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沙羅の相談
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「私ね、今学園で変な噂を立てられているの」
「えっ……!沙羅がですか……?!そんな人がいるはず……」
「いるんだ、ははっ笑っちゃうよね?」
そう言って沙羅は苦笑いをした。
沙羅と過ごした時間は長い訳では無いけれど、こんな風に笑う沙羅は初めて見た。それが、余計に今の状況を物語っているようで胸が苦しくなった。
沙羅がこんな状況になっている事に気付かないだなんて……聖女失格だ。
「一体いつからそんな事が……」
「んー……ルカ達がこっちを離れて少し経ってからかな、先生から噂の事を聞いたの。最初は嘘かと思ったんだけれど、私の事を遠目から見てヒソヒソと話している生徒を見て……あぁ、これは何かあるなって思って調べてみたら………ね」
沙羅は淡々と話しているけれど、どんなに辛い思いをしたのだろうか……そう思うと、私は悔しくて仕方がなかった。
聖女として、友達として……もっと早く何とか出来ていれば……
「噂と言うのは具体的にどういう内容なんでしょうか?」
私はどうしても知りたかった。
沙羅を苦しめている原因を。
すると、沙羅は俯きながら口を開いた。
でも、言葉を発するのを躊躇っていた。
きっと、それは沙羅自身が言いたくない事なのかもしれない。
「ごめんなさい、踏み込みすぎました……嫌なら話さなくても大丈夫ですよ」
そう言って、沙羅に微笑みかけた。
沙羅を困らせたくはない。
だけど、沙羅は首を横に振った。
それから、また黙り込んでしまった。
「沙羅……」
「……私がね、私が本当は偽物の聖女で、この国を滅ぼそうとしているらしい。
だっけかな、笑っちゃうよね、私がそんな事をする筈無いのにさ」
「沙羅……ごめんなさい、私が近くに居れば沙羅の事を守ってあげられたのに」
「そんな気にしないで!噂はびっくりしたけれど、フィリスがね一緒にいてくれたから……」
そう言って沙羅は、ふわっと優しい笑顔を見せてくれた。
その笑顔を見て私は安心した、沙羅とフィリスがこの間よりも仲が深まっていっているのが伝わってきたから。
沙羅が心を許せる友達が出来た事も私は嬉しかった。
「フィリスがいてくれて良かったですね」
「うん!それで、噂の話はとりあえず解決したんだけれど……ちょっと調べたい事があって……ルカはユーリって人知ってる?」
「ユーリですか?もしかして、学園の生徒会長のですか?だったら良く知っていますよ、前に学園に授業しに行ったとき挨拶したことがありますし……沙羅の方が詳しいのではないのですか?」
「うーん……まぁ、そうなんだけど」
「そうですねぇ……そう言えば、あの子とは昔会ったことがあった様な……」
「ほんと!それっていつ!?」
「ちょっと待ってください、今思い出しますから」
沙羅に急かされながらも、私は必死に記憶を辿っていった。
確か……あれは、私が聖女としてこの国を巡っていた時だった気がする。
あの子は、誰かと一緒にいて……私に聖女はどんな事をするのかとか聞かれた気がする……その時の事は、今でも鮮明に覚えている。
その思い出した話を沙羅にすると、沙羅は少し考え込むような
仕草をして、何かを決意したように私を見た。
「その子とはその時だけ話したの?」
「んー確か別の日にも会いましたね、その時はユーリ一人で……お友達はどうしたの?と私が聞いたらあの子は、”一緒に教会に行こうねって約束したのに一人で行っちゃった、私の事をバカでのろまだって言ってたって聞いた”って泣きながら言ってたの、私はその場で慰める事しか出来なかったんだけれどね……」
あの時は私自身も幼かったから、上手く対応できなかったのだ。
今あの子に会えばきっと別の方法を考えてあげられた筈なのに……
沙羅も何か思い当たる節があるみたいで、私の話を聞いて何かを考えていた。
そして、しばらく沈黙が続いた。
沙羅は一体何を考えているのだろうか……? そう思っていると、沙羅が口を開いた。
「なるほど……変なこと聞いちゃってごめんね?教えてくれてありがとう」
「いいえ、沙羅が聞きたい事はもう大丈夫ですか?」
「うん!色々助かったよ~」
「それなら良かったです、時間もまだあるみたいですし……少し遊びに行きますか?」
「ん~ちょっと考えたい事があるから、また今度でもいいかな?」
「もちろん、今度はエミリアとルークも誘って出かけましょう」
「うん!フィリスも呼んで皆で遊ぼう!じゃあ今日は本当にありがとう!またね~」
「はい、また」
そんなやり取りをして、沙羅と別れた。
私の話を聞いた沙羅の様子が少しおかしかったような気がするけれど……
