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放課後の生徒会室で

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「ふぁっ………」
先生に気付かれないよう、欠伸を噛み殺す。
お昼を沢山食べたせいか、強い眠気が襲ってくる。
けれど、居眠りなんてしてしまったら、フィリスに怒られてしまうので 私は必死に眠気と戦う。
「沙羅………大丈夫ですか……?」
小声で私に話し掛けてきたフィリスの方を向くと、フィリスは心配そうな表情で こちらを見ていた。
私はそんなフィリスに大丈夫、少し眠いだけだからと、小声で返事をする。
その後も、なんとか眠気と戦い授業を乗り切り、約束をした放課後を迎えた。
******
「フィリス、もう行けそう?」
「えぇ、沙羅も大丈夫そうですか?」
「じゃあ行こうか?今度こそ遅刻しない様に……」
私はそう言って、フィリスに向けて手を差し出した。
そんな私の手を見て、フィリスは優しく微笑むと私の手を握った。
そして、私達は生徒会室に向かって歩き出した。
******
コンコン、と生徒会室の扉をノックすると、中から
どうぞ。と、声が聞こえてきたので私とフィリスは失礼します。
と言って生徒会室の中に入った。
生徒会室の中には、ユーリとミホがソファに座って私達を待っていた。
「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」
「ふん!今度は遅刻しなかったようね」
ミホは腕を組んで、ジロッと私を睨む。
そんなミホの視線を受け止めながら私は苦笑いを浮かべる。
「あはは……お昼はごめんなさい」
私はそう言って、頬をポリポリとかいた。
ユーリはそんな私を見てクスクスと笑うと、大丈夫気にしないでください。と言って優しく微笑み返してくれた。
そんな中フィリスはと言うと、ムスッとした表情で私の事を睨んでいた。
「ユーリにそんなこと言われたからってそんな表情するんですね」
「えっ!?ちが、違うよ!??!」
「ふーん……」
じとっ、とフィリスは私を睨む。
その視線が痛くて私はそっと目線を逸らした。
「ふふ、イチャイチャするのはそこまでにして、お手伝い宜しくね?」
「は、はい!」
************
「あの、この書類は……」
「あぁ、これはあっちのファイルに仕舞ってくれたらいいわ」
「ありがとう」
書類整理をしながら、私はあの時の事を思い出す。
学園であんな騒動があったと言うのに、学園の生徒や先生達は
その出来事を知らないと言った。
いや………知ってる先生は一人だけいたっけ。
「ねぇ……ウィル先生って何者なんだろうね」
「いきなりどうしたのよ」
「いや、ウィル先生ってさあの時の事覚えてたし、ポーションの為の薬草の事とか、とにかく色々な事知りすぎじゃない?」
「まぁ………それは思った事あるけれど……」
「でしょ!?」
ミホは書類整理をしながら、私の話に相槌をうってくれた。
そんなミホの言葉を聞いて、私は目をキラキラと輝かせる。
「沙羅?無駄話してないで手を動かしてください」
「えーフィリスだって気にならない?それに、なんかルカとも面識が
ありそうな感じだったし……」
「でしたら、本人に聞いてみてはどうですか?」
ユーリはそう言って、机の上に置かれたティーカップを手に取った。
そして、一口飲むと机の上に置きまた書類に目を通した。
「本人にかぁ………教えてくれると思う?」
「私に聞かないでよ……」
「だよねぇ……」
私は、はぁ……と溜息をつき書類整理を進めた。
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