か悩み事?と聞いてきてくれた。
「あの二人に、何かお礼したいな……と思いまして」
「なるほどね……ルカが元気な姿を見せるだけでも、二人は喜んでくれるよ?」
「そうでしょうか……?」
「うんうん、それでも気になるなら……何かお菓子を持っていくとかなら
あの二人も、喜ぶんじゃないかな?」
そう言って、お兄様は微笑む。
確かにお菓子を持っていくのはいいかも知れない。
「そうですね!明日、早速材料を買いに行ってきます」
そう、笑顔で返すとお兄様も楽しみだね。と言って笑ってくれた。
私はそんなお兄様の顔を見て嬉しくなり はい!と元気よく返事をした。
明日がとても楽しみだ……そう思いながら、私とお兄様はリビングまでの道のりを、他愛のない話をしながら ゆっくりと歩いていった。
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