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皆のために美味しいご飯を

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黙々と作業をする事数時間……
この沈黙を最初に破ったのはエミリアだった。
「あ~~~疲れた~~~」
そう言ってエミリアは机に伏せて動かなくなる。
私は、そんなエミリアを見ながら、他の人達の様子を観察する。
どうやら、疲れているのはエミリアだけでは無くて、皆も疲れた表情をしていた。
それもそのはず……時計を見れば、時間はもうお昼過ぎ。
朝から作業をしていれば、疲れるのは当然だろう。
「皆さんそろそろ休憩しましょうか?」
「えっ?でも……」
「もうお昼ですし……昼食をとってからまた作業を再開しましょう?」
私がそう提案すると、皆はそうだね。と言って頷いてくれた。
まずは休憩する事が大切だ、そう思い立った私はキッチンへと 向かい料理を作り始めることにした。
「あっ!私も手伝うよ?」
「私もやる!」
「私も手伝いますよ」
三人が、そう申し出てくれたけれど私は……
「いえ、私だけで大丈夫です。皆さんは休んでいてください」
そう言って、私一人キッチンへと向かった。
******
キッチンに着くとそこには、私の家の料理人達が勢ぞろいしていた。
「お嬢様!?こんな所に何か御用でも?」
「えぇ、皆さんにお昼を作ろうと思いまして」
「そんな、皆様のお食事は私達が作るのでお嬢様は……」
「いいえ、私が作りたいの。邪魔はしないから……私に作らせてくれないかしら?」
私がそう言うと、料理人達は少し困ったような表情をしたが、私の気持ちを 汲み取ってくれたのか分かりました。と言ってくれた。
「ありがとうございます……!!」
そうお礼を言って、厨房に置いてあるエプロンを身に着けた。
でも……何を作ろう?そんな難しいものはまだ私には作れないし
かと言って、簡単すぎる物も失礼かもしれない……
「あのお嬢様、何かお手伝い出来る事はございますか?」
「えっ?」
悩んでいる私に、料理人達が私に声を掛けてくれた。
一人で抱え込んでいても仕方ないし……ここはお言葉に甘えよう。
「その、何を作るか悩んでしまって」
「そうでしたか、でしたら……」
そう言って、料理人達は私にいくつかの料理のアイディアを授けてくれた。
その中で私は、一つの料理を思いついたので作る事にした。
まずは、ジャガイモやニンジンなどの野菜の皮を剥いて
それを、一口大に切って鍋に入れ鍋を火にかけ、野菜たちを炒める。
その野菜たちを炒めている間に、大きいお肉の塊を一口大に切り、野菜たちが油に馴染んだらお肉を鍋に入れて野菜たちと一緒に炒める。
「あとはここにお水を入れて煮るだけね……煮てる間にサラダでも作りましょう」
そう決めて、私はサラダを作る準備を始めた。
レタスにトマトの簡単なサラダも作り終わり、数分経ったあたりで鍋の火を止めて野菜とお肉に火が通ってるのを確認した後、鍋の中にルーを入れて溶かす。
溶けたのを確認してから火をまた付けて、かき混ぜてルーを全体になじませる。
「出来た……」
「お嬢様お疲れ様です、後の事は私達がやっておきますので、お嬢様は皆様を呼んできてください」
「そうですね、あの、ここまでありがとうございました」
「いえ、お嬢様のお役に立てて光栄です」
そんな言葉を交わし、私は皆が待つ自室へと戻る事にした。
自室に戻りながら私は、皆待っているだろうか?とか喜んでくれるだろうか?とか、そんな事を考えながら自室へと戻った。
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