若い聖女が現れたから私はお役御免！？それならこっちから婚約破棄します！ ～今更私の力に気づいて戻ってきてと言ってももう遅いです～

ルカに相談

「さっきも話したんだけどさ、結局ウィル先生って何者なんだろう……」
私がボソッと呟いた言葉に、フィリスはそうですね……と言葉を返す。
「魔法使いとか言ってたけれど、私達をからかってるだけかもしれないし、それに私とルカが似てるって……やっぱり、おかしいよ」
そう、ルカはこの世界最強と言われている聖女様で、私はよその世界から来た
ただの高校生で……
「でも、ウィル先生がおっしゃっていた事に嘘があるとは思えませんでした」
そう言ってフィリスは紅茶を一口飲んで、ふぅ……とため息をつく。
そして私の方を向いて話し始めた。
何か決意を固めたように、強い意志を感じる瞳だった。
「私は、沙羅がルカを超える聖女になれる可能性があると信じています」
フィリスはそう言い切って、真っ直ぐに私を見る。
そんなフィリスの瞳を私も見つめ返しながら口を開く。
「そんな事言ったらダメだよ…………」
私がそう言うと、フィリスは首を横に振った。
「私は、いつかルカと沙羅が並んでいる所を見たいと思っています。そして
私は二人の事を後ろからサポートできるような、そんな
人間になりたいんです」
フィリスはそう言って、微笑んだ。
そんなフィリスを見て、私は思わず泣きそうになった。
だって……そんな風に思ってくれるなんて思いもしなかったから。
「フィリスがそんな事を思っているなんて知らなかった……」
「今初めて言いましたからね。」
「でも……フィリスがそんな事を思っているのに、私が弱音を吐いてちゃダメだよね！」
そう言って私が立ち上がると、フィリスも立ち上がった。
そして2人で見つめ合いながら笑い合った。
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フィリスとの話も終わり、私は自分の部屋に戻る。
ベッドにダイブし天井を見ながら、これからどうしようかと考えた。
「明日になったら、先生に話してみようかな……」
と言っても、ちゃんと話を聞いてもらえるかは分からないけれど
でも、話してみなきゃ分からないし、と自分に言い聞かせて、ベッドの上に転がっているスマホに手を伸ばした。
「ルカにも言わないとだもんね」
そう呟いて、ルカに電話を掛けた。
数回のコール音の後、電話越しから、はい。というルカの声が聞こえた。
「あ、もしもしルカ？今大丈夫かな？」
『はい、大丈夫ですが……こんな時間に電話だなんて珍しいですね？何かあったのですか？』
「うん……えっと……ルカはウィル先生って知ってる？」
そう、私がウィル先生の名前を出すと、ルカは驚いたような声を上げ、勿論知っています。と
返事を返した。
「その……まずは、ごめんなさい。私、ウィル先生からルカの事を聞いちゃったの…………」
『私の…………そうですか。でも、沙羅が謝る事ではありません、私も気にしませんから』
「ルカ…………ありがとう、それでね私…………」
『ウィル先生に魔法を教えて貰いたい。違いますか？』
そう言ってルカは、クスクスと笑った。
まだ、私が何も言っていないのに、私が言いたかったことを
言い当てられて 私は、思わずドキッとしてしまった。
そんな私にルカは楽しそうに、やっぱり、あの頃の私と同じなのね。と言って
『私はいいと思うわ、というか、私も先生に少し手伝って貰おうと思っていたから』
「えっ……じゃあ……」
『でも、先生には沙羅から伝えるのよ？そうしないと意味が無いから』
「う、うん……！ありがとう、ルカ」
『いいえ、じゃあおやすみなさい、沙羅』
「うん、おやすみなさい、ルカ」
そう言って電話を切った、良かった……これで、明日先生に話せば大丈夫だ。
そう思って安心した瞬間、睡魔が襲ってきて、私はいつの間にか眠りに落ちていた。