まぁ、沙羅にも色々とあるだろうと、そんな事を考えながら私も家に帰る事にした。
「えっ……!沙羅がですか……?!そんな人がいるはず……」
「いるんだ、ははっ笑っちゃうよね?」
そう言って沙羅は苦笑いをした。
沙羅と過ごした時間は長い訳では無いけれど、こんな風に笑う沙羅は初めて見た。それが、余計に今の状況を物語っているようで胸が苦しくなった。
沙羅がこんな状況になっている事に気付かないだなんて……聖女失格だ。
「一体いつからそんな事が……」
「んー……ルカ達がこっちを離れて少し経ってからかな、先生から噂の事を聞いたの。最初は嘘かと思ったんだけれど、私の事を遠目から見てヒソヒソと話している生徒を見て……あぁ、これは何かあるなって思って調べてみたら………ね」
沙羅は淡々と話しているけれど、どんなに辛い思いをしたのだろうか……そう思うと、私は悔しくて仕方がなかった。
聖女として、友達として……もっと早く何とか出来ていれば……
「噂と言うのは具体的にどういう内容なんでしょうか?」
私はどうしても知りたかった。
沙羅を苦しめている原因を。
すると、沙羅は俯きながら口を開いた。
でも、言葉を発するのを躊躇っていた。
きっと、それは沙羅自身が言いたくない事なのかもしれない。
「ごめんなさい、踏み込みすぎました……嫌なら話さなくても大丈夫ですよ」
そう言って、沙羅に微笑みかけた。
沙羅を困らせたくはない。
だけど、沙羅は首を横に振った。
それから、また黙り込んでしまった。
「沙羅……」
「……私がね、私が本当は偽物の聖女で、この国を滅ぼそうとしているらしい。
だっけかな、笑っちゃうよね、私がそんな事をする筈無いのにさ」
「沙羅……ごめんなさい、私が近くに居れば沙羅の事を守ってあげられたのに」
「そんな気にしないで!噂はびっくりしたけれど、フィリスがね一緒にいてくれたから……」
そう言って沙羅は、ふわっと優しい笑顔を見せてくれた。
その笑顔を見て私は安心した、沙羅とフィリスがこの間よりも仲が深まっていっているのが伝わってきたから。
沙羅が心を許せる友達が出来た事も私は嬉しかった。
「フィリスがいてくれて良かったですね」
「うん!それで、噂の話はとりあえず解決したんだけれど……ちょっと調べたい事があって……ルカはユーリって人知ってる?」
「ユーリですか?もしかして、学園の生徒会長のですか?だったら良く知っていますよ、前に学園に授業しに行ったとき挨拶したことがありますし……沙羅の方が詳しいのではないのですか?」
「うーん……まぁ、そうなんだけど」
「そうですねぇ……そう言えば、あの子とは昔会ったことがあった様な……」
「ほんと!それっていつ!?」
「ちょっと待ってください、今思い出しますから」
沙羅に急かされながらも、私は必死に記憶を辿っていった。
確か……あれは、私が聖女としてこの国を巡っていた時だった気がする。
あの子は、誰かと一緒にいて……私に聖女はどんな事をするのかとか聞かれた気がする……その時の事は、今でも鮮明に覚えている。
その思い出した話を沙羅にすると、沙羅は少し考え込むような
仕草をして、何かを決意したように私を見た。
「その子とはその時だけ話したの?」
「んー確か別の日にも会いましたね、その時はユーリ一人で……お友達はどうしたの?と私が聞いたらあの子は、”一緒に教会に行こうねって約束したのに一人で行っちゃった、私の事をバカでのろまだって言ってたって聞いた”って泣きながら言ってたの、私はその場で慰める事しか出来なかったんだけれどね……」
あの時は私自身も幼かったから、上手く対応できなかったのだ。
今あの子に会えばきっと別の方法を考えてあげられた筈なのに……
沙羅も何か思い当たる節があるみたいで、私の話を聞いて何かを考えていた。
そして、しばらく沈黙が続いた。
沙羅は一体何を考えているのだろうか……? そう思っていると、沙羅が口を開いた。
「なるほど……変なこと聞いちゃってごめんね?教えてくれてありがとう」
「いいえ、沙羅が聞きたい事はもう大丈夫ですか?」
「うん!色々助かったよ~」
「それなら良かったです、時間もまだあるみたいですし……少し遊びに行きますか?」
「ん~ちょっと考えたい事があるから、また今度でもいいかな?」
「もちろん、今度はエミリアとルークも誘って出かけましょう」
「うん!フィリスも呼んで皆で遊ぼう!じゃあ今日は本当にありがとう!またね~」
「はい、また」
そんなやり取りをして、沙羅と別れた。
私の話を聞いた沙羅の様子が少しおかしかったような気がするけれど……
まぁ、沙羅にも色々とあるだろうと、そんな事を考えながら私も家に帰る事にした。
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