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ルカのお見舞い

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お昼休み、私はルカのお家に今日の放課後伺ってもいいか、という連絡を入れる。
数回のコール音が響いたあと、はい。と電話の向こうで声がした。
相手はメイドさんの様で、私は要件を伝えると電話の向こうの人は、少しお待ちください。と言い、少し待っていると、電話の向こうから低い声が返って来た。
「もしもし、沙羅さんだったね?」
「ルカのお兄さん!?あ、あのこんにちは!」
「こんにちは、沙羅さんは今日も元気だね」
電話の向こうのお兄さんは、クスクスと楽しそうに笑い声を上げると 何か、ルカに用事かい?と聞いて来たので私は慌ててはい。と答えた。
「ルカが風邪を引いたと聞いて……今日の放課後お見舞いに行きたい
と思って……その……」
「ルカも喜ぶと思うよ、良かったら来てあげてくれるかな?」
そう言われ私ははい!と返事をする。
ルカに会えるのが嬉しくて、頬が緩んでしまう……
「あの、えっと……じゃあ、放課後私とフィリスで伺いますね!」
「うん、ルカにそう伝えておくよ。じゃあ、放課後に」
「はい!失礼します!」
そう言って電話を切り、私は隣で話を聞いていたフィリスに顔を向けると 嬉しそうに笑う私の表情を見てか、フィリスも嬉しそうに笑った。
「よかったですね、沙羅」
「うん!あ、お見舞いに行くんだし、何か持って行った方がいいかな?」
「そうですね……行く前に何か買っていきましょうか?」
私はフィリスの言葉に頷くと、お昼を食べながら何を買うかの相談をするのだった。
*******
放課後、私とフィリスは町に向かっていた。
何を持っていくか悩んだ結果、果物にしようとなり
美味しい果物が売っているお店へと、足を運んだ。
お店に着き、店内を歩き回っていると美味しそうな果物がたくさんあり 目移りしていると、店員さんが何かお探しですか?と声を掛けてきた。
「えっと、お見舞いに行くので、果物を買おうと思って……」
「なるほど、その方はどんな果物が好きとか分かりますか?」
「うーん……あ!風邪を引いたと聞いたので、栄養の取れそうな果物がいいかなと思ってるんですけど」
私がそう伝えると、店員さんはそれならこの果物がいいかと思います。といくつかのの果物を教えてくれた、私はお礼を言いフィリスと相談する。
するとフィリスもそれがいいと思います。と言ってくれたので その果物を何個か買って、相談に乗ってくれた店員さんにお礼をし、私たちはお店を後にした。
******
「ルカ、喜んでくれるかな……」
「沙羅が選んだものなら、きっと喜んでくれますよ」
フィリスの言葉に私は、そうかな……?と自信なさげに答える。
そんな私を見てか、フィリスは優しく微笑み私の頭を撫でた。
「フィリスありがとう、少し元気出たよ」
私がそう言うと、フィリスはそれなら良かったです。
と優しく微笑んだので、私も笑顔で返した。
ルカの家の前に着き、私は一度深呼吸をした後玄関チャイムを鳴らす。
すると、はい。と声がして、私の名前を伝えると、少しお待ち下さい
と言って、メイドさんが扉を開いてくれて、家の中に入れてくれた。
そして、ここで少しお持ちください。と応接間に案内され、私とフィリスは 失礼します。と声をかけてから中へ入り、ソファーに腰を掛けた。
しばらく待っていると、メイドさんが準備出来たのでどうぞ、と
ルカの部屋まで案内してくれた。
「お嬢様、お客様がお見えになられました」
メイドさんはノックをし、そう声をかけると部屋の中から返事が聞こえてきて それを確認した後、私たちに中に入るように促した。
私はフィリスの顔を見ながら頷き返すと、ゆっくりと中へ入った。
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