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楽しい時間は過ぎていき……

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「ふぅ……なんだか、沢山お話しちゃいましたね」
ソファに深く座り直し、三人の顔を見ながら今まであった事を思い出す。
婚約破棄してルークと一緒になり、沙羅とフィリスに出会い、魔女に会い……今までいろいろな事があった。
ソファに座りながら、ルークの顔をチラッと見ると、ルークは不思議そうに首を傾げ私の事を見ていた。
本当に色々な事があったけれど、やっぱり……ルークに出会えた事が私にとっては一番大きな出来事だった。
「さてと!沙羅にフィリス、そろそろ帰ろうか?」
「えぇ~~まだ遊びたいよ~~」
「今日は外泊許可を貰っていないでしょ?」
「そう言えばそうだった……!!」
三人のやり取りを眺めながら、私はクスクスと笑っているとルークは私の方を見て微笑んだ。
沙羅達が楽しそうに話しているのが嬉しいのか、ルークの表情はとても穏やかで優しい顔をしていた。
皆で過ごせる時間も、もうあと少しだと思うと少し寂しいけれど……
でも、今まで築き上げた関係がこれで終わりじゃないと私は思っているから。
「じゃあそろそろお開きにしましょうか?皆さん今日は本当にありがとうございました、ルークも本当にありがとうございました」
「ルカ……」
「ふむ…………」
「エミリア……?」
「よし!今日ルークはルカのお家にお泊りね!」
「えぇ!?エミリアいきなり何を……」
私は、突然のエミリアの言葉に驚きを隠せなかった。
すると、ルークも少し困ったような顔を浮かべて私と顔を見合わせて
いた。
「だって、まだ話したりないって顔してたんだもん」
「えっ……いや、まぁ……それは思ってたけど」
「ほら!ルカもでしょ?」
「えっ!?」
いきなり話を振られて、私は戸惑いを隠せなかった。
確かにもっと話したいし……でも、ルークが迷惑じゃ無いかなって思うとなかなか言い出せない。
そんな私の気持ちを察してかエミリアはニヤニヤしながら私を見つめてくる。
ルークも私の事をチラチラ見ながら何かを言おうとして悩んでいるようだった。
「ほら!ルカも素直になっちゃいなよ~」
そう言ってエミリアは私の背中をトンっと押した。私はバランスを崩しルークの胸に倒れてしまった。
私の体は、ルークの腕に包まれて抱きしめられているような……そんな体制になり私は恥ずかしくなり体を離そうとしたけれど ガッチリと腕を掴まれていて身動きが取れなかった。
そして耳元で小さく囁かれる。
「ルカは俺と一緒にいたくないの?」
そう甘い声で囁かれ私の体は一気に熱くなった。
もう、絶対顔が真っ赤になってる……そんな事を考えていると、エミリアがクスクスと笑いながらこちらを見ていた。
私はそんなエミリアの視線に耐えられず顔を逸らすとルークは悪戯っぽく微笑んでいる。
「じゃあ、今日はここまでって事で。ありがとうエミリア」
「いえいえ~さっ!後は二人の時間だから私達は帰りますよ~」
そう言ってエミリアは、沙羅とフィリスを連れ荷物をまとめ始めていた。
ルークが私の家にいる
だなんて、ドキドキして
心臓が止まりそう……
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