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お見舞いの帰り道

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「ルカ、元気になれそう?」
私がそう問いかけるとルカは、えぇ、沙羅のお陰で元気になれそうです。
と、笑顔で返してきてくれて、私はそれが嬉しくて良かった!と大きな声出してしまった。
フィリスがそんな私を見てクスクスと笑い、喜んでもらえて良かったですね。
と言ってくれて、私はそれにうん!と返事を返す。
「沙羅、そろそろ……」
「あ!そうだね、あんまり長居したらルカの体に良くないもんね」
「そんな、私なら大丈夫ですよ?」
「だめ!そう言ってルカはすぐ無理するんだもん!ちゃんと治ったら、私達に魔法教えて欲しいな」
「えぇ、ルカが来るまでは私達で頑張っておきますので、それまでしっかり休んで元気になってください」
フィリスの言葉に私は大きく頷いて、ルカに約束!と言うと、ルカは笑って分かったわ。と返してくれた。
そして私達はルカの部屋を後にし、帰ることにして玄関までメイドさんに見送って貰った。
「あの、今日は本当にありがとうございました!」
ぺこっ、とメイドさんにお辞儀をし、お礼を言う。
メイドさんはいえいえ、と首を左右に振りながら頭を上げてください。
と言われ、私とフィリスは頭を上げるとそこには、笑顔のメイドさんがいて
久しぶりにお嬢様の元気な姿を見れた事が嬉しかったので。
そう言ってくれたので、私は嬉しくなりありがとうございます!と大きな声でお礼を言うと、メイドさんはクスクスと笑いながら、これからもお嬢様の事よろしくお願いします。と言われた。
「もちろんです!あ、あとルカのお兄さんにもありがとうございました。と伝えて置いてください」
「かしこまりました」
メイドさんはそう言ってお辞儀をしたので、私とフィリスも頭を下げてから、ルカの家を後にするのだった……
********
ルカの家からの帰り道、私達の間に会話らしい会話は無く、ただ静かに歩いていた。
しばらく歩いていると、フィリスが私の手を取りぎゅっと握りながら 私に顔を向けた。
私は首を傾げつつ、どうしたの?と問いかけると
「手を繋ぎたいと思って……ダメでしたか?」
「ううん!嬉しい」
そう答えて、私はフィリスの手を握り返した。
チラッと、フィリスの方を見ればフィリスは少し恥ずかしそうな笑顔を浮かべていて、私もそれに釣られて頬を赤くしてしまう。
「その……ルカに私達の事言えなかったね」
「そうですね……」
私達の事と言うのは、私達が付き合ったよ、と言う報告で
いつ、ルカに伝えようか悩んでいて、今日会うんだし話してみる?と話して
いたけれど、結局ルカにその事を伝える事は出来なかった。
「ルカの体調が万全の時に改めて伝えましょう」
「うん、そうだね」
フィリスの手をギュっと握り、フィリスの顔を見れば、フィリスも私を見ていていた。
しばらくの間、ジッとお互いの顔を見つめ合う。
「ふふ、フィリスってば面白い顔」
「そういう、沙羅だって」
緊張の糸が解けたのか、私とフィリスはお互いの顔を見て笑いあった。
色々難しいこと考えていたって、仕方ないよね? 私達は私達のペースでルカに伝えればいいや……と思いながら、フィリスと手を繋ぎながら帰り道を歩いて行くのだった……
「ねぇ、フィリス」
「なんですか?」
「好きだよ」
「私も、沙羅の事が大好きですよ」
「ふふ、おんなじだね?」
それから私達は、お互いに好きと言い合って
どちらかがまた好きと言い合って お互いにお互いが大好き。と言い合った。
これからもずっと、こうしていたいな……
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