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学園の中を探索
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「そうだ、折角ここまで来たんだから二人に会っていくかい?」
「えっ?いや、今日は挨拶だけと思って来たので……ご迷惑じゃないですか?」
私が遠慮すると、ウィル先生はそんな事無いよ、と言って笑った。
「今は授業中だから……会えるのは放課後になっちゃうけど、どうかな?」
「そこまで言われたら断れませんね……」
私がそう言うと、ウィル先生はちょっと待ってて、と言って部屋を出て行った。
そして数分後、学園長室に戻って来たウィル先生は二人とも、大丈夫だって
言っていたよと嬉しそうに言って来た。
「随分と早かったですね」
「まぁね!さて、放課後まで時間あるけどどうする?」
「そうですね……久しぶりに学校の中を歩いても良いでしょうか?勿論
生徒たちの迷惑にならない範囲で」
「もちろん!大丈夫だよ、ね?学園長」
「あぁ、勿論。君の好きな様に過ごして構わないよ」
二人にそう言われて私はありがとうございます、と言って学園長室を後にした。
そしてそのまま来た道を戻り廊下に出ると丁度授業終わりの鐘が鳴り響き、生徒達はぞろぞろと廊下に出てきた。
「御機嫌よう、皆さん」
「えっ!!??!聖女様!!?聖女様がどうしてここに!!?」
「わっ!本物だ!」
生徒達は私を見かけると一気に周りに集まってきて、わぁわぁと騒ぎ始めた。
けれどそんな生徒達を静めるようにウィル先生がぱんっと手を叩いてみんなの気を引いた。
するとみんな一斉に静かになり、私の方を見た。
「はいはーい、皆静かに。聖女様はお仕事で来てるので邪魔しちゃダメですよ~」
「ウィル先生、ありがとうございます。皆さん、お騒がせしてしまってごめんなさい、お勉強頑張ってくださいね」
私がそう言うと生徒達は凄い嬉しそうに笑って私に手を振りながら廊下を歩いて行った。
そして残ったのはウィル先生と私だけだった。
するとウィル先生は、くすくすと笑い出した。
どうしたのだろうと思い首を傾げると、ウィル先生か口を開いた。
「あの頃の君からは想像できないな、って思って」
「それ嫌味ですか?」
「まさか、僕も授業あるしこの辺で。放課後までゆっくりして行ってね」
ウィル先生はそう言うと私の頭にぽん、と手を置いてそのまま去って行った。
そんなウィル先生の後ろ姿を見つめながら、私は図書室へと向かう事にした。
******
「ここも変わらないのね……」
キョロキョロと、図書室の中を見渡す。
図書室の中は、昔とと変わらない光景がそこにはあった。
沢山並んだ本棚に、沢山の本……まるでここが別世界に感じられる程だった。
懐かしいなぁと思いながら私はそっと一冊の本を手に取った。
「この本……私がいた時にもあった気がする」
その本は、異世界から女の子が現れて、その女の子に恋をした男の子が色々あって両想いになる話だった。
「今思うと、この話沙羅の事にそっくりね」
独り言を呟きながら、私は本を本棚に戻した。
「そう言えば、この本の作者……見慣れない名前なのよね、もしかしたら
沙羅の前にも異世界から来た人がいて、その人がこの本を置いて行った……なんて考えすぎかしらね」
一人でくすくすと笑いながら、私はもう一冊の本を手に取った。
「えっ?いや、今日は挨拶だけと思って来たので……ご迷惑じゃないですか?」
私が遠慮すると、ウィル先生はそんな事無いよ、と言って笑った。
「今は授業中だから……会えるのは放課後になっちゃうけど、どうかな?」
「そこまで言われたら断れませんね……」
私がそう言うと、ウィル先生はちょっと待ってて、と言って部屋を出て行った。
そして数分後、学園長室に戻って来たウィル先生は二人とも、大丈夫だって
言っていたよと嬉しそうに言って来た。
「随分と早かったですね」
「まぁね!さて、放課後まで時間あるけどどうする?」
「そうですね……久しぶりに学校の中を歩いても良いでしょうか?勿論
生徒たちの迷惑にならない範囲で」
「もちろん!大丈夫だよ、ね?学園長」
「あぁ、勿論。君の好きな様に過ごして構わないよ」
二人にそう言われて私はありがとうございます、と言って学園長室を後にした。
そしてそのまま来た道を戻り廊下に出ると丁度授業終わりの鐘が鳴り響き、生徒達はぞろぞろと廊下に出てきた。
「御機嫌よう、皆さん」
「えっ!!??!聖女様!!?聖女様がどうしてここに!!?」
「わっ!本物だ!」
生徒達は私を見かけると一気に周りに集まってきて、わぁわぁと騒ぎ始めた。
けれどそんな生徒達を静めるようにウィル先生がぱんっと手を叩いてみんなの気を引いた。
するとみんな一斉に静かになり、私の方を見た。
「はいはーい、皆静かに。聖女様はお仕事で来てるので邪魔しちゃダメですよ~」
「ウィル先生、ありがとうございます。皆さん、お騒がせしてしまってごめんなさい、お勉強頑張ってくださいね」
私がそう言うと生徒達は凄い嬉しそうに笑って私に手を振りながら廊下を歩いて行った。
そして残ったのはウィル先生と私だけだった。
するとウィル先生は、くすくすと笑い出した。
どうしたのだろうと思い首を傾げると、ウィル先生か口を開いた。
「あの頃の君からは想像できないな、って思って」
「それ嫌味ですか?」
「まさか、僕も授業あるしこの辺で。放課後までゆっくりして行ってね」
ウィル先生はそう言うと私の頭にぽん、と手を置いてそのまま去って行った。
そんなウィル先生の後ろ姿を見つめながら、私は図書室へと向かう事にした。
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「ここも変わらないのね……」
キョロキョロと、図書室の中を見渡す。
図書室の中は、昔とと変わらない光景がそこにはあった。
沢山並んだ本棚に、沢山の本……まるでここが別世界に感じられる程だった。
懐かしいなぁと思いながら私はそっと一冊の本を手に取った。
「この本……私がいた時にもあった気がする」
その本は、異世界から女の子が現れて、その女の子に恋をした男の子が色々あって両想いになる話だった。
「今思うと、この話沙羅の事にそっくりね」
独り言を呟きながら、私は本を本棚に戻した。
「そう言えば、この本の作者……見慣れない名前なのよね、もしかしたら
沙羅の前にも異世界から来た人がいて、その人がこの本を置いて行った……なんて考えすぎかしらね」
一人でくすくすと笑いながら、私はもう一冊の本を手に取った。
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