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「ふぅ~~やっと終わったよ~~」
「ふふ、お疲れ様です。よく頑張りましたね」
「フィリス……!!もっと褒めて~!」
「よしよし、いい子です」
フィリスはそう言って、私の頭を優しく撫でて褒めてくれる。
フィリスの方をチラッと見れば、満面の笑みで私を見つめていて つられて私も笑顔になってしまう。
「ふふ、本当にお二人共仲良しなのですね」
私がフィリスと笑い合っていると、アマミヤさんが微笑ましそうにこちらを見つめそう呟くと、本棚の隙間から、ニヤニヤとしながら、ウィル先生が顔を出した。
「そうそう、僕も見てて恥ずかしいくらいだよ」
ウィル先生は呆れながらも私達の事を見ていた。
すると、フィリスは小さく咳払いをして私の頭から手を離した。
「こほん、覗き見だなんて趣味が悪いんじゃないんですか?ウィル先生」
「えぇ!?何で僕が怒られてるの?!」
「当然です、ねぇ?沙羅」
「あはは……まぁ、ウィル先生も悪気があった訳じゃないから、許してあげてよ」
私が苦笑いを浮かべながらそう言うと、フィリスは不満そうな表情を浮かべるが、それ以上は何も言わなかった。
ウィル先生は安心したように一息吐くと、私達の前の席に腰掛ける。
「さてと、ちゃんと出来たのか見せて貰おうかな」
「はい、お願いします!」
私はウィル先生にノートを差し出すと、ウィル先生はノートを開いてそれに視線を落とした。
しばらく沈黙が続き、私は不安に思いながらウィル先生の答えを待った。
……しばらく待つと、ウィル先生がノートから視線を外して私の方を見つめた。
そして、優しく微笑みながら口を開いた。
「よく頑張ったみたいだね、お疲れ様」
「ありがとうございます……!!」
「フィリスさんも、ちゃんと理解出来たみたいで安心したよ」
ウィル先生は腕を組み、うんうん、と頷きながら私達の事を見つめている。
安心したせいか、体の力が抜けて机に突っ伏す様に顔を下げた。
すると、横からクスクスと笑い声が聞こえてきて視線を上げると フィリスが私を見て微笑んでいた。
「頑張りましたね、沙羅」
「うん、フィリスも……これで後は、ルカの授業を受けるだけだね」
「はい、それまでは少し休憩です」
そう言って、フィリスはまた私の頭を撫でた。
子供扱いされてる様でちょっと恥ずかしかったけれど 不思議と嫌な感じはしなかったのでそのまま頭を撫でられる事にした。
すると、ウィル先生が立ち上がり私達の事を見てから口を開いた。
「僕はおじゃま虫みたいだから、退散するよ。お疲れさまでした」
そう言ってウィル先生は手を振り図書室から出て行った。
それを見ていたアマミヤさんは、ウィル先生ってホントに分からないのね。と
小さく呟いた。
「変わらないってウィル先生が?アマミヤさんはウィル先生と知り合い
なんですか?」
「えぇ、ウィル先生には昔色々とお世話になったんです」
にっこりと微笑むアマミヤさんを見て、私は少し考え込んだ。
ウィル先生の性格はあんな感じだから、お世話になってても不思議ではないけれど、でもアマミヤさんの表情からは普通の生徒と先生と言う関係には見えなかった。
「色々気になるっていう顔をしてますね、でも高木さんが思うような関係ではありませんよ」
私の思っていた事を読み取ったのか、アマミヤさんはそう言ってクスッと笑った。
「一言で表すのなら……そうですね、聖女様と同じような関係、と言えば
分かりやすいでしょうか?」
そう言って楽しそうに笑うアマミヤさんを見て、私は納得するしかなかった。
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