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これからの事と引っ掛かる事

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私とルークは並びながら、学園からの道をゆっくり歩く。
これから、どうするのですか?と私が聞けばルークは考えるように空を見上げたあと、一度大きく頷き自分の手のひらをギュッと握った。
「アイツらを片付ける……」
「片付ける……ですか?」
「あぁ、やはりこの国の上層部は信用できない」
そう言うと、ルークは真っ直ぐに前を向く。
その瞳には強い意志が感じられて……
私もそんなルークの姿を見て、自分の胸に手を当てる。
アマミヤさんの話を改めて聞いて、私も力になりたいと強く思った。
それは、私も、ルークも、そして……沙羅とフィリスも同じだろう。
どうしてあんな人達が放置されているのか……気づくことが出来なかった自分が情けない。
「大丈夫、ルカは良く頑張っているよ」
「えっ?」
温かな手が私の頭を優しく撫でる。
なんだか、さっきまで私が沙羅とフィリスにしていた事のようで……
でも、不思議と嫌ではなくて……心が温かくなった。
「ふふ、ありがとうございます」
「うん、ルカにはその笑顔が一番良く似合う」
そう言われ、私は自分の頬を両手で包む。
顔が熱い……多分私の顔は真っ赤になっている事だろう。
そんな私を見てルークが笑うから、恥ずかしくて、誤魔化すように話をすり替える事にした。
「その!今度沙羅の所に行くとき、ルークも来ませんか?」
「え?俺も……?」
「えぇ、ルークなら何か気付くことが出来るでしょう?」
私がそう言えば、ルークはなるほど。と相槌
をし 確かにそうかもしれない。と呟く。
そして、考え込むように顎に手を当てたあと……よしっ!と小さく声を上げた。
「分かった、俺も付いていくよ。でも、邪魔になりそうになったらすぐに言ってね」
「はい、ありがとうございます。じゃあ……帰りましょうか?」
「そうだね、今日は色々と疲れたよ」
「ふふ、お疲れ様です」
今日は、本当に色々な出来事があった。
頭も心もきっとくたくただろう……
それでも、私達はまだやらなければならないことがあるのだから……
ここで立ち止まってはいられない。
「明日からまた頑張りましょう」
「そうだね、まずは今日の事を整理しなきゃ……」
ルークはそう呟いて、また難しそうな表情を浮かべる。
今日の事……それは、アマミヤさんの事やこの国の事だろう。
私も、初めて聞かされた時は本当にびっくりして、頭の理解が追い付かなかった。
……この国は、まだ何か隠している気がする、そんな気がしてならないのだ。
「ねぇ、ルーク……今から言うのは、ただの独り言なんだけれど」
「ん?」
独り言。
そう前置きをして私は、自分の考えを伝える。
「この国はまだ何か隠してる。アマミヤさんのあの表情……やっぱり、何か
隠しているような、良く分からないけれど……そんな気がするの」
「ルカ……気になるなら、調べてみるかい?」
「えっ!でも……私の考えすぎかも……」
「勘違いだったら、それでいいじゃないか」
そう言うと、ルークは優しく微笑んだ。
そうだ、ルークの言う通り何もなければ、良かったね。で終わりなんだ……
それなのに、どうして私はこんなにモヤモヤしているんだろう。
「もし……何かあったら……ルークはどうしますか……?」
「んー……じゃあ、俺達でこの国を変えちゃうとか?どうかな?」
「……ふふ、ルークが言うと、本当に出来てしまいそう」
「ルカと一緒なら、何だって出来るよ」
そう言って、ルークは私の手を取った。
そして……そのまま私の手の甲にチュッと口付けを落とす。
その仕草があまりにも自然で私は反応出来なかった。
でも、今の出来事を理解すると、顔に熱が集まるのを感じる。
そんな私を見て、ルークはくすっと笑った。
あぁ……やっぱりルークには敵わないです……
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