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ポーションを作る為に

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「さてと、ポーションを作るのはいいけれど、材料が分からないと作れないんじゃない?」
エミリアがそう言うと、私の方に確かにと言った視線が向けられた。
私はその視線に気付き、あはは……と乾いた笑い声を上げた。
「はぁ……誰か分かる人はいるか?」
「そうですねぇ……もしかしたらウィル先生なら知っているかもしれません」
ルークとフィリスがそんな会話をしているのを、隣で聞きながら
私は一つ気になる事があった、ウィル先生は何であんなに色々な事に詳しいのだろうか……いや、先生なら色々な事を知っているのは当たり前の事なのかもしれないけれど、少し不思議に思った。
「じゃあ!ウィル先生に聞きに行けばいいんだよね?」
「そうね……でも、皆で行ったら流石に先生もびっくりするだろうし……私と沙羅で行きましょうか」
「そうだね、私達ならウィル先生も怪しまないだろうし……そうしよっか!」
「皆さんはそれでいいかしら?」
「えぇ、私は大丈夫」
「私も大丈夫だよ~!」
「俺も大丈夫だ、気を付けて行ってくるんだぞ」
「うん!じゃあ行ってきます~!」
そう言って私とフィリスは、ウィル先生の元へ向かう事になった。
*********
「と言う訳でポーションの材料を教えてください」
先生のいる教室に着いたとたん、フィリスはウィル先生に向かってにっこりと
笑いそう言った。
ウィル先生はそんなフィリスを見て、一瞬驚いた顔をしたけれどすぐに笑顔に戻り それならと口を開いた。
「ポーションの材料?そんなの君達が一番知っているんじゃないか?」
ウィル先生は、私達を見ながら不思議そうな顔をした。そんな先生の様子を見て 私とフィリスは一度顔を見合わせた後、どう説明しようかと頭を悩ませた。
すると、その様子を見ていた先生が笑いながらこう言った。
「なるほど、君たちはまた何か企んでるんだね……しょうがない、話だけは聞いてあげるよ」
「先生……!!」
先生は、私達を見て何かを企んでるのだろうと思ったのか 話を聞くだけ聞いてくれるというので、私達はポーションの材料について説明した。
説明を聞いた先生は、一瞬驚いたような顔をしたがすぐにいつもの表情に戻り
すぐに、近くにあった本を取り出しパラパラとページを捲り始めた そして、あるページで手を止めると私達の方を見て口を開いた。
そのページには、綺麗な紫の花が書かれた絵が描かれていた。
「このお花は……?」
「これが君達が求めてる花だと思うよ、他にも聖水といつもの薬草を入れれば完成するんじゃないかな?」
先生は、そう言ってにっこりと笑った。
まさか、こんなすぐに見つかると思わなくて、私とフィリスは顔を見合わせ驚いた。
だって私達も本で調べたりしたのに何も見つからなくて……けれど、先生は簡単に答えを出してしまったのだから……私達が驚いている事に気が付いたのか、ウィル先生笑いながら口を開いた。
「昔ね、君達みたいな事を聞きに来た生徒がいたんだよ」
「私達みたいに……?」
「そう、理由は聞かなかったけれどポーションを作りたいって言ってね。さて……ポーションを作るなら早く戻った方が良いんじゃない?」
「はい……っとそうだ!このお花は何処に……?」
「えっと~この辺りだと、裏の森だったかな?他の先生には黙ってるから安心して」
ウィル先生はそう言って、口元に人差し指を当てにっと笑った。
これでポーションが作れる……私達は、先生にお礼を言って急いで教室を出た。
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