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久しぶりのお茶会

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「へ~そんな事があったんだ」
「はい……」
「何だか少し気になりますね……」
「フィリスもそう思いますか?沙羅はどう思いますか?」
「ん~でも、そんなに気にしなくても良いんじゃないかな?」
私の目の前に座る沙羅は、ニコニコと笑いながらお茶を飲む。
私達は今、久しぶりに私の家に集まってお茶会をしている。
あの日から皆で集まるのは何だか久しぶりで、暫く沙羅達とおしゃべりを楽しんでいた。
そして今は、この間あった出来事を沙羅に話している。
劇の内容は全く違うものだったけど、細部が余りにも似ていたから少し不安になり、沙羅達に話したのだが……フィリスは少し考えているような表情をしていたけれど、沙羅は特に気にした様子もなく話を聴いていた。
「気にしなくてもいいというのは……?」
「う~ん……確かに気になるとは思うけれど、私の世界でもそう言うのあったし
気にしなくても大丈夫だと思うけどなぁ」
「沙羅の世界でも、ですか?」
「うん、まぁルカの事とはちょっと違うけど、みんなそう言う事が気になるし好きなんだよね~私の世界ではそう言うのが本とか映画とかになってたな~」
そう言って沙羅はケーキを一口食べた。
沙羅の世界でも、そういう出来事があったと聞いた私は、皆どの世界の人達も気になる事は一緒なのか、確かに気にしすぎたかもしれない……と思い直した。
すると、それまで黙っていたフィリスが口を開いた。
その表情は何処か複雑そうだ。
どうしたのだろうかと心配になりフィリスを見ていると、フィリスは私を見て言った。
「もしかしたら、私達の事情を知っている誰かが噂を流していたのかもしれません」
「え?そんな誰がそう言う事を……」
「思い当たる人と言っても…………」
「別に当事者達では無くて、たまたま私達が話している所を聞いていた城の人間やアルマの周りにいた人間が噂を流した、という可能性もあります……」
フィリスの言葉を聞いて沙羅は、う~ん……と唸りながらフィリスの話を聞いた。
私はフィリスの話を聞いて、アルマ様の周りの人物や、城にいる人達の顔を思い浮かべた。あの中に噂を流した人物がいる?
アルマ様はともかく、城の人物や周りの人達がそんな噂を流すとは……想像が付かないし、噂を流す理由が無い。
「まぁ、私の気にしすぎだと思うので気にしないでください。それに、噂が流れているけれど今の所悪い影響は出ていないでしょう?」
「そう……ですね……確かに気になる事は沢山ありますが、今は特に何も起きていませんし……あまり気にしすぎないようにしておきます」
「はい、それがいいと思います」
フィリスの言葉に私は頷いた。
確かにフィリスの言う通り、気にはなるけれどまだ何も被害が無いのだから今は気にしないで過ごそう、町の人達もあんなに楽しんでいたんだし、それを邪魔するのも何か違う気がする。
そう思った私は、お茶を飲むと……また沙羅達とのおしゃべりに戻ったのだった。
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