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ミホの聞きたかった事

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お昼にミホの元に行こうと思っていたけれど、結局放課後になってしまった。
きっと、ミホは怒ってるだろうな……と思いながらも、ミホのクラスへと向かった。
「ミホは……あっ、いた!み……」
「遅い!お昼に来るって約束じゃ無かった?」
私がミホを呼ぶ前にミホが私の事を見つけ、こっちへとやって来た。
ミホは、ムスッとした顔をしながら私にそう言った。
「ごめんね……行こうと思ったらお昼終わっちゃって……」
私は素直に謝った。
だって、約束破っちゃったの私だし……
「はぁ……まぁいいですけど、あら?フィリスさんはいないのね?」
「うん、フィリスは先に帰るって」
「そう……まぁいいわ、行きましょう」
ミホはそう言って、私の手を引き、歩き出した。
一体どこに行くのだろう?と思いながら私は黙ってミホに手を引かれながら歩いた。
暫く歩くと、いつもお昼を食べている裏庭に着いた。
「さて、ここなら多分誰も来ないわね」
ミホは辺りをキョロキョロと見渡しながらそう言った。
どうして、人目を避けるのだろうか……何か特別な理由が?と私は思った。
すると、ミホが急に私の方を向いたかと思うと、私の肩を掴んだ。
その瞬間に私が感じていた嫌な感じが強くなった。
「もう一度聞くわ、今日シロさんに会った?」
「う、うん……会ったと言っても後ろから声を掛けられただけ
だけど……」
ミホに、そう答えるとミホは何か考え込んでしまった。
そして、すぐにハッとするとまた質問してきた。
「その時に何か言ったりしなかった?」
「特に何も……フィリスに引っ張られてすぐにそこを離れたから」
私はその質問に正直に答えた。嘘ついたりなんかしたらもっと厄介な事になりそうで怖かったから……
「そうなのね……」
「お昼も聞いてきたけど、どうしてそんな事を?」
「……今日ね、会長の機嫌が凄く悪かったの。何かあったのかと聞いてみたら城さんが沙羅と話していたからと言っていて、貴女が何かしたのかと思ったけど……そうじゃなかったのね」
ミホは、顎に手を置き暫く何かを考えた後、私の方を見るとにっこりと笑ってきた。
その笑顔が何だか怖く見えるのは気のせいだろうか……
「もう、いいわ……帰る」
「えっ!?私に用事ってそれだけ?もういいの?」
「えぇ、でも特に欲しい情報は無かったから」
そう言うとミホは、私に背を向け歩いて行ってしまった。
結局ミホは何を知りたかったのだろう、それにミホがシロの話をする時に一瞬見せたあの嫌な感じ……
あれは一体なんだったのだろう、私には想像出来ないような事が起こっている様な気がしてならなかった。
私は、不安な気持ちになりつつ寮へと帰った。
*******
「沙羅……!お帰りなさい、無事だったのですね」
「フィリス……ただいま、そんな心配する様な事にはなって無いよ」
「そうならいいのですが……」
自分の部屋に行くと、フィリスが
心配そうな顔をして私の元に駆け寄って来た。
私は、すぐに笑顔で大丈夫だ、と言うように大丈夫アピールをした。
そんな私に対して、フィリスは心配そうな目をしていた。
「本当に何もなかったから大丈夫だよ!」
私が笑顔でそう言うと、まだ納得していない
ような顔をしていたけれど、少し安心したのか笑顔になった。
「それで、どんなお話をしたんですか?」
「ん~なんか会長の機嫌が悪いとかなんとか……それで、私が何かしたんじゃないかって」
フィリスに、さっきミホと話をした事を話すと、フィリスも不思議そうな顔をして私と同じ様に首を傾げた。
ミホは、本当に何をしたかったのだろう……
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