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穏やかだった日常に……
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最近、沙羅とエミリアのお陰で穏やかな日々を過ごすことができている。
沙羅が私の事を友達として接してくれる事が、とても嬉しかった。
エミリアとルークは昔からの友達だけれど、二人以外の友達は
今まで出来なかった、いや作ろうと思わなかった……だって、私の周りにいる子たちは、私の聖女の力が目当ての子たちばかりだから。
聖女の力があるだけで、私自身を見てくれる人はいなかった。
だから、今こんな風に過ごすことができているのが
信じられないほど幸せだった。
けれど、そんな幸せな時間を壊そうとする人が現れた……
*****
「それで、今更何の用なのですか?アルマ様」
「ははっ、そんなの言わなくても分かるだろう?」
そう言って、私の目の前にいるアルマ様はニヤニヤと
嫌らしい笑みを浮かべていた。
ここは、私の家の応接間。
今日も、沙羅とのお勉強会をしようと準備をしていたら、いきなりアルマ様が
現れた。
私が、用事があるから……と、断ったけれどアルマ様は別にいいだろう、俺の用事が優先だと言って無理やり家の中へと入ってきたのだ。
「分からないから聞いているのです、それに私は貴方との婚約を破棄したはずですが?」
私は、冷たく言い放ちこの場から去ろうとした。
しかし、アルマ様に腕を掴まれてしまった。
咄嵯の出来事で反応が遅れてしまい、私はそのまま壁に押さえつけられてしまう。
「そんなこと言って、お前はまだ俺に気があるんだろう?」
「ありません、婚約破棄した時に私の気持ちは伝えましたよね?」
「そんなの、嘘に決まっているだろ?本当は今でも好きなはずだ」
「何故そう思うのですか……?」
「俺の事が嫌いな女なんているはずがないからだ」
何を言っているのか全く理解できない、意味が分からなさすぎて頭が痛くなる。
そもそも、アルマ様の為ではなく沙羅の為なんだけれど……この人にそんな事を言った所で通じるはずもない、私は、はぁ……とため息を付いてアルマ様の
目を見た。
「自信がある事は結構ですが、もう少し周りを見てみたらどうですか?」
「なに?お前……随分と生意気になったじゃないか………あの男の影響か?」
「ルーク様は関係ありません、これが私の素です。それより……そろそろ離していただけませんか?」
「嫌だ」
そう言って、アルマ様は私を押さえつける力を強めた。
私は痛みに耐えながら、キッとアルマ様を睨みつけるが、それが気に食わなかったらしく、さらに力を込められた。
「お前は本当に可愛げのない奴だな……」
「そう思うのでしたら、私に関わらないでいただけますか?」
「それは無理だ。俺はお前が欲しい」
そう言うと、アルマ様は私の首筋に舌を這わせてきた。
ゾワッとした感覚に襲われ、嫌悪感で吐きそうになる。
それでも、私は我慢して声を上げずに耐えていた。
すると、今度は服の中へ手を入れようとしてきたので、さすがにまずいと思い、私はアルマ様を思いっきり突き飛ばした。
すると、アルマ様はそのまま勢いよく倒れ込み頭を打ったようで、頭を手で抑えてうずくまっていた。
「あ…………」
「なるほどな、お前の気持ちは良くわかったよ……」
「アルマ様……」
「絶対お前を俺の物にしてやるから覚悟しろよ? まぁ……その前にあいつらに邪魔されないようにしないとな」
そう言って、アルマ様は笑いながら立ち上がり帰って行った。
私は、その背中を見ながら、呆然と立ち尽くしていた。
どうして、こうなったのだろう?
私は、しばらくその場から動けなかった。
沙羅が私の事を友達として接してくれる事が、とても嬉しかった。
エミリアとルークは昔からの友達だけれど、二人以外の友達は
今まで出来なかった、いや作ろうと思わなかった……だって、私の周りにいる子たちは、私の聖女の力が目当ての子たちばかりだから。
聖女の力があるだけで、私自身を見てくれる人はいなかった。
だから、今こんな風に過ごすことができているのが
信じられないほど幸せだった。
けれど、そんな幸せな時間を壊そうとする人が現れた……
*****
「それで、今更何の用なのですか?アルマ様」
「ははっ、そんなの言わなくても分かるだろう?」
そう言って、私の目の前にいるアルマ様はニヤニヤと
嫌らしい笑みを浮かべていた。
ここは、私の家の応接間。
今日も、沙羅とのお勉強会をしようと準備をしていたら、いきなりアルマ様が
現れた。
私が、用事があるから……と、断ったけれどアルマ様は別にいいだろう、俺の用事が優先だと言って無理やり家の中へと入ってきたのだ。
「分からないから聞いているのです、それに私は貴方との婚約を破棄したはずですが?」
私は、冷たく言い放ちこの場から去ろうとした。
しかし、アルマ様に腕を掴まれてしまった。
咄嵯の出来事で反応が遅れてしまい、私はそのまま壁に押さえつけられてしまう。
「そんなこと言って、お前はまだ俺に気があるんだろう?」
「ありません、婚約破棄した時に私の気持ちは伝えましたよね?」
「そんなの、嘘に決まっているだろ?本当は今でも好きなはずだ」
「何故そう思うのですか……?」
「俺の事が嫌いな女なんているはずがないからだ」
何を言っているのか全く理解できない、意味が分からなさすぎて頭が痛くなる。
そもそも、アルマ様の為ではなく沙羅の為なんだけれど……この人にそんな事を言った所で通じるはずもない、私は、はぁ……とため息を付いてアルマ様の
目を見た。
「自信がある事は結構ですが、もう少し周りを見てみたらどうですか?」
「なに?お前……随分と生意気になったじゃないか………あの男の影響か?」
「ルーク様は関係ありません、これが私の素です。それより……そろそろ離していただけませんか?」
「嫌だ」
そう言って、アルマ様は私を押さえつける力を強めた。
私は痛みに耐えながら、キッとアルマ様を睨みつけるが、それが気に食わなかったらしく、さらに力を込められた。
「お前は本当に可愛げのない奴だな……」
「そう思うのでしたら、私に関わらないでいただけますか?」
「それは無理だ。俺はお前が欲しい」
そう言うと、アルマ様は私の首筋に舌を這わせてきた。
ゾワッとした感覚に襲われ、嫌悪感で吐きそうになる。
それでも、私は我慢して声を上げずに耐えていた。
すると、今度は服の中へ手を入れようとしてきたので、さすがにまずいと思い、私はアルマ様を思いっきり突き飛ばした。
すると、アルマ様はそのまま勢いよく倒れ込み頭を打ったようで、頭を手で抑えてうずくまっていた。
「あ…………」
「なるほどな、お前の気持ちは良くわかったよ……」
「アルマ様……」
「絶対お前を俺の物にしてやるから覚悟しろよ? まぁ……その前にあいつらに邪魔されないようにしないとな」
そう言って、アルマ様は笑いながら立ち上がり帰って行った。
私は、その背中を見ながら、呆然と立ち尽くしていた。
どうして、こうなったのだろう?
私は、しばらくその場から動けなかった。
